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【台湾紀行】その1 "Tour de Taiwan Island 2018" 前書き

この記事は、2018年の夏、自転車で台湾を一周して来たその旅での出来事を、覚え書きとして2021年2月から書き始めたものだ。
2021年2月現在、世界の世相はと言うと、2020年初頭から勃発した"例の流行病"の影響で、全地球的に人の移動が著しく制限される事がずっと続いていて、2020年以降、一般人が海外旅行をするのは、ほぼ不可能と言える状況だ。日本国内では、2020年から2021年に会期が一旦延期になった"東京五輪"の開催も危ぶまれている。
そんな中、世界中でほぼ唯一台湾に限っては"例の流行病"の抑え込みに成功したとしている。それゆえ殊更に海外からの旅行者の流入には厳しい検疫体制で臨んでいると聞く。
今の台湾では、外国人旅行者が田舎を旅行する事なんて「とてもじゃないが無理なんじゃね」って感が強い。
実を言うと2018年の旅は下見で、もう一度本番の旅をして、その上で完成度の高い台湾旅行記を書こうと思っていたのだが、自分も、もうイイ歳だし、「海外旅行の解禁再開まで体力が持つかな、それはもう永久に果たされないかもしれない。」との思いがあり、出会いや挫折の生々しい記憶があるうちに2018年の出来事を書き残しておく事にした。
この情報が、後日、次の誰かチャレンジャーの一助になればとも思う。

旅のあらまし

この旅の企画の要旨は、「真夏の台湾島の外周部を、自転車で、台北を起点に反時計周りにぐるっと一周してまた台北に帰って来る」と言うもので、
自転車で琵琶湖を一周するサイクリングを"びわイチ"と言うのだけど、これだと"台湾イチ"と言う事になるだろう。現地の台湾では"環島(ホァンダオ)"と言うらしいが、全行程を通じて、自分の発する"環島(ホァンダオ)"は、ついに台湾人に通じなかった所を見ると、発音が悪かったのか、そもそも環島自体の認知度が一般的では無いのだろうと思われる。

「日本人か?(なぜかバレてる)」
「そうや、環島(ホァンダオ)してんねん」
「なにそれ」

って感じの会話が多かったのだった。

さて、「この夏は"台湾イチ"をすべし」であるが、海外での本格的なロングライドは初めてに近い。海外ライドについては、過去にした事はあるにはあるが、アメリカの田舎を、借りた自転車で、せいぜい30マイル程度の日帰りサイクリングだったので、異国での途方に暮れる様な緊張感は少なかった。
日本国内なら、ロングライドの経験は豊富な方だと思う。
振り返ると2011年から毎夏、梅雨明けからお盆前の茹だる暑さのこの時期に"サマーツアー"と称して、自転車でロングライドをして来た。
関西ー東京往復は何遍も走ったし、四国横断、"九州ほぼイチ"も走って来た。毎回1000km前後走ったのだった。だから今回、真夏の1000kmツアーは8回目と言う事になる。
別口で、真夏ではないが、"沖縄イチ"もやった事がある。
基本的に道筋は予め暗記する派だし、景色を見て地図は見ないで走れるので、万一のスマホがあれば大筋OKだと思うが、やはり、外国だしちょっと不安もあるので台湾の地理から勉強し直すのだった。
せっせと勉強して道筋の暗記に励む。
ひと口に環島と言っても台湾は割とデカい。
台湾島は、南北に、およそ400km。幅約150kmのアーモンドの様な形状だ。
サイズ感で言うと九州くらいの島で、海岸線の形状は九州に比べて比較的シンプルだが、島の背骨を"中央山脈"が南北に縦貫していて、基本的に山岳国だ。標高3000mオーバーの峰は軽く160座以上を数える。
最高峰は、"玉山(3,952 m)"だが、日本統治時代は"新高山"として、日本国の最高峰でもあった。
必然的に東西の往き来は困難で、東西南北の発展の格差は大きそうに感じた。よく、台湾関連の書籍で「台北とそれ以外」と言う記述を目にするが、ほとんどの人口は島の周辺部、特に西側の平野の都市部に集中している様だ。
台湾の行政区分は、6直轄市、3省轄市、13県となっているが、今回の旅では、内陸の南投県と島嶼部の澎湖県、金門県、連江県、以外の全てを周って来た。環島をまともにやると大体はこうなる。
その台湾島外周部の街々を数珠つなぎに渡っていく行程の計画を立てた。

