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ちずちゃんのフォルケホイスコーレとの出会い〜ちずちゃんインタビューvol.1〜

今回は、メンバー唯一のフォルケホイスコーレ(以下、フォルケ)経験者であり、雨と歌とラタトゥイユ代表のちずちゃんへのインタビュー記事をお届けいたします。

インタビューの様子。

ちずプロフィール:
 フォルケホイスコーレでの対話や小さなチャレンジを通して、自分を知る機会をたくさん得る。自分自身の受容と、人の輪の中で生きる温かさに浸り、「つわのホイスコーレ」立ち上げを発起。津和野3年目。埼玉県出身。

ひめプロフィール:
 北欧の教育やデザイン、暮らし方に興味があり、いつか北欧に暮らしてみたいなと思っている。ちずちゃんにお誘いを受け、「つわのホイスコーレ」立ち上げに参画。津和野4年目。石川県出身。


ちずちゃんの「フォルケとの出会い」


ひめ:
ではでは、ちずちゃんよろしくお願いします〜。
今日は、ですね、
ちずちゃんが「そもそもなんでフォルケに行こうと思ったのか」、
「フォルケとの出会い」について、お話聞けたらなと思います。
早速ですが、フォルケを知ったのはそもそもいつ頃なんですか?


ちず:
「フォルケホイスコーレ」という言葉を知ったのは、大学の時でした。
大学のクラスでフォルケホイスコーレを研究してる子がいて、”フォルケホイスコーレ”っていう言葉と、デンマークっていう国に大人のための学校があるんだっていうのがふんわり頭に入ってきて、その時はまさか自分が行くことになるとは思ってもみなかったです。



「フォルケホイスコーレ」に行くことを決めるまで。


ひめ:
じゃあ、ちずちゃん自身が「フォルケに行こう!」ってなったのはいつ頃なんですか?

ちず:
フォルケに行く前に一度デンマークに行ってるんですけど…

ひめ:
へぇ〜そうなんだ〜!

ちず:
そうそうそう、デンマークに行くスタディーツアーで、教育施設と 環境施設を巡るツアーだったんですね。社会人 2年目かな。24歳のとき。

小学校訪問。授業スタイルが日本と全然違って驚きの連続。

ちず:
その時ちょうど、仕事も少ししんどくて、自分に合っているのかなとかも悩んでいる時期で…

ひめ:
うんうん。

ちず:
そんな時に学生時代にボランティアした子どもキャンプで知り合った方に、「こんなのあるけど、どう?」って声かけてもらったんです。一週間ちょっと必要だし、結構お金もかかるし、悩んだんだけど、思い切って行くことにしたんです。

ちず:
見たのは、森のようちえんと小学校…、エフタスコーレとかも行ったのかな。
フォルケホイスコーレも、確かちょっとだけ行った気がします。
それから、環境施設も。ゴミステーションみたいなところとか、風力発電の発電機が立ってるところとか。

エネルギーと安全について考えるきっかけにもなりました。

ちず:
デンマークは原発の発電機がないみたいなんですね。
この風車が建っているところは、元々原子力発電機が建つ予定だった場所なんだよって、
デンマークは1970年代原発を推進していたけど、民衆の運動によって再生可能エネルギーを進める方向にシフトしたんだと、
この時聞いた、市民の声によって国の政策が変わったという話は、このツアーを思い出す度に一緒に思い出すくらい印象に残っています。

エネルギーの持続と、環境と、安全と、自然保護と、経済と…

政治は自分たちの生活に直結していて、自分たちでつくっているものなんだというデンマーク人の意識に驚いたからだと思います。


ちず:
あと、すごい良かったなって思うのが、何グループかに分かれて、現地の人としゃべれたこと。英語ができる人とできない人で組合わせてもらって、英語で一般のデンマーク人と喋れたのは貴重な機会だった。



でもやっぱり、一番残っているのは、森の幼稚園の雰囲気がすごい良くて。

森のようちえん。園舎はない。輪になって一日が始まる。

ひめ:
へぇ〜。

ちず:
それで、デンマークっていう国がずっと私の中に残ってて…。
それから、しばらくして、前の仕事を続けていたんですけど、
5年目のちょっと前に、1回、5年で仕事に区切りをつけようって思って。
その後、何しようかなって考えた時に、一回、自分の暮らしを考え直したくて何を大事に生きていきたいの?っていうのを。
それで、デンマークで大人のための学校あったよなって、思い出して、
そこからフォルケホイスコーレを調べ始めました。

