見出し画像

『勤勉な国の悲しい生産性』キャッチ―なタイトルだけにもっと多くの方に読んでもらいたい。 【読書レビュ】

おはようございます。 大橋です。

ブレイディみかこさんの本のレビュ転載が終わってしまったので最近読んだ本を紹介したいと思います。 ニッポン人、ジャパニーズビジネスマンとして惹かれまして、これは読まねばと思って読んだ本ですので、下記参考にしていただければと。 それでは読書レビュいきますね。


勤勉な国の悲しい生産性 なぜ経営の正義としてまかり通るのか

ルディー和子(2020年6月の本)

二度読んで味が出てきた! 逆に言うと一度読みだと読み飛ばしてしまったり、どういった主張なんだろうと考えさせられたりした。なるほど、そういう意味では考えさせたりする本なのかしら、いやたぶん自分の理解力が低いだけなんだと思う。

私はニッポン人だ。日本が勤勉な国、だというのも、勤勉だが生産性の低い国だ、ということも知っている。 自分なりに生産性を高めようと、日々の会社仕事においては一分一秒も無駄にしたくないのでストップウォッチで計測して日々改善を高めているほどである。 

ストップウォッチで作業時間を計測して効率化の事が記事になった投稿

自分なりの生産性は常に高めようと懸命な努力を図っているつもりだ。個人的な話をすると子どもが成長するまでの期間では家事育児に割く時間がどうしても長かったこともあり、いかに短い時間でアウトプットを出していくかを考えていかないと、やってらんなかったというのが正直である。だからこそ、この本には引かれた。ダラダラ生活残業しているような人々が許せなくて。

そんな中、『生産性=GDP÷就業者数』から導かれる、という定義式からはじまって、そもそも生産性をGDPから検討していくっておかしくない?とか、GDPの数字と国民が感じる暮らしとのギャップが年々大きくなっている、等々の論旨展開から「『生産性』は主観的なもの」「経済学で生産性を考えるのはもうやめる」といった著者の危機感と疑問のプロセスである第一章を二度読みするだけでも本当に面白い。ナルホドナルホド! という感じ。 

後半は日本の目指す方向性などを記載しているが、それはもう仮説なんだからわかんなくてあたりまえだよね。 1章での問題意識を、いろんな観点から切り崩していこうとされていく本、興味深かったです。


今回の抜粋としては下記
=======
P42
いずれにしても、何が生産性を高め、何が生産性を下げているのかは、主観的なものだ。たとえば、会社経営をしていれば、従業員のモチベーションがたかまれば生産性が高まることは実感できるだろう。だが、経済学では、感情や心理といった数値化できないものを無視する傾向が高い。生産性を経済学の観点だけから考えていると、組織経営では失敗することもある。

P45
 高度成長時代につくられた終身雇用や年功序列制度を、低成長や労働人口の減少が続く時代に維持することができないことは、バブル崩壊後にはわかっていたはずだ。成長戦略に基づいて組織の構造改革をし、従業員に新しい環境に見合った再教育をし、生産性を上げるためにICT・IoT関連の設備投資をする。そういった準備に10年かけて取り組む余裕はあったはずだ。だが、日本企業の多くはそれをせず、労働者をより多く働かすことで乗り切ろうとした。
 そして労働者の代表であるべき労働組合も、形骸化の一途をたどったようにみえる。それに乗じて…と書いたら言い過ぎかもしれないが、経営者は構造改革を迅速に進めることができない理由に、労働組合の存在をあげる節があるようにみえる。「ウチは労働組合があるので、改革は簡単には進められない」と、自分が決断できなくて先延ばししていることを、組合のせいにして正当化しているのではないかと疑いたくなるときがある。

P261
 働く人たち誰もが、こういった達成感を感じる経験、あるいは誰かから称賛されたり、感謝されたりする経験を味わってほしいと思う。そういった経験が一度でもあれば、働くことが楽しくなる。つらいことがあっても、また、続けていこうという気持ちになれる。
 ラグビーのように、個性ある選手たちがワンチームとなり、互いに支えあって強敵に挑む。そこから得た感動に対し、感謝の気持ちをこめて観客は拍手を送る。あるいは、野球選手のイチローのように、孤独に一人で努力し闘うアスリートでも、多くの観客が称賛したからこそ、「後悔などあろうはずがありません」という言葉が最後に口をついて出る。
 自宅、町工場や商店、中小企業に大企業、働く場所にはいろいろある。どこであろうと働く人たちが達成感を味わい、称賛や感謝を受け取ることができる仕事場の環境をつくるのは、トップ経営者の責任だ。そういった組織の仕組みを創造するのは、トップ経営者の重要な仕事だ。
=======

いつものブクログはこちら


最後まで読んでいただきありがとうございました。 そろそろネタがつきてしまったから、次の投稿はどんな感じにしていこうか悩み中。。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?