日本国滋賀県大津市ー関空ー桃園ー台北ー苗栗ー嘉義ー高雄ー恒春ー台東ー花蓮ー宜蘭ー基隆ー台北ー桃園ー関空ー日本

上の行程のうち自転車の日程は9日間だ。
仮に全行程を1200kmとすると、1日平均130km以上の走行がノルマとなる計算になる。
さらに、走行実アベレージが20km/hとすると、1日の乗車時間は、正味6〜7時間、朝7時に出発して陽のあるうちに次の目的地に着こうと思うと、あまり物見をしている余裕は無い。
マグロ的な生活が一週間以上続く事になるし、トラブルは「万が一にもあってはならぬ」のであった。

泊まる所は、予め全て日本から予約をした。
ライド中は、基本的にゲストハウスに泊まるのが、この旅の鉄の掟だ、、が、、まあ、例外もある、あった。
今回、宿泊の予約をするのにAirbnbってのを使ってみた。
部屋と言うよりは、ベッドで寝る権利を買うイメージになるので、相部屋が基本になるが、大部屋でひとりで寝た事の方が多かった様に思う。
宿選びで重視したのはズバリ値段だった。
ターゲットは、¥2,000以下を狙った。金額はその時のレートで自動計算されるので、台湾ドルでは4〜500NTと言った所か、、日本より少し安いかなって感じだ。
生活費予算、1,000NT/1日を実現しようとするとそうなる。
システムとしては、ホストと言う宿の管理者に、旅行の要旨を伝え、宿泊予定の希望をリクエストして宿泊の許可を請うスタイルになっている。
自分が日本からの旅行者で、自転車で"環島"をする事を書き込んでリクエストを送信したが、フラれたのか、返事が来ない事もあった。
条件がより良い宿を見つけると一方的にキャンセルをしたりもするので、お互い様でもあるけど、「ダメならダメで返事くらいしたらどうなの」とは思った。
Airbnbの規定では"トラブル防止のため宿とのやり取りはシステムのメッセージ機能を介して下さい"との事だが、多くのケースで、ホストはLINEのIDを聞いて来る。最初は、あれれ?って感じがしたけど大体はそんな感じなので、郷に入っては郷に従え的な台湾洗礼を感じたのだった。

旅のソフトとハード

さて、旅の行程がソフトだとすると、自転車だとか持ち物がハードに相当するだろう。身体もハードの部類になるかな、、。

自転車はこの旅用に新しく作った。確かレイノルズのクロモリパイプだったと思う。ロードバイクとしてオーセンティックで手堅い作りだ。
機械はカンパで、サドルはブルックスの革にタイヤは28cと少し乗り心地重視の仕様とした。

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もう、機材って物にあまり頓着しなくなっていたので、とにかくツアーの途中で壊れなければ良しとした。だから重いのも善き事であった。 
記録によると、自転車は、7月30日に完成した様だ。
台湾行きの飛行機に乗ったのが、8月2日だから、正信正銘のぶっつけ本番でツアーに臨んだのだ。

ついでに言うと、自転車に乗る事自体が半年ぶりと言う横着な事だった。
その前はさらに半年以上開いているから、実質的に自転車に乗っていないのと同じ事だ。
自転車用の筋肉なんて殆ど無い状態で真夏の台湾を走る事が、どの様な結果になるかは、容易に想像できるが臆する事はしない。前進あるのみの人生を行くのだ。

持ち物は全てリュックに入れて背中に背負う。
そのスタイルは、人によっては背中が暑いと忌避するが、自分にとってはこれが具合が良い。お腹の脂肪と背中の荷物が天秤になって引き合って重量のバランスが取れるので、長時間の前傾が楽だし、空気抵抗も増えない所が理に適っていると思っている。
まあ、人それぞれ。

格好も力が抜けていて、パンツこそは自転車用のビブショーツを履くが、上はTシャツだしサングラスもせずグローブもしない。
全然決まってないのだった。
まあ、人それぞれ。

そして、波乱の台湾ツアーに突入して行くのだった。

当時の"instagram"投稿

つづく

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