ひめ:
へぇ〜そうなんだ。じゃあ、元々、デンマークに興味があったっていうよりは、知り合いの方からこういうのがあるよって 言ってもらって、その国がたまたまデンマークだったみたいな感じで。
行ってみたら、デンマークの人の意識だったり、森のようちえんの雰囲気だったりにちずちゃんの心に残るものがあって…
社会人5年目の時に、またデンマークに行こう。ってなったと。
ちなみに、森の幼稚園でいいなって思ったポイントとかって覚えてたりしますか?

ちず:
何がって、これって、ピンポイントで言えないんですけど、とにかく雰囲気がよくて。まず、子どもたちが凄いはしゃぐでもなく、かと言って、 面白くなさそうでもなく、本当にナチュラルにそれぞれが遊んでいたので…
それを大人も、なんか見てるような見てないような、って感じで。
でも、多分そこに大人がいるっていう安心感とかも感じられる雰囲気、空気感だったんですよね。

大人が居るだけ。その大切さ。

ひめ:
なるほど〜
その時は、もう保育関係のお仕事されてたんですか?

ちず:
保育ではないんですけど、子ども関係の仕事でした。

ひめ:
そうだったんですね〜
まあ、でもそのときの体験がちずちゃんに引っかかったのかも?
もしかしたら、今のお仕事に繋がってるところもある?

ちず:
どうかな?今保育に関わっているのはたまたまかもしれないですけど。(笑)
でもデンマークへのスタディツアーが、デンマークという国への興味を大きくさせてくれて、デンマークという国のたくさんの魅力の一つにフォルケホイスコーレがあったんです。
大人のための学校があるってなんて素敵なんだと、憧れのようなワクワク感というか、それを自分でも体験してみたいなに繋がっていったのかなって思いました。

こんな感じで、いくつかのテーブルに分かれて交流。
聞いたこと全部、丁寧に答えてくれてうれしかったなぁ。

ちずちゃんの「フォルケホイスコーレ」体験記。


ひめ:
ちょっと話は変わるんですけど、
フォルケも、いくつか、学校があるじゃないですか、
その中から、ちずちゃんがノーフュンスに決めた
ポイントとか、ここが良かった
みたいなこととか
事前に調べる中で困ったこととか、もしあれば、知りたいです。

ちず:
事前に調べる中では、英語がそんなできるわけじゃないので。
情報がそもそもよくわかんない…

ひめ:
ああ、確かに。基本は、全部英語ですもんね〜。

ちず:
その中でノーフュンスは結構行っている日本人も多いし、そもそも日本語で行われるクラスがある。

ひめ:
へぇ〜。

ちず:
他をたくさん調べるほどの英語力も余力はなくて
結構、(検索で)上の方に来てるし、行ってる人もいるみたいな感じだったから、安心感があった。どの学校か選ぶよりも、まずフォルケホイスコーレを体験したい、という思いの方が強かったかもしれない。

ノーフュンスホイスコーレ

ひめ:
そっか、そっか〜。実際、行ったのは4か月くらいですか?

ちず:
8月から12月の4か月のターム

ひめ:
ノーフュンスは、夏タームと冬タームみたいな感じ?

ちず:
春もあるんだけど、ちょっと春は短かった気がします。
3か月だったかな。

ひめ:
実際行ってみて、ちずちゃん以外にも結構日本人の方は多かった?
あと、授業はどんな感じでとるのかなと思って。
大体、1日で何コマくらい?

ちず:
そうですね〜。多かったですね。
午前で1科目、午後で1科目というような感じでした。
間にブレイクタイムがあって、2コマ分で1科目、みたいな。

ひめ:
1回大体2時間すごいざっくりだけど、1コマ2時間弱ぐらい? とか

ちず:
多分、1時間半くらいかな〜
ブレイクタイムもそれなりに20分ぐらいはあったかな。

ブレイクタイムはフルーツや軽食が並ぶ。

ひめ:
授業の選び方は、選択制みたいな感じ?

