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#小説
マイクロノベル(41〜45)
◼️マイクロノベル41(空が大きなあくびをし)
空が大きなあくびをし、山がゴロンと寝返りをうった。地面はうんと伸びをして、風はくしゃみが止まらない。海は急に走り出し、川が腹を空かせているからと、雨は急いで買い物に出かけた。そこへタヌキがやって来て、くさいくさい屁をこいた。
◼️マイクロノベル42(今朝気紛れに助けた亀と殺したガマガエル)
今朝気紛れに助けた亀と殺したガマガエル。その夜、亀は恩
マイクロノベル(36〜40)
◼️マイクロノベル36(格差が判断を狂わす)
格差が判断を狂わすのだ。世界は経済のコントロール下にあり勿論誰も例外ではあり得ない。資本主義に操られ私は直ちに仕事を開始した。呪い、それが仕事だ。憎悪、これは仕事内容だ。邪悪な感情が太陽と共に昇り暮れてゆく。そして生き抜く事も儘ならずそれ以外に何も起こらないのだ。
◼️マイクロノベル37(人生一度きり)
人生一度きりと命の限り猛進するも、ある日突
マイクロノベル(31〜35)
◼️マイクロノベル31(鉄の塊の飛行機が空を飛ぶ訳)
鉄の塊の飛行機が空を飛ぶ訳はエンジンルームにある。そこには大量の鳥が詰込まれており鳥師の合図で一斉に羽ばたき機体が飛び立つのだ。誤って鶏が混じった時は墜落の原因になるらしい。因みに船舶は船底に大量の魚を飼っており、宇宙ロケットはというと、一応それは国家機密らしい。
◼️マイクロノベル32(絹の道が解けて)
絹の道が解けて編まれた線路が現れ
マイクロノベル(26〜30)
◼️マイクロノベル26(「バートン」「マートン」「ブラームス」)
「バートン」「マートン」「ブラームス」はそれぞれ、他人、自分、物全般、を意味する単語でその世界ではこの三語しか話されない。他に言葉は必要なかったのだ。ある日、手に変な石を持って「ブラームス!」と言うと皆が笑ったのがきっかけで、暫く「ブラームス」が流行った事がある。
◼️マイクロノベル27(やめた筈の煙草)
やめた筈の煙草だった
マイクロノベル(21〜25)
◼️マイクロノベル21(男は30年顔を洗っていなかった)
男は30年顔を洗っていなかった。顔に水がかかるのが苦手だったのだ。今日気紛れに顔を洗ってしまい困った事が起きた。まるで別人の顔になってしまったのだ。目の窪みと鼻周りの長年の汚れが化粧の様に影を作り彫りの深い顔にしていた様である。のっぺりとした見知らぬ顔に茫然とする。
◼️マイクロノベル22(友人宅を訪ねると)
友人宅を訪ねると祖母だと
マイクロノベル(16〜20)
◼️マイクロノベル16(正月)
正月。御節の海老がブリッジをした。驚いた数の子が四方へ弾け飛び、黒豆は艶やかな皮を脱ぎ捨て脱走をした。ごまめは目をむき蒲鉾へ突き刺さり、昆布巻きは干瓢の帯を解いて振回しながら伊達巻のタイヤで走り回る。それに見惚れたお餅はお屠蘇で酩酊してビョーンと伸びて横になった。
◼️マイクロノベル17(紫煙のくゆる先に)
紫煙のくゆる先に、座った男の姿がうっすらと浮かんで見
マイクロノベル(11〜15)
◼️マイクロノベル11(「見おぼえ探偵」)
「見おぼえ探偵」は記憶力が良いのか悪いのか判らない探偵だ。ズバ抜けた記憶力の持ち主なのだが全部うろ覚えなのである。「何か見覚えがあるなあ…」が口癖で事件に挑む。少しずつ思い出し解けてゆく謎。全部思い出すと事件解決。一回で思い出してくれればと便座黒警部はいつも思う。
◼️マイクロノベル12(行列が出来ている)
行列が出来ている。期間限定らしいとか、開
マイクロノベル(6〜10)
◼️マイクロノベル6(「落ちましたよ」)
「落ちましたよ」なんて出会いのきっかけになったり、熱にうなされる子供の頭を冷やしたり、あの娘の涙を拭ったり、まあ普通に手拭いがわりに使われたりと、そんな風に私はなりたかった。なのに何故、空を飛んでは人を驚かさなければならないのかと一反木綿は不服に思っている。
◼️マイクロノベル7(寝ていると金縛りにあった)
寝ていると金縛りにあった。目の前を霊が通り
マイクロノベル(1~5)
◼️マイクロノベル 1(かつて地球は)
かつて地球は大きな亀の甲羅の上に広がる世界だと思われていた。今では球形の天体だというのが定説である。その時だった、46億年の眠りから覚めたダンゴムシが、丸まった身体から大きく伸びをしたのは。
◼️マイクロノベル2(グレーゴル・ザムザは)
グレーゴル・ザムザはある朝、立て続けに苦しい夢を見て目をさますと、ベッドのなかで自分がいつのまにか巨大な毒虫に変身し