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おふくろの味はお肉次第

大学生になって初めて知ったことがある。
食堂の壁に並んだメニューを見て気づいたこと。
カレーのメニューにポークカレー、ビーフカレー、チキンカレーと書いてある。
なんでわざわざなんのお肉を使っているか書いているんだろう。
カレーには牛肉じゃないの?

関西出身の両親を持つ私にとってお肉といえば牛肉だった。
カレーも牛肉、肉じゃがも牛肉、肉豆腐も牛肉。
肉まんは豚肉を使ってるから「豚まん」。

学食のメニューを見て、関東と関西の肉文化の違いを知った。
全国から学生が集まってくる大学では、メニューにお肉の種類を掲げなくてはいけなかったのだろう。

そういえば小学生の頃、ある日の夕食に豚肉で作った肉じゃがが並んだ日がある。
「今日は豚肉にしてみました〜」と母は言うが、いつもと違うからかなんだか受け入れられず箸が進まなかった。

大学生になってほんの少しだけキッチンに立つことが増え、スーパーで買い物をした時、牛肉の高さに驚いた。
そりゃぁ食卓に豚肉出したくなるね。
あと、スーパーのお肉コーナーは豚肉が占める面積が圧倒的に多い。
関東は豚肉推し。
それでも父と行くスーパーでは「お肉は牛でしょ!」と二人で牛肉を手にとって、頑張って母の肉じゃがの味を再現しようと奮闘した。

夫と生活するようになってからは、もっぱら豚肉生活。
カレーにも肉じゃがにも肉豆腐にも豚肉。
いつのまにか馴染みの料理も豚肉を使うようになった。 
東京に魂売ったんか。
というか、やっぱり牛肉ってちょっぴりお高いからそんな言い訳をしてるだけ。

だけど、私の育った文化も知ってほしいから年末は牛肉で肉じゃがを作ろう。
年の瀬なら少しお高いお肉を使っても許されそう。


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