ちず:
メインのコースは、申し込む時に選んでおいて。
入ってから、ちょっと違うなと思ったら、こっちのコース行きたいって変えることもできるんだけど。

ひめ:
選べるんですね。選択コースも週に2つ?

ちず:
ちょっと正確には覚えてないんだけど、2つか3つか…
午後に組み込まれていることが多かった気がします。

ひめ:
へぇ〜。

ちず:
ノーフュンスの今の授業の構成は、私がいた時とは変わっているから…

ひめ:
あ、そうなんですね!

ちず:
だから参考程度に。私の時はメインを2つ選びました。

ひめ:
ちずちゃんは何がメインだったんですか?

ちず:
パーソナルリーダーシップっていう感じの授業。

ひめ:
うんうん。

ちず:
それがデンマークにとっての外国人向けのクラスなんですね。で、もう1つデンマーク語っていうクラスも外国人向けとしてあって、他は基本的にデンマーク人向けのクラス。
そのパーソナルリーダーシップっていうクラスの中にデンマークの福祉教育のコースと、サスティナビリティのコースがあって。
たとえばですけど、火曜日の午前は全員でパーソナルリーダーシップをとる。
で、木曜日の午前はその福祉のクラスとサステナビリティのクラスに分かれて…

想い出の教室。たくさん聴いて、語って、もやもやして、ひらめいて、腑に落ちて。

ひめ:
それぞれ学びたい方を。

ちず:
そうそう。
私は最初申し込む時は、福祉のコースで選んだんだけど、2回ぐらい受けて、サスティナビリティの方を学びたいなと思って、そっちに変えました。

ひめ:
あ、そうなんだ、そういうこともできるんですね〜
でも、事前に授業のタイトルはわかるけど、どんなことするのかってわからないじゃないですか。どういう感じで選んでいくのかな〜?と思って 。
メインとか選択の教科とか、オリエンテーション的なのが、あるんですか?

ちず:
あ、結構ちゃんとありました。オリエンテーションは。
メインの方はホームページに説明があるから、それを選んで申し込む。英語で書かれているんだけど(笑)
それを見て選ぶんですけど、選択科目の方は、中学の部活体験みたいな感じで、オリエンテーションで順々ちょっと巡ってみて、 これにしようかなって、後で紙に書いて選んでました。

選択授業の一つ。“チキンハウスをつくろう”

ひめ:
そういうお試しできるのいいですね。なんか、授業もやってみないと、やっぱ、自分に合うかとか、これが学びたいことなのかってわかんないから、 体験ができる期間があるのすごいいいなって。
日本の大学の授業が多分、割と近いのかなと思うんですけど、 でも、大学の授業ってあんまりお試しないじゃないですか。事前に〇〇概論みたいなのがあってな、〜先生がいて、なんとなくこういう授業するよみたいなのがシラバスみたいなのにあって。
あとは、もう、先輩のなんか助言。この授業、単位とりやすいよ〜とか(笑)
そういうので決めてたけど、お試しがあるってすごいいいシステムだなって思いますね、
ちなみに、週5日、授業がある?

ちず:
5日授業ですね。

ひめ:
土日は寮で過ごすって感じ?

ちず:
寮で過ごしたり、遊びに行きたい人はもちろん遊びに行ったりするし、デンマークの子とかは週末実家に帰るとかもしていましたね。

ひめ:
近い子はそういう風にしたりしてるんだ〜。
3食、ご飯は出てくるからみんなで作ったりとかっていうのは、あんまりない?

ちず:
ご飯出てくるけど、私のいた学校はキッチンもあって、ちっちゃいキッチンなんだけど、これ作ろうみたいなのもできてたから、時々やりましたね。餃子作ったりしました。皮から。

もっちもちの餃子ができた。お醬油の味はホーム。
ふみふみしてうどんも作ったなぁ。どうしても和の味恋しくなる時がある。

ひめ:
餃子!?
小麦粉とかはあるから、それっぽいのはつくれるんか〜。
でも、そういう異文化交流というか、アジア系のメンバーがデンマークの子たちに ちょっと教えながら一緒に作るとか、できるのめっちゃいいですね。
あと、なんか、ちずちゃんがフォルケに行って衝撃を受けたこととか、えっ
みたいな。こととかありますか?

