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竹で作った〇〇

夏休みの自由研究の思い出といえば、小学生のときにやっつけで作ったアレをすぐ思い出す。

夏休みの自由研究

私は例に漏れず、宿題をやらずに遊ぶタイプの子供だった。ただ夏休みの宿題は、早めに終わることはないが、ギリギリでも夏休み期間中には終わらせる子供ではあった。

あれは小学校の中学年〜高学年くらいの時か、いつものように夏休みを楽しく過ごしていた。もちろん宿題も夏休み中には終わるペースでこなしていた。

だけど、自由研究のテーマだけは夏休みが終わりに近づいてもなかなか決まらず、親にもどうするんだ?と言われる始末。

今からでは、とても数日かけてやるような研究はできないな、何か作るしかないかな……と思った。

苦肉の策

そんな夏休みがもう終わろうかという8月下旬(地元の学校は8/20あたりで夏休みが終わる地域)、家族と出かけたホームセンターで妥協案をみつけた。

夏休みの工作コーナーに陳列してあった商品を見つけた母が「もう、これにしな」と言ってしぶしぶ買ったのは、竹細工のキット(説明書通りに作れば難なく完成するやつ)だった。

このキットは、もうどんなものだったか思い出せないが、ハッキリと覚えているのは【その商品の完成品ではなく全く別物を作った】ことだけは間違いない。

いざ!適当に作る

同梱されていた材料は、乾燥した茶色の笹の葉と作りやすいように加工された十数センチ程度の長さの竹材がいくつか。そして完成品を飾るための箱が入っていた。明日か明後日には提出しなくてはならず、買ったその日にさっそく作った。

パーツを切ったり貼ったりしてるうちに、当時の私は何を思ったのか、それらを二つのグループに分けた。なぜかその時は思いついたのだ。昆虫を作ろうと。

材料の葉、竹材の長さ、そして竹材をつなげるための小さい円筒状のパーツが複数。竹材には接合部に円筒状の穴が二箇所空いている。閃いたのだ、竹材は体、そのほかは目かツノ、羽根に使える。

さっそく、円筒状のパーツをはめて目のようにし、細長い竹材を尻尾、笹の葉をハサミで加工して羽根にした。そしたらトンボができた。テキトーに作った割にはちゃんとトンボだ。当然定規などで測って作ってはいない。完全フリーハンドだ。

余ったほうは何を作ろうか。そうだ、基本形はおなじにして、あーしてこーして、ほらできたクワガタだ。ツノが短いのでメスとか言い張れば言い逃れできるだろう。

体感にして30分程度だったと思う。飾り付け用の箱に作った二匹を固定して、昆虫採集をしたかのような作品ができた。これで自由研究は何とかなったなと安心した。

まさかの展開

夏休みが終わり、宿題を無事提出した。私としては宿題をできなかったと怒られることを回避できたことで頭がいっぱいだった。

それから何日ほど経ったか、唐突に市の自由研究コンクールで入選(確か佳作あたりのものだったと思う)したと教えられた。しかも、入選作品は学校近くにある地元の銀行にしばらく展示されるという。

子供ながら、母と爆笑した。当然だ。テキトーに作ったもの、しかも数十分程度でフリーハンドでやっつけで作ったやつなのにね、と。

審査員の方達はきっと、一生懸命作ったんだなと評価してくれたのだろうが、当の本人は宿題を忘れたくない一心だけでテキトーに作ったのだ。あの時の審査員の皆さん本当に申し訳ない。

ただ、展示期間を終えて我が家に戻ってきた作品を改めて家族みんなで見たら、何か誇らしいような気分になった。自宅の玄関で展示会その2がしばらく続いたのは言うまでもない。

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