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退職金規程は作るべき?~その2~

退職金規程がないのに退職金を支払っている場合、退職者全員に対して退職金を払う義務が生じる可能性があることを前回説明しました。では、実務においてはどのようにするべきなのでしょうか?

無理のない範囲で退職金規程を作る

退職金を支給したいのであれば、やはり原則どおりに退職金規程を作るべきではないかと思います。前回説明したようなリスクを避けるという理由もありますが、業績や社長の好みで退職金の金額を決めていたのでは、従業員を大切に扱っているとは言えないからです。どうしても資金繰りが不安な場合にはそもそも退職金を支給してはいけません。変な見栄を張らないことです。

資金繰りに多少の不安はあるけど、従業員の長期勤続にしっかり報いたい、ということであれば、将来にわたり支払負担が過大にならない退職金制度を設計し、それを規程にするべきです。

従業員によっては特別に功績があった場合に退職金の上乗せがしたいということはもちろんあると思います。その場合には功績加算があることを規程に定めるとともに、実際に上乗せ支給を行う場合には、その理由を文書で残しておくことが重要です。何となく功績加算の金額を決めたのでは、あとで必ず揉めることになります。規程にしろ功績加算の文書にしろ、しっかりと書面で残すのは会社や経営者を守るためなのです。

退職金規程をあえて作らないこともありえる

私はお勧めしませんが、退職金規程を作らずに退職金支給を行うことを継続するのも駄目なわけではありません。もちろん、前回説明したように全退職者に退職金支給が必要となるリスクは存在します。しかし、そもそも退職者が少ないような場合には、そのリスクの影響や発生可能性が低いということもありえます。

仮に退職金規程を作らないとした場合でも、退職金を支給する際にどのような方法で金額を算定したかの文書は残しておくべきです。他の従業員に説明できないような方法で退職金を決めるのは、従業員への礼節に欠けることだと思います。

まとめ

退職金に限ったことではありませんが、経営者が裁量で決める事柄については、きちんと文書を残しておくのが定石です。面倒くさいことかもしれませんが、文書を残さないことで将来揉め事になることの方が大変です。そのような余計な心配をしなくても済むように、普段から気を付けたいものです。

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