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【読書記録】玉藻の前

2024年38冊目。

これまでの岡本綺堂読物集は短編集でしたが、今回は長編です。

『絵本三国妖婦伝』を元ネタに九尾の狐伝説を描いた作品。玉藻は藻という少女の身体に乗り移ったという設定です。オリジナル要素として藻の幼馴染である千代松が登場するのが特徴で、物語はこの千代松を主人公に進展します。

解説ではゴーチェの短編「クラリモンド」の影響が指摘されており、なるほどなぁと感じました。「クラリモンド」は綺堂自身が訳しており、『世界怪談名作集』に収められています。

「クラリモンド」ではロミュオは生還しますが、本書の千代松は玉藻を求めて那須を訪れて命を終えるところに違いがあり、綺堂の美意識を感じました。個人的にはこの展開は好みです。

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