【読書記録】魔女の冬 冬の王3
2024年102冊目。
三部作の完結編。三作品とも非常によくできており、一作目の感想で書いた、ここ最近読んだ作品の中でイチオシの評価はシリーズ通してイチオシできる内容となっています。
『熊と小夜鳴鳥』ではキリスト教が優勢のように見えましたが、本作でワーシャはキリスト教も土着信仰も認めるというスタンスを勝ち取ります。あとがきによると実際のロシアでは20世紀初頭まで両信仰が残っていたということです。
最後の戦いであるグリコヴォの戦いも実際にあった出来事であり、史実に添いながらその裏にあった女性の活躍を描くファンタジーとして非常に面白く読めました。
ワーシャはキリスト教と土着信仰の間を取りもち、冬の王兄弟の中を取りもち、ルーシ団結のために各地を飛び回りとマージナルな存在として多くのものを背負っています。女性ながら男性社会に飛び込んだりもします。自由でありたいと願うワーシャらしさがでていますが、その代償を払ったのは他人だったという場面は重く感じました。ワーシャのせいで兄弟は窮地に陥りますし、タタール人に焼かれる村も出てきてしまいました。
冬の王との絆は、ケンカばかりですが彼らなりに愛し合っていることがよくわかりました。彼らは共に歩むことはなくても共にある存在なんだと思いました。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?