月次推移表活用術
月次決算を見る上で、「月次推移表」を活用しているでしょうか?通常、どのような会計システムであっても月次推移表を出力する機能が付いています。しかし、実際に月次推移表を使っているでしょうか?
今回は、月次推移表の見方のポイントについて解説します。
損益の月次推移を読み解く
月次推移表は貸借対照表でも損益計算書でもどちらでも出力できます。しかし、実際に活用することが多いのは月次損益計算書ですので、こちらについて説明します。
①売上高の推移
まずは、売上高の推移を見てみましょう。上昇しているのか、横ばいなのか、下降しているのかトレンドを確認します。季節性のある業種の場合には、トレンドを確認するときに、季節要因を考慮することを忘れないようにしましょう。
緩やかであっても売上高が上昇しているのであれば会社が成長していると言えます。長く横ばいが続いている、あるいは下降してきているということであれば、何か原因があるはずですので、それを突き止めます。
月ごとに売上高が上下している場合には、業績が安定しません。毎月安定して収入が入ってくる方法がないか検討してみましょう。
②売上総利益率(粗利益率)の推移
売上高の次は売上原価なのですが、売上原価の数字だけを見てもよくわかりません。そこで、売上総利益率(=売上総利益÷売上高)の推移を見てみましょう。一般的には、売上総利益率は月によって大きく変わることはありません。それでも、ときには比率が上下することがあるので、その場合には原因を突き止めましょう。売上総利益率の上昇は利益のアップにつながるので非常に重要です。
売上総利益率が月ごとに大きく変動している場合には、売上高または売上原価の計上が正しくなされていない可能性があります。この場合、数字が間違っているだけとは限りません。月ズレを起こしていることもあります。例えば、本来1月に計上すべき売上高を2月に計上しているケースです。これでは正しい売上総利益率が算出できないので、経理の方法から見直す必要があります。
③固定費の推移
次は、固定費(販売費及び一般管理費)の推移を見ます。固定費を見るときのポイントは2つです。
ポイントの1つ目は、毎月どのような固定費を負担しているのかを把握することです。人件費、地代家賃、水道光熱費等が代表的です。これらの経費を見るときには、売上に貢献していると説明できるかどうかという視点で見てください。案外売上に関係ない費用があるものです。不要な経費は削減します。しかし、こちらの記事でも解説したように、人件費等について削減方法を誤らないように注意しましょう。
ポイントの2つ目は、突出して発生している経費を突き止めることです。必要な経費を使ったのであれば問題はないのですが、ただの無駄遣いになってしまっている場合には、そのような使い方を今後しないように対策が必要です。
終わりに
月次推移表の読み方のポイントについて解説しました。これまで、見たことがないのであれば、ぜひ活用してみましょう。グラフにして視覚的に見るのもわかりやすいのでお勧めです。