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元旦

年が明けた。 年越しはひとり、テレビの前で。 テレビをみてカウントダウンして ゲームもつけてカウントダウンして 思ったよりも賑やか。 例年通りとはいかなかったけれど これはこれでいいのかな。 一通り満足したら テレビを消して、片付けて。 そっと寝室に向かう。 「あけましておめでとう。今年もよろしく」 ベッドで寝ている君の耳元で囁く。 会いたかった人とは会えなかったけれど 居たい人と一緒にいられたから いい年になりそう。

    • ヒトコト

      夜、いつものように連絡を待つ。 「まだかな」 決まっているわけではないけど、 1日空くと必ず向こうから来るから今日もそのつもりだった。 けれど。 今日は何故か来なくて。 私から連絡するのはなんだか嫌で 意地をはる。 やはり待てども待てども来ない。 次第に不安になっていく。 気づけば一筋涙がつたっていた。 “ピコン” 通知を見ると彼からで 「仕事終わったー」 いつもと変わらない、気の抜けるような顔文字付きで。

      • 花火

        今日はいつもより電車が混んでいる。 なんでだろうと考えてみたら 今日は花火の日だった。 浴衣を着た女の子、カップルや家族連れが楽しそうに話している。 「幸せだなあ」 ふと、口をついて出た言葉に自分で驚いた。 さっきまで友達と散々彼氏の愚痴を言っていたのに。 そんな気分になったのは きっと彼からのライン通知がきたからだ。 今行くね。 そう返して顔を上げると、ドアにうつった自分のにやけた顔がみえた。 自分も一緒か。 会えるだけでこんなに嬉し

        • 朝の電車

          朝電車に乗っていて不思議な感じがした。 通学中、通学中であろう人々がひしめきあう車内。 私にとっては帰りの電車である。 何かをしたわけではないけれど、 ふとしたそわそわ感。 周りの人に変な目で見られないだろうかと。 自意識過剰も大概である。 朝の電車に限らず、自分が思っている以上に人は自分を見ていないもの。 そんな時間もったいない。 けれどちょっと気になる、 そんな朝8時。

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          星空の下

          「今日は星が綺麗だ」 いつもの道を歩きながら、空を見上げた。 オリオン座くらいしかわからないけど、星空ってなんで綺麗だと思えるんだろう。 1人で歩く時はいつも考え事をしてばかりだ。今日は急がないから余計に。 ラインの受信音に急いで携帯を取り出す。画面を見て思わずにやけてしまい、周囲を気にしてなんだか気まずい思いになる。 これもきっとこの星空のせいだ。 何かの広告のように、意味もなく難癖をつけた。 この感じも久しぶり。ひとりでワクワクしたり落ち込んだり、感情が忙しい。

          星空の下