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退職金と福利厚生

退職金は従業員の働きに報いるために支給するという性格がある点で、福利厚生と似ています。しかし、退職金と福利厚生には大きな違いもあります。経営者としては両者の違いを明確に理解しておく必要があります。

福利厚生とは何か?

福利厚生には法定福利厚生と法定外福利厚生の2種類があります。法定福利厚生とは健康保険、厚生年金、介護保険、雇用保険、労災保険のことです。これらの制度は要件を満たしたら必ず加入する必要があります。

一方、法定外福利厚生とは、住宅手当や家賃補助、育休や介護休暇、慶弔金等のことを言います。法定外福利厚生は義務ではないので、会社によって制度があったりなかったりと様々です。

このように2種類ある福利厚生ですが、その目的は従業員が幸せな、より良い生活を送れるようにすることにあります。なお、以下では福利厚生と言った場合には、法定外福利厚生のことを指します。

福利厚生と退職金の違い

退職金もその目的によっては福利厚生の一つです。ただし、他の福利厚生との決定的な違いは、いつでも自由に止めることができるかどうかという点です。私の記事でも何回もお伝えしていますが、退職金制度は一度採用すると基本的に止めることができません。しかも、お金がないからといって退職金の支給を減額することも原則としてできません。

一方、退職金以外の福利厚生については会社の判断で止めることが可能です。止めるための理由は特に必要ないです。あまり効果がなかったから止める、資金繰りが厳しいから今年は止めるということも可能なのです。

つまり、福利厚生は試しに導入してみて、上手くいかなかったら止めるということをしても構いません。しかし、退職金制度はそのようなお試しができないので、制度を導入する前に十分な検討が必要となります。

退職金は経営者の本気度が伝わる福利厚生

このように解説すると、社長としてはあまり退職金制度は導入したくないと思われるかもしれません。しかし、自由に止めることができないという退職金制度のデメリットは、使い方によってはメリットとなりえます。

会社の業績によって社長が福利厚生をやったりやらなかったりする会社について従業員はどのように思うでしょうか?社長は業績について責任を負っていないのかな?とか、福利厚生を大義名分にして利益調整(税金対策)をしているだけでは?とか思う方もいるかもしれません。退職金制度であれば、自由に止めることができないので、上述のように思われることはありません。

もちろん、従業員が退職金制度について理解していることが前提です。そのために従業員に社長が自社の福利厚生の考え方について継続的に伝えることが重要となります。

終わりに

目的は似ているのに、大きな違いのある退職金と福利厚生。退職金制度にデメリットがあるのは事実ですが、そのデメリットをどのように活用するかは社長の腕しだいです。ぜひ、上手く活用してより良い会社を作っていって欲しいです。

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