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侵攻

いまはまだ大丈夫、ってのは

すでに悪い状況に向かっている時に使う。

となれば、もうこの時点で何らかの手を打たないと

現状以上の結果を得ることはムズカシイのだと思う。

それでもおおくのばあいで、いまはまだ大丈夫として、

目を背けて、蓋をしてしまうことが多いのではないだろうか。


時間は僕たちとは関係なく前進をつづける。

抗うことが唯一できない。

そんななかで写真というものは、

抗える。

定着した過去を未来に残し続ける。

劣化もせずに、

むしろ残したその時点より、

価値を高め、希少性を増しながら上昇をはじめる。

記憶は摩耗する。

それは時間に逆らえない人間に依存したものだから。

写真はすり減らない。

時間に逆らう存在としてあり続けるから。

「辛くなった時に過去の写真をみて、頑張ろうと思う。」

それはきっと過去が今現状よりもよかったと認識をして、

もう一度あの場所(気持ち)に戻れると感じれるからだろう。

摩耗していく心を過去の思い出が補修してくれるからだろう。

人それぞれさまざまなパターンが有るのだとは思うが、

総じて

人間にはしたくてもできない時間の侵攻の阻止を、

可能にしている写真のもつ力がそうさせるのだろう。


森山大道さんが

「写真は時間を止めてしまう装置」だと言った。

まさにそれ以上に的確な言葉が僕は知らない。



人間がしたくてもできない、

時間に抗うことができる装置。

それが写真なのだ。


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