ちず:
衝撃を受けたこと…

ちず:
色々ありますね。そうだな〜
衝撃を受けたところ...本当に1番衝撃を受けたのはタームが終わる、その1週間前に辞めますって言ってやめたデンマーク人の男の子がいて。

みんなね、あと一週間だから、一緒に卒業しようよって言うんですけど、彼の気持ちは変わらず辞めるんだっていう感じで…
大きな問題が起きたとかではなかったんですよ。「もうつまんないから辞める」って感じで、正直理解に追い付かなった。(笑)

でも、辞めるときにさよならパーティーをやりたいって。盛大にさよならパーティーを開いてたんですけど、なんかそれを見て、自由だな〜と思って(笑)
自分の辞めたいで辞める。
一緒にいた日本人の子が、「この人はこれやりたかったんだね」って言っていて妙に納得したんです。
こんなふうに盛大にパーティーしてバイバイするっていうのがしたいから今辞める、そんなのもありなんだね、っていうのは結構衝撃でした。

ひめ:
ああ、たしかに日本人だったら...
日本人だったら、っていう言い方がいいのかわかんないけど、あと1週間だったらもうほんとに嫌でも、もうちょっと我慢しとこうかな…みたいなのあるけど、
その人らしくいられる、やりたいことをやれるっていうのは、やめるタイミングにも現れるんだなって思って。おもしろいですね。

ひめ:
4ヶ月、フォルケで過ごしてみて、 ちずちゃんの中で行く前と行った後で、変わったこととか、 広がったこととかあったりします?

ちず:
行く前は、やっぱり結構、
「よし!デンマークに行くぞ」「デンマークの教育を学ぶぞ!」っていう感じで行ったんですけど、
過ごしていく中で、自分が囚われていたこととか、
本当は自分はこうしたかったんだというのにだんだん気づいていって

最後は、その時その時の自分のネガティブな感情も、ポジティブな感情もどっちにしても、その感情を味わう…っていうのがちょっとずつできるようになってきたかな。
無理にポジティブに思わなくてもいいし、できない自分をできないまま受け容れていくというか…。

帰ってきてからは、デンマークで自分で自分を受け容れられる。受け容れていいんだなって思えるようになってきたんだけど、日本に帰ってきたらそれがうまくできなかったの
日本社会のせいではないとは思うんだけど、私が日本社会の中でなんかうまくできなくて、すごいもどかしかったというか、何やってもちょっと違うっていうのを感じながら、いた。今もいる、かな…。

日本に帰ってからも、その都度、自分のことを考えている。

ひめ:
うん、うん。
デンマークでは自然にできたことが日本に帰ってきて、できなくてもどかしいみたいなこと、話せる範囲でいいんですけど、どういう時にそういうのを感じたのかなとか?

ちず:
どこがなんだろうな…

ひめ:
例えば、さっきのデンマークの男の子が自分がやめたいタイミングでやめたっていうのを見て、ちずちゃん的にそういうタイミングでやめてもいいんだって衝撃だったみたいに、
なんか、日本人は割とやりたくないことを結構、我慢して、やり続けちゃったりとか、周りに合わせちゃったりとかっていうところがあるのかなって思ってて、
そういう周りの中に自分がいると、自分がやりたいことではないことでも、やらなきゃいけないみたいな雰囲気があることがもどかしかったりするんかな〜とか。

ちず:
そうね、それは確かにある気がします。やりたくないとかやれないって、やっぱりなかなか言えない。

ひめ:
うんうん。

ちず:
言っちゃいけないって、やっぱりちょっとどこかで思ってしまう

ひめ:
そういうのありますね〜。
言葉にうまくできないけど、なんとなく感じるもどかしさとか、モヤモヤみたいなものが、もしかしたら、ちずちゃんが日本にもフォルケみたいな場所があったらいいなって思うところに繋がったりしてるのかなって思ったりしました。
なんで日本にフォルケをつくろうと思ったのかみたいなところは、後半で話せたらいいかなと思います。ありがとうございました。

本当にだいすきだった、“green bike”という選択科目。
英語は苦手なおじいちゃん先生と、4人の学生で自転車で出かける。
時には海へ、時には森へ、時には協会に、小さな街の資料館にも。




ちずちゃんインタビューvol.2
「なぜ、津和野にフォルケホイスコーレを?」を、近日更新予定です。
お楽しみに〜。

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