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【ここに、人間になりにきた。】

*ブログ移行に伴い、10年前の記事を成仏させていこうと思う。
以前のブログを閉鎖すべく、一旦こちらにお引越し。


「日本の常識は世界の非常識」


誰かが言ってたな。



日本の中にいる私たちには「常識」としてまかり通っていることも、

海外ではなんのこっちゃ知ったこっちゃない。



まず、実際に私が体験して「日本人の私の視点」で驚いた事を記そう。



「物乞い」という職業がある。


文字通り、物を乞うのだ。



14歳の頃、イタリアに行った。


そのとき、ネームバリューエンマ級のブランドが立ち並ぶ通りに降り立った私。



白雪姫で見たような黒ずくめの魔女風の老婆が、


Gucciさんの前で物乞いしていた。

職場がGucciなんてなかなかしゃれてるじゃないか。


そして、もう物を乞う乞う。

でも、よ〜〜〜〜〜く見ると、


ルイヴィトンの鞄が黒いマントの奥から光ってら。


インド暮らしが定番だった姉に、

「あのばあちゃん、物乞いしてるのに、所持品ルイヴィトンやね。」


と、話すと、



「私の友達の物乞いはさぁ、

(もう冒頭からちょっとおかしい)



物乞いしたお金で息子を大学に行かせたらしいよ。」



!!!!!!




まじか。

でも、驚いた反面、


お金の使い方としてはかなり全うやな、となんか安心した自分もいた。



※もちろん、全ての物乞いがそうでは無いのであしからず。


そこで、現地のイタリア人に話を聞いてみると、

ジプシーは、生まれたときから「ジプシー」として育った。


「人の金を盗む事」が生きるための手段だという教育を受けたため、


お金を取る事に悪気がない子供も多い。


それがどうか、とかそんな話より、


単純にそんな世界も実は身近にありえることなんだろうな、と

いたく納得してしまった。


14歳の私は、今よりもももっと大人だったのかもしれない。



イタリアを旅して気づいた事。


「注文通りのご飯がテーブルに届かない」


「単純に、オーダーをとっても、厨房にいくまでにそのメモがどこかへ行ってしまう」


「本当なら怒るところだけど、なんだかんだシェフ達と仲良くなって厨房に入れてもらう」


もう、あんまり意味がわからないが楽しかったから「ま、いっか」で片がつく。



フランスへいくと、

トイレでお金を払わされた。


たいした額ではないけど、トイレにお金を払うなんて衝撃的だった。

しかも、そこには気だるそうにドアを開けてくれる老婆がいた。


そのすぐ右にティッシュをとってくれる老婆。



もう、お年寄りの雇用率がすごい!


それは中国に行っても同じだった。



よく聞く話だが、

本当にトイレのドアがなかった。


その時は13歳だったが、


自前の尻を他者にさらすなんて、銭湯以外でそのときが初めてだった。


なんという開放感。

息リフレッシュ。


タイへ行けば、ニューハーフに間違われ、showの時間を聞かれた。

妥当に「7時半」と答えておいた。


ロサンゼルスへ行けば、

バス停でレズビアン10人に一気にナンパされ、


イギリスでは地下鉄で見知らぬ紳士が荷物を運んでくれる。



メキシコに行けば、

曲がり角ごとに娼婦が立っていて目をぎらつかせており、



ベトナムでは所構わず歌を歌わされた。



スペイン人は明日の約束さえできるか危うい程ゆったりしていて、


太陽とオリーブあればハッピー。


韓国へいけばほぼ全員がしこたま携帯をいじくり倒してるわけで。



カナダではバカみたいに綺麗な絶景が手の届くところにあり、


バリではジゴロに追いかけ回され、街ではクスリを売りつけられそうになる。



ニューヨークでは警察官でさえ勤務中にナンパしてくる始末。



オーストラリアでは黒鳥とすれ違う。



もうこの世の中どうなってんだ。



そして、日本。


電車は1分たりとも遅れず正確。


日本人が人生で発する言葉の1位は「すみません」。



「はっきりと言うこと」を避け、


自分や親類に関しては「謙遜」がマナー。



トイレの中には着替えるためのお立ち台が設置されており、



寒ければ外でも温かいカイロが普及、


打撲には湿布はれば良くて、


コンビニや自動販売機は至る所にゴロゴロあって。


回転寿司では皿の数をごまかす人なんてまずいない。



ひどい自然災害が起こっても、スーパーを襲う人なんていなくてちゃんと列をなして並ぶ。



トイレはコックピットみたいになっていて、

心行くまで尻に磨きをかけられる。


大都市のトイレには「パウダールーム」と呼ばれる、

もはやなんなら女子の憩いの場みたいになっていて、


カプチーノ持ちこんでも何の違和感もない雰囲気を織りなす。


友達との約束は1ヶ月前におさえるなんて当たり前、


自殺率は世界12位と高めで、


勤労な国。


「過労死」ということばが世界共通語になるほどめずらいい死に方も多くて、


ダークな黒い部分がある。


でも、私は

「言わぬが花」なんて文化が好きで、


1つ1つ意味をこめてモノ創りをするところ、


人々の奥ゆかしさ、


見えない大きな力で支え合っているところは大好きだ。



外国人とふれあうことが多くて、


「普通に考えたら、分かるやん!」


なんて発想する事があるけど、



日本で育ってきたからこそある「普通」が、彼らには「ない」わけで。



逆に、私が海外に行ったら「普通」にはなれないわけで。




だったらそれでいっか、と思う。



それを、「日本人はあなたの行動、こう思うからね。」


ってことを伝えて、あとは当人のチョイスにまかしゃいい。


日本にいるからって、「日本人」になる必要は無い。



「郷に入っては郷に従え」でいいけど、


お国のマインドを書き換えなくてもいい。



色んな考えの人と出会い、受け入れ、たまに受け流し、人間になってゆく。


私は、まだ「人間」じゃない。



人間になるためにここにいるし、ここにきた。




「もう、こいつなんやねん!」って思う事があったら、



「あ、まだこの人は人間じゃないから仕方ない。私とおんなじ。」


そう思ってアルカイクスマイルで見届けようとおもう。



そんなことを思った夜更け。


おやすみ、世界!

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