見出し画像

会計がわからなければ経営はできない、会計がわかっただけでは経営はできない~その2~

前回はこの言葉の前半部分を解説しました。本日は後半の部分です。

会計は未来を保証するものではない

前回は会計は大事だ、ということを説明しましたが、どんなに会計だけを突き詰めても、会社がこの先どうなるかはわかりません。もし、会計がわかれば未来もわかるということであれば、公認会計士や税理士の経営者がもっとたくさんいてもいいはずです。

顧問税理士は社長の近くにいる身近な専門家のため、いろいろなことを相談することが多いと思います。しかし、経営のことを相談するときは、顧問税理士のアドバイスをそのまま鵜呑みにしないで参考程度に留めてください。なぜなら、顧問税理士は会計の専門家ではありますが、経営の専門家ではないからです(もちろん、経営のことに詳しい税理士の方もいます)。

経営戦略は経営者が作る

経営戦略という未来の話は、経営者自身が作らないといけません。そして成功するかどうかは戦略と経営者のやる気にかかっています。そうすると、経営戦略について会計の出番はないようですが、そんなことはありません。会計は、その戦略を実行し、成功したときの価値を示してくれます。

あまり適切な例えではないのですが、競馬を例に出して説明します。競馬では、馬ごとに配当が決められています。その配当をもとにどの馬に賭けるかの戦略を立てます。ちゃんと競馬をやる人(?)ならば、配当を見ずに馬券を買うことはしないと思います。そんなことをしたら、せっかく当たっても配当が低くてたいして儲からなかったという残念なことになってしまうかもしれないからです。つまり、当たった場合のリターンと、外れるリスク、この両方を天秤にかけて意思決定しているのです。

経営にとっての会計の位置づけは、競馬の配当と一緒です。経営戦略が成功するかどうかはわかりません。しかし、上手くいったときにどれだけ利益が出るのかは、会計があればわかります。

それなのに、多くの経営者は上手くいったときの儲けの金額を見ることなく意思決定を行います。だから、せっかく上手くいったのに、結局儲からなかったということも起きるのです。

会計専門家が心掛けること

これは私の考え方ですが、公認会計士や税理士は、顧客に接するときは、会社の経営について自分は何も知らないということを、しっかり認識するべきだと思います。だからと言って、経営者に経営に関するアドバイスをしないということではありません。会計専門家の役割は、経営者に答えを教えることではなく、答えを経営者から引き出すことにあります。

経営者がその会社について一番詳しいのですから、答えを見つけられるのは経営者自身です。そうであれば、私たち会計専門家はその答えを探すための近道を示すことができるように心掛けるべきだと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?