鳥の糞

それは頭を鈍器で殴られた、そのままのような出来事だった。
私は同じ過ちを犯したのだ。
人の価値観とやらに口を出して、その人を『未完成』と名づけた。
それからというもの私は自分が、燃えるタバコの煙や灰に炙られ煤となることを夢見ている。
食べ物を選ぶ。
嗜好品ばかり食べていた昨日までと、とある出来事があった昨日今日の食事は人間と馬のように違っていた。
嗜好品ばかり追いかける胃は膨れ、顔も体も醜くなるばかりだ。
馬のようにただ野菜を欲した。スーパーで売っていたキャベツとレタスのサラダを2袋食べた。
自分は本当にそこらへんの道に捨ててある犬がしたクソのようだ。
いや形すら成していない、鳥のクソかもしれない。
そう気づいたので、口に睡眠薬を投げ込んだ。
今日は睡眠薬を3度飲んでひたすら眠りこけていた。
夢の中では風呂で誰かと体を重ねたいと飢えている夢を見た。
ガールズバーで働かなくてはと就職先を探す夢を見た。
1ヶ月2000円の家賃の家を探さなくてはと、他人と襖1枚で区切られただけの、ただだだっ広い家に住む夢を見た。
そこでの生活は最悪だった。
1ヶ月に一度勝手に家の中に管理人が入ってきて、家の中を点検するのだから。
襖1枚隔てた向こうに居る密告者が何かを言えば、すぐさま私の部屋は公共に晒されることになるリスクを伴った安い住処だった。
馬鹿野郎。
過去の自分に何度かけた言葉だろうか。
その言葉は効力をさほど持たぬようで、時間が経てば消える。
だれかが私の隣で縋り泣いていた記憶は、白昼夢のようだった。
俺には君しかいないからという言葉が嬉しく感じられなかった。
こんなクソみたいな私を愛してどうなろうと、この先の未来が知れないと思った。
可哀想に、と思った。
憐れみを感じた。私を愛する者に。
私は私には憎しみを感じる。
愚かだからだ。
だから今日もしできれば、晩餐を削いだ自分の肉にでもしたかった。
でもそんなことは叶わないので私は夢の中の、あのサーカスを窓から見られるパン屋で過ごすことにする。
さようなら、現実よ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?