誰かを好きになった気持ちは
誰かを好きになった気持ちは
いつまでも特別だ。
たとえ好きではなくなったとしても
他に好きな人ができたとしても
どこかでその人のことが気になってしまう。
人を好きになることはとても不思議だ。
多くは、目に見えない何かに心が惹かれてしまうんだ。
声、顔、言葉、ぬくもり。
そうした目に見える、触れる、感じられることではなくて
一体私は何を好きになったのだろう。
恋に落ちたことが何度かある。
まやかしの様な、イタズラの様な恋もあった。
仕組まれたような恋もあった。
逃れられない恋もあった。
私のはち切れるような恋は、
切ない虚しい独りの時間に訪れた。
ひとりじゃ寂しいよ。
あなたがそばにいてほしいよ。
あなたの声が聞きたいよ。
あなたに頭を撫でられたいよ。
隣で眠りたいの。
そう思えば気づけば恋に落ちていた。
私が恋していたのは、何だったのか。
きっと目の前の男の人じゃない、
私の心を抱きしめてくれる
お母さんのような人を探していたんだ。
少女のような恋もした。
手をさりげなく重ねられただけで
相手を意識してしまって
相手の一言に一喜一憂して
それでも立ち直る逞しい心を持っていた時だ。
私の心が折れやすくなってから
私は私を包み込んでくれる人を探していた。
そして私も誰かを抱きしめたかった。
抱きしめることで与えたかった。
その人の全てを肯定して味方をするような、そんな人になりたかった。
あなたのいちばんに、代わりの効かないものになりたかった。
拒絶されず、求められ、求めれば返してくれるような、最低限の愛でよかった。
救おうともした。
自分を相手に重ねて、あなたを包みたかった。
私がそばにいて元気づけるからと、振る舞おうとした。叶わなかったけれど。
本当は寂しいんじゃないか、苦しいんじゃないかひとりで生きることは。
あなたの悩み事を全部私に移してほしかった。
そう思ったときもあった。
簡単な愛をもって恋をしていた。
でも熱い想いだった。
だから今でも冷めていないんだろう。
冷えきりはしないんだろう。