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映画や本の感想など

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評価というよりは観て感じたこととかをなむなむと書きます。
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2017年7月の記事一覧

「美輪明宏と『ヨイトマケの唄』」佐藤 剛

桑田佳祐のテレビ番組「音楽寅さん」は、僕にとっては、好きな番組ではあったけど、録画したり欠かさず観るというのではなく、家にその時間にいたらぼーっと観るぐらいの感じの番組だった。

その番組で、ある時突然、桑田佳祐が「ヨイトマケの唄」を歌い出し、そもそもこの曲をフルコーラスで聴くのは初めてで(この本にあるが『土方』などの表現のため放送自粛状況だった)、その歌詞に、テレビから目が離せなくなった。

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「昭和プロレス正史」 斎藤文彦

「昭和プロレス正史」 斎藤文彦

上下巻あわせて1000ページを超える力作。

「昭和のプロレス史の分析と解体」をテーマとして、歴史家としての偉大な先達(プロレス記者)たちの記述を「ナラティブ」と称して引用することを中心とした書物。

田鶴浜弘、鈴木庄一、櫻井康雄といった方々の名調子には、プロレス記者としての矜持が感じられる一方で、虚構の世界を当たり前のように現実的に記載していることに対する違和感がやはり感じられる。それは子供の頃

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「世界不思議地図」佐藤健寿

「世界不思議地図」佐藤健寿

TBSラジオ「たまむすび」のコーナーゲストで、著者の佐藤健寿さんがこの本の紹介をされていた。

子供向けの「図鑑」的なつくりであるが、大人も十分楽しめる、世界中の「不思議」な事象を集めた本である。

子供がこういう本を読んだら、一生頭に焼き付くだろう。僕も子供の頃に、UFO や雪男やら神隠しやら、「不思議」を集めた本を読んで、今の人格が形成されたわけである。

ラジオで話されていた「介良事件」(1

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「名誉と恍惚」松浦寿輝

「名誉と恍惚」松浦寿輝

こんな分厚い本、はたして読み通せるのかと思いつつ読み始めましたが、読了しました。

『日中戦争のさなか、上海の工部局に勤める日本人警官・芹沢は、陸軍参謀本部の嘉山と青幇(チンパン)の頭目・蕭炎彬(ショー・イーピン)との面会を仲介したことから、警察を追われることとなり、苦難に満ちた潜伏生活を余儀なくされる……。祖国に捨てられ、自らの名前を捨てた男に生き延びる術は残されているのか。千三百枚にも及ぶ著者

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