見出し画像

売上が急増するとお金が足らなくなる?

会社にとって売上はとても大事です。売上がなければ人件費やその他の経費、融資の返済等ができません。しかし、売上高が急増すると、会社の資金繰りが厳しくなることがあります。一見、矛盾しているようにも思いますが、いったいどういうことなのでしょうか?

運転資金を理解する

まずは、運転資金という考え方を理解する必要があります。運転資金とは、会社の営業活動に必要な資金です。原材料や商品を仕入れる、人件費を支払う、経費を支払うといった活動はすべて運転資金から行われます。そして、この運転資金がどれくらい必要なのかは、会社のビジネスによって異なります。

会社毎に必要な運転資金が異なるので、自社の運転資金について知っておく必要があります。といっても、運転資金の計算は簡単です。

運転資金=売上債権+在庫ー仕入債務

月次試算表や貸借対照表があれば上記のように計算できますので、ぜひやってみてください。なお、売上債権とは売掛金と受取手形のことであり、在庫は原材料、仕掛品、商品、製品、貯蔵品、仕入債務は買掛金と支払手形です。

運転資金が必要な理由

運転資金が必要な理由は、売上がすぐに現金として会社に入ってこないからです。また、製品の製造や商品の購入が必要な業種では、製造・仕入から販売まで時間がかかることも影響します。

例えば、2月1日に販売した商品の代金が3月末に入金されるとしましょう。そうすると、2月1日の売上に計上されるものの、実際にお金がもらえるのは2ヶ月も先です。この間には、給料等の経費の支払があるはずですが、販売代金が入金されないからといって支払を待ってもらえるでしょうか?もちろんそんなことはありませんよね。つまり、このケースの場合には、売上代金の2ヶ月分の現金を別に保有していないと支払ができないことになるのです。

売上があっても入金がまだのとき、試算表や決算書には売掛金や受取手形が計上されます。したがって、運転資金の計算ではまず、売上債権(売掛金+受取手形)を加算するのです。

在庫も同じ考え方です。在庫は販売されるまでお金に変わることはありません。つまり、売上債権も在庫も、お金が姿を変えたもので、いずれはお金として回収されます。しかし、回収されるまでは支払に使うことができませんので、運転資金を計算するときに加算するのです。

反対に、仕入債務は材料や商品を購入したのにまだお金を払っていない状態です。これは売上債権とは反対に、いつかは支払ってお金が減るわけですが、支払うまでは手元にお金が残っていることになります。このため、運転資金の計算では減算するのです。

必要運転資金は増減する

月によって販売額や仕入額は当然異なります。したがって、必要な運転資金の金額も月毎に変動します。このため、会社の手元に持っておくべき運転資金を計算するときは、年間のうちでもっとも運転資金が多くなるときを基準にして考えます。この運転資金がもっとも多くなるときというのは、一般的に、売上高がもっとも多くなる月のことです。

このあたりが、売上高が急増するとお金が足らなくなることに影響するのですが、それはまた次回に続きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?