【TCP2022】最終審査まで進んだ10名のクリエイターの声:後編
TCP(TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM)の2022年度の各部門あわせて計10名のファイナリストのみなさんへ最終審査前にインタビュー。今回はその≪後編≫です。自身の企画の「映画化」まであと一歩というところまで進んだ方々の、生の声をお届けします。
≪前編≫インタビューはこちらから
※以下、部門別、五十音順、敬称略
企画部門
最終審査では気持ちの面も押し出しながら、半分情熱、半分ロジカルに、理路整然とプレゼンをする予定です。監督・脚本部門の方と違って、私は普段の仕事がクリエイター職ではないでので、逆にそうでない魅力を上手く出せればと。
グランプリ受賞はもちろん重要ですが、ゴールはこの企画が映画化されて、それが劇場でお客さんに喜ばれることだと思います。なので、受賞もひとつの通過点・目標と捉えて、自分の思いをぶつけていきたいです。
今回の作品のイメージは、実は3年ほど前からできていて、TCP応募のためにじっくりと企画書に落とし込みました。審査員であるプロデューサーの方たちからは、自分にとって思いも寄らなかったアドバイスがあり、良い意味でかなり驚きました。そこから企画書を再度チューニングしていく過程では、悩みながらも練り上げられたつもりです。
最終審査のプレゼンテーションもギリギリまで悩みそうです。TCPは商業的に成立することを目標にしているコンクールでもあるので、ただ書きたいものを書きましたではなく、商業映画として成功するという側面が必要なんだと思います。なのでその伝え方は、直前までまたじっくり考えていきたいです。
監督部門
ヨーロッパにおける映画製作のノウハウはありますし、今回の企画をスペインのプロデューサーにも見てもらっていて、ポジティブなコメントももらっています。しかし日本でのプロフェッショナルな映画製作過程が、本当に未知な状態。なので、もし今回この映画の製作を進められることになれば、素晴らしい機会になるだろうと、今からとてもワクワクしています。
私はすごく緊張するタイプなので、プレゼンのリハーサルは可能な限り何回も行います。色んな人、映画に詳しくない人にも見てもらい、気付かなかったポイントを修正していきます。言語の壁もあるので、自分たちが描いているビジョンを正確に伝えることが、とにかく重要だと考えています。
最終審査は明確にプレゼン形式だと分かっているので、できるだけ言いたいことをしっかりまとめてお話ししようと思います。それでも緊張はしそうですが‥‥
二次審査でいただいたフィードバックを加味しつつ脚本の初稿を書き上げましたが、お客さんに「見てもらえるもの」を想定できていないと厳しいだろうというのは強く意識しています。
2021年に、初めて自分の長編映画を劇場で公開できて、次の作品はオリジナルかつ自主制作ではない規模でやりたいと思ったことが、今回TCPに応募したきっかけです。そして最終審査への通過が決まり、より一層、絶対に撮りたいという気持ちが強くなりました。そこの映画に懸ける思いがしっかり伝えられるようなプレゼンにしたいです。
脚本部門
普段はミュージックビデオの監督業がメインなのですが、いつか長編映画にも挑戦したいと思っていたところ、TCPというチャンスを見つけました。
この企画は、離婚に際して起こる「親権問題」についてなので、男性1人で撮るよりは、例えば共同脚本とか、別の監督さんにお願いするとか、多角的な視点があった方が作品にとって良いだろうと思い「脚本部門」での応募にしました。
TCPはグランプリを受賞できると映像化が確約されている実現度の高いコンクールで、映像化されたどの企画を見ても強いフックがあると感じます。私は親権問題という時事的な要素もある主題を扱いましたが、そういった仕掛けや、お客さんが見に来てくれる取っ掛かりがあるものが、映画には必要だと個人的に思います。ここまで来たら…という思いで、絶対に形にしたいという気持ちを切に訴えたいです。
おわりに
二次審査に同席し、かつ映画ライターをしている以前から、ただの映画好きである私にとってはどの作品も魅力的で「映画館で観てみたい」と思うものばかりです。しかし実際には、映画になるのは一部の作品のみ。
そして、どの候補者の方も応募動機こそそれぞれで異なりますが、自身の企画を「絶対に映画にしたい」という強い思いがある部分では同じです。
私にとってはクオリティと候補者の方の気持ちの面の両方で甲乙つけがたい心境ですが、プロの映画プロデューサーの視点、最終審査を経てどの作品が選ばれるのか、そして今後どのようにこの企画が1つの映画作品となっていくのか、ここに立ち会えたことに感謝し見守っていきたいと思います。
(文:芦田央(DJ GANDHI))