疲れてしまったら人を笑わせてみて

♪Uru 「The last rain」

お母さん、今日もなんか疲れたよ。

どうしたの?

今日は会社で会議とそのあと別の打ち合わせがあった。

そうなのね。

両方とても楽しかったよ。
けど疲れた。

体力的なものかしら?
今日も暑かったものね。

そうかもしれない。

それから今日はたくさんお洋服を見たわね。

うん、見た。
ねえ、お母さん、1人になると急に寂しくなるんだ。
そういう時お母さんにもある?

あるわよ。
だって私はあなたなんだから。
でも寂しいって感じることは大切よ。
そうしないと人の存在に依存してしまうの。
それに寂しい人の気持ちがわからなくなってしまう。
人に囲まれている時は元気でいられるような気がしているのね。
でもあなたの好きなあなた自身はどんな自分なのかしら。

冷静な自分。
自分に自信があるときってあんまり好きじゃないんた。
人の気持ちがわからなくなっちゃう。
忙しい毎日に追われたり、薄い関係の友達が出来たりして、ある日突然「時間を無駄にしていたな」って気がつくんだ。
ほんとに大切なのは数少ない友達で、そういう友達が周りにいないとほんとに自分が困った時一人ぼっちになっちゃうんだ。

でもあなたは人生で本当に一人ぼっちになったことはないのよ。
いつだって、何人かの友達があなたのことを見てくれていた。
それで気にかけてくれていたの。

そっか。それすらも忘れてしまっていた。
なんだか自分のことで頭がいっぱいになってしまっていたの。
人って自分のことを褒められるとアドレナリンが出て脳が麻痺してしまうんだってね。
気持ちが良くなって、それに取り憑かれたようになってしまうんだって。

そうなのね。
それが自分でわかっているなら大丈夫なんじゃないの?

今日また本を読もうと思う。
自分の心をコントロールしたいの。
そうしないと後で後悔だらけになってしまうから。

いいんじゃない?
私は優しいあなたが好きよ。

お母さん、会いたいよ。
本当は誰かにそばにいてほしいんだ。

ごめんね。
お母さんにはお母さんのこどもがいるの。
でもあなたは強くなる。約束するわ。

どうやったら強くなれる?

うーん、難しい質問ね。
お母さんだって好きで強くなったんじゃないかもしれない。
だけど気がついたら強くなっていた。
未来のあなたが強くなっているんだから、これからのあなたは今より弱くなることなんてないのよ。

うん…

自分を信じて。できる?
難しかったら強くなるのを辞めたっていい。
今を一生懸命生きるの。

今を生きるのはすごく大変だよ。

そうね。
でもそうやってみんな生きてる。
みんなどこかで大変さは抱えているの。

そっか。
お母さんは大変?

大変よ〜そりゃもう、毎日てんやわんやだわ。
だけどね、すごく楽しいの。生き甲斐なのよ、子供の笑顔を見ることが。
あ、そうだ!いいこと思いついた。
笑顔にしたい人を笑顔にすればいいのよ。
あなたは誰かを守りたいって心のどこかで思っているの。
逞しいのよ。
だから誰かを守れないこと、誰にも頼りにされないことが辛いんだわ。
だから誰かを喜ばせてみて。
できる?

今日は出来ないかもしれない。

いいわ。
自分が辛くなってしまったらね、助けたい誰かのことを考えるの。
無理に一人でいる必要もないわ。
寂しくなったら人と会えばいい。
それがあなたの生きる方法ならね。
生きていればいいのよ。
お母さんはあなたに生きていてほしい。
そうしたらいつか生きていてよかったっていう日が来るの。
ほら、もう見せてあげたいくらいよ。
私のこどもたち、可愛いでしょう?

見えないよ。それに全部綺麗事に聞こえるんだ。

そっか…疲れてるのね…

♪Uru「願い」

うん、今日はお母さんはなんだか元気があるみたいだね。
何かいいことがあったの?

いいえ、そういうわけじゃないわ。
だけど満たされているの。
なんだか心がポカポカしてるのよ。

きょうは暑かったからね。

違うわ。おばかさん。
心があたたかいのよ。

なんで?

こうやってあなたが私を頼っているからよ。
頼られないと、お母さんだって自分が何のために生きてるかわからなくなっちゃうのかもしれない。
だけどこどもというのは頼ってくれるからね。
そりゃ生き甲斐になるわよ。

じゃあ子どもが巣立つ時はすごく悲しいね。

悲しいわよ。
言葉じゃ言い表せないくらい。
だけど同時に美しくもある。
あぁ、私の育てた子がこんなに立派になって、もう私の手から離れて一人で生きていこうとしてるなんて、って思ったら涙が出そうになるわ。

お母さんの子どもはまだ5歳と1歳でしょ?
まだ子どもがお母さんの手から離れることはすごく遠い未来だ。
なのにもうそんなこと考えてるの?

そうよ。だってその未来は絶対に来るじゃない。
悲しいからって、寂しいからっていって、その現実から目を逸らしてしまったらだめなのよ。
親は強い、こどもに依存してはいけないの。
親は親の人生をしっかり歩まないとね。

お母さんは強いね。
お母さんの人生って何?

何ってどういうこと?

お母さんはなんのために生きてるの?

何かしら。
前と変わらず歌うことが好きよ。楽器もやってる。
勉強をするのも変わらず好きね。
色んな会社から相談を受けるの。
困ったことがあるんです〜って。
会社の社長さん達は忙しいでしょう?
だからお母さんが代わりに調べるのよ。
それで必要なことだけ教える。
そしたらすごく喜んでくれるの。
こどもたちに教えられることも増えるでしょう?
大人だから、好きなことが好きなだけできるのよ。
子どもがいるからいっても自由な心は忘れちゃいけないわ。
子どもは自由よ。
親が自由でいないと子どもの心が分からなくなってしまうものなのよ。
こどもになんだか意地悪なことばかり言ってしまうような、いじわるな大人になっちゃうの。
そんな大人を見たらこどもは大人になりたがるかしら?

ううん、なりたがらないと思う。

そうね。
だからちょっと考えてみて、自由でいるということの本当の意味を。

わかった。これは宿題だね。

そう。いい子ね。


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