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壊れない道づくりの原則とその意味

こんにちは。ヤモリーズのオヌマです。僕らが目指している「壊れない」道づくり。開設時には頭を悩ませながら、地形や地質を見て各種工夫を重ねて行く訳ではあるのですが、守るべき原則がいくつか存在します。道幅2.5m以下、切高1.4m以下という2つの数値は代表的なものです。原則これを守るのですが、場合によっては守れない時がどうしても出てきます。そういった際に、この数値の意味合いを考えておくことは重要になってきます。これらの数値に関して、酒井秀夫氏の著書、「作業道ゼミナール」並びに「作業道」が大変詳しく説明していますので、私見を加えつつ紹介したいと思います。

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まず切高1.4mという数値から考えていきたいと思います。図は作業道ゼミナールP91から引用しました。図のX軸(切り取り法高)に対する無崩壊率の推移を見ると、1mを超えたあたりから無崩壊率が大きく下がってきています。この図は宮崎県下の林地での事例であり、また工法も直切りではないため、条件は多少異なってくるのでしょうが、1m付近の切高が崩壊を防ぐために重要となってくるとは言えるでしょう。ただし、切高1mで2.5mの幅員を確保できるのは勾配が24度までであり(切土、盛土が等量になる場合)、日本の山においては、施工できる箇所が限られてきます。切高1.4mで30度の勾配ですと2.2mの幅員が確保できます。残り30cm程度でしたら、土留め工を用いることで拡幅が可能です。このように考えると切高1.4mという数字は利便性と崩壊のリスクとを経験に基づきに天秤にかけたギリギリの値であるのではないかと思われます。即ち我々が作業道の開設をする際には安易に切高を上げるのは危険であると考えられます。

このように切高の値の意味を探っていくと、幅員2.5mという値は、経済性を確保するためのギリギリを攻めた結果だと思われます。林内に高密度路網を張り巡らせる手法では、運材距離が長くなるため、トラックの使用が望ましくなってきます。これを通すために路面処理工や土留め工といった技術を用いて2.5mという幅員をなんとか確保しているのだと思われます。よって、2.5mの幅員を拡張する際は、勾配のゆるい箇所を選ぶ、土留め工を行う、崩壊を起こし難い地質を選ぶといった工夫が必要だと思われます。

今回の話は、かなり私見が混ざっており、内容も大きく割愛していますので、ぜひ、酒井氏の著書を読んで頂きたいと思います。また、これらの話は切り盛り等量で勾配が30度以下での林地での話だということを付け加えておきます。勾配が30度を越えると施工方法が異なり、当然理屈も異なってきます。本年度担当している三津五郎現場は、30度を越える勾配の箇所に多く路線の設計をしており、大変苦戦しています。またの機会にこれらの話もまとめられたらと考えています。


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