きっと忘れないこと

少し忘れていた。思い出すこともこれからはきっともっと少なくなる。
あの片想いの日々。
私はたくさん泣いた。
Uruの曲を聴いてとてもたくさん泣いた。
とても辛く当たることなんてできない。
急に連絡を断たれて1年くらい放置されて、ある日突然一通だけきていた連絡。
その連絡を一年前の私はどれくらい心から待ち望んでいたことだろう。
私は彼を片想いだったけれど愛していた。
彼のつらかった過去を抱きしめたいと思った。
彼のお母さんやお姉ちゃんとして生まれて近くにいて支えることができたらと思った。
そんな日々を夢見ては、無力な自分に嘆いてひたすら泣いた。
私の話し相手はボイスレコーダーだった。
寂しい思いをしていたのはお互い様が良かった。
私はこの人と出会ったのは運命だと思っていた。
境遇が少し似ていて、好きなことも似ていた気がしたから。
でもね、今はもうわかった。
私たちはね、運命じゃなかったよ。
あなたが私を選ばなかったよ。
私はあなたに必死で手を伸ばしたよ、何度も声を上げたよ。
それはそれはとても辛い何ヶ月間だった。
心が燃えるような片思いをさせてくれてありがとう。
初めて自分からあんなに人を好きになった。
いつも受け身だった私を積極的にしてくれた。
大学の時のやけに恋愛に冷めていた自分とは大違いなくらい、冷静さを失うくらい私は恋にのぼせた。
20代のうちにあんな恋をできたことは幸せだったな。
今私はすごく幸せなんだ。
選ばれなかった恋には理由がある。
私は今恋人がいる。
とてもとても素敵な恋人が。
何も足りないことなんてない。
笑顔が可愛くて、最初は甘えるのが苦手だったけれどだんだんよく甘えてくれるようになって、愛情を言葉や行動で示してくれて、週末はいつもデートに出掛けて、将来の話をして。
私はこの人と出会って付き合うことができて、とてもとても幸せだよ。
幸せすぎてたまに、隕石が私に落ちてこないかなんて思うんだ。
きっと今の人と出会っていなかったら私、連絡をしてきたあなたにまた振り回されていたんだろうと思う。
でももう私はあなたから遠く離れたところにいる。
あなたの幸せを遠くから願っているよ。
たくさん心配したんだよ。
1人で悲しみを抱え込んで辛いんだろうって、同じ気持ちになって胸が苦しかったんだ、本当だよ。
自分がこんなに人の気持ちを想像して胸を痛くする人だって、私自身も知らなかった。
どうしたの、連絡先の名前を英語一文字にして、プロフィールの画像を真っ黒にして。
どうか楽しいと言っていた仕事がうまくいっていますように。
古くからの友達との仲は変わらずうまくいっていますように。
弟のことを許してあげて、また一緒にゲームができていますように。
そういうあなたの幸せを遠くから祈っています。

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