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従業員の評価指標が利益でなければならない理由

従業員の評価を行うとき、何も基準に行っているでしょうか?従業員自身の自己評価や上司や同僚の評価といった定性的な要素を用いることもありますが、売上高に基づいた定量的な評価を行うこともあります。

しかし、売上高による評価は客観性には優れているものの、会社を良くする効果は全くありません。定量的な評価を行うのであれば、利益を基準にしなければならないのですが、今回はその理由を説明します。

理由1:売上と利益は相関しない

売上が高いと会社にとってどんな良いことがあるのでしょうか?

実は、売上があるだけでは会社にとって良いことはありません。売上も大事ではありますが、その売上を確保するためにどれだけの原価や経費を使っているかも大事だからです。売上から原価や経費を差し引いたものが利益です。そして、利益は売上とは直接関連がないのです。そのため、売上が多くても利益が多いかどうかはわからず、売上を評価指標に使っても役に立たないことになります。

例えば、原価100万円の商品をAさんは1個当たり110万円で8個販売し、Bさんは1個当たり120万円で5個販売したとしましょう。売上はAさんが880万円、Bさんが600万円で280万円もの差があります。では、Aさんの方が優秀な営業担当者なのでしょうか?

利益を見てみると答えがわかります。Aさんは880万円の売上に対し原価が800万円なので、稼いだ利益は80万円です。一方、Bさんは600万円の売上に対し原価が500万円なので、稼いだ利益は100万円です。会社にとっては利益が大きい方が残る資金も多くなるため、Bさんの方が望ましいことになります。このことから、売上での評価は会社にとって好ましい結果を反映するとは限らないのです。

理由2:売上を生まない従業員の評価ができない

売上をもとに評価ができるのは、売上を生み出す営業担当者だけになります。製造部門や購買部門、あるいは間接部門の従業員の評価を売上で行うことはできないのです。

理由3:原価や経費の削減効果は思っているより大きい

原価や経費を削減することは売上を上げることと同等です。しかも場合によっては、売上以上の効果をもたらすことすらあるのです。

例えば、粗利益率50%の会社があったとします。この会社で売上を100万円獲得できる営業部門のCさんと、経費を100万円削減できる間接部門のDさんではどちらが優秀なのでしょうか?一見するとどちらも同じだけの貢献をしているようですが、見ている軸が違うので単純に数値の大小で比較はできません。

そこで、経費の100万円を売上相当額に変換してみましょう。粗利益率が50%なので、100万円を得るためには200万円の売上が必要です。つまり、Dさんは200万円の売上に相当する働きをしているので、Cさんの倍も会社に貢献していることになるのです。このように、経費の削減効果は意外と影響が大きいことがあるのです。

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