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美容室の「倒産」

東京商工リサーチの調べによると、美容室の倒産数が急増しているようである。(6/13集英社オンラインより)


2024年1月~4月の美容室の倒産件数が46軒と、前年同期と比べて48.3%増加し過去最多に迫る勢いだという。



この原因を美容室開業の支援相談を行う中嶋税理士によれば、
『独立・開業・経営に対する美容師の知識不足である』と指摘している。

『美容師の独立の理由の多くは「このままこのお店にいても将来が見えない」という、職場における不満や人生設計の悩みを端緒にしたものであり、経営の知識のないままに「おしゃれなお店を作りたい」「コンセプトにこだわりたい」といった考え方を優先し、勝つための準備をせずにオープンしてしまったことが、今の倒産数増加の大きな要因につながっている』と話す。(一部抜粋)



さて、突っ込みどころが多い記事なのでどこから話せばよいのやら。


今日は、簡単に一つだけ話してみたい。


「倒産数」が急増してのニュースであるが、いやいやまだまだぜんぜん少ない、美容室はもっと倒産するべきなのである。

おかしいことを言ってると思うかもしれないが、それが現状で美容師の抱える問題を解決するにはもっともよい方法である。



美容室が減るとどうなるだろうか?

倒産した人には申し訳ないが、
人手不足は解消し、美容師の所得は上がり、美容師の質が向上する。さらに美容師をやめた人が介護職などへ転職すれば、マクロではみんなが良くなるのである。
というか、市場が健全な状態になるといったほうが良いだろう。


なぜなら、日本経済そのものが縮小していくからである。


人口は年間で60万人も減少していく。鳥取県の人口が毎年消えていくような感じだ。
なのに、現在まで美容室は増え続けていて、1980年代から比べると2倍に増加した。
人口は当時とほとんど変わってないのに、コンビニの5倍も美容室がある。

美容室の廃業率はかねてから「1年以内に6割、3年以内に9割」といわれる。すなわち、美容室の開業は9割が失敗するのである。

しかし、多くの美容師にとって、いまだに美容室の開業は「つぶれにくい」というイメージがあるらしく、人口オーナス期に入って10年以上が経過しているというのに無知も甚だしい。
中嶋税理士の意見に同意する。


通常、美容師は「一人前」になるまでに10年ほどの期間を要する。
その期間を「コスト」と考えて細分化した結果、勤続年数は半分以下になり、軒数が2倍になり、所得は半分になってしまった。


当然、価格は上げられない、賃金は上がらない、人手不足に陥る訳である。
これは、美容室に限らず日本の中小企業全体に当てはまる。


しかし、もっとも杞憂なのは勤続年数の減少による「技」の停滞である。
日本の美容師の技術は、「Cool Japan」の一部を担う重要な文化だと自負しているのだが、このままでは「もったいないお化け」が出てきそうである。




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