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「コロナは創造する人々を止められなかった」#リモート映画祭_石塚慶生さん

こんにちはHikaruです!本日から一週間、毎日TCP過去インタビューを掲載していきます!
(2019年9月18日 (水) 17:00 配信済み)

過去インタビューですが、コロナの現状で「映画業界」にどのような変化が起きているのかが分かる取材となっていますので、ぜひご一読ください!

(以下掲載内容)

クリエイターを応援する業界の取り組みをピックアップし、代表者の方にその「想い」をインタビューしていきます!

映画界とクリエイターを繋ぐ『映画祭』。その主催者の方にインタビューを行い、主催するご自身の映画祭の特徴や今後の展望を伺います。 第1回目は配給大手の松竹が主催する「#リモート映画祭」。 映画プロデューサーであり「#リモート映画祭」の企画者でもある石塚慶生さんにお話しを伺いました。

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石塚 慶生 (いしづか よしたか)氏
松竹株式会社 映画プロデューサー
 <代表作>
 『わが母の記』(2011)
 『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(2016)
 『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(2018)
#松竹リモート映画祭とは

2020年5月~7月末までプロアマ問わず、広く一般から、自宅でリモート制作した短編映画をSNSで公募。(現在は受付終了)
グランプリ受賞作品には賞金30万円のほか、副賞として若干名に、石塚プロデューサーと共に次回作を共同開発する権利や、松竹配給作品の宣伝動画を共同開発する権利が進呈。

(公式ツイッターにて2020年中に発表予定)
 ※「#松竹リモート映画祭」公式サイト  

「新しい世界を創るきっかけに」

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#リモート映画祭の開催のきっかけ
作品の撮影や公開がストップしてしまった年度末からのコロナ禍では、映画製作側の人間として、今後どう映画を作っていくかという課題に直面していました。

ですので、当初、映画祭の企画ということは頭にはなかったのですが、次第に様々なSNS上で、リモート下で撮影した映画、映像作品が作られ、公開される動きがみられるようになりました。

映画、演劇、配信それぞれの映像作品がいろいろな場所で入り混じっている状況で、こういった作品を集中させ、作り手と観る人とのハブになる環境を作ることができれば面白いのでは、と思い、#リモート映画祭を企画、実施しました。

コンセプトは「みんなで作って、みんなで見せ合う」これまで関係者界隈でしか観られていなかった作品同士をYouTubeやツイッターをハブとして繋げる事で、クリエイターやネットユーザー同士が観られる。この流れを作ることが狙いの一つです。

今まではそれぞれの作り手が分かれている、映画、演劇、配信作品ですが、この「#リモート映画祭」を通し、ぞれぞれのクリエイター同士が垣根を越えて、出会い、関係を築くことで、新しい映像の世界ができたら面白いなと思います。

リモート映画祭ロゴ

「応募作品が自身の刺激に」

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今回の総応募数は360作品を超えました。
圧倒的に多かったジャンルはホラーです。
その他ではひとり語りやワンシチュエーションコメディなど、似た傾向の作品が多く集まりました。リモート下で撮影した作品であったので、どうしても少人数の出演者の作品などが多かったのですが、その中でサスペンスにするのか、恋愛ドラマにするのか、応募作品それぞれに展開の工夫がされており、「なるほどな」と感心させられました。

傾向が似た作品が多かったからこそ音楽の使い方や編集テクニックなど、映像を操るセンスの差が如実に現れもしました。

自分自身、映像を扱う立場として、同じテーマやジャンルの作品の中でも差別化できている作品を観ることで、とても勉強になり、審査する側ではありますが、自身のステップアップにもなりました。

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「作り手だけでなく、演者の発掘も」

■演者の全国リモート参加型オーディション「ルーツ」

「#リモート映画祭」で多くの作品をご応募いただく中で、リモート下でもこれからの才能と出会うことはできるとわかりました。

そこで作り手だけでなく、演者の才能も世の中に出していきたいとの思いから、リモート参加型の発掘オーディション「ルーツ」を企画し、選ばれたメンバーでのリモート演劇を制作しようとしています。

演技が未経験でも、姿を見せる必要のないブラインド状態でも応募ができ、リモートだからこそできる全国の俳優、表現者の発掘を行うという意味で「ユニバーサル・オーディション」を副題に掲げ、選考をしております。選ばれた方はリモートでのワークショップを体験していただき、リモート演劇公演と2021年制作予定の長編映画への出演をお約束しています。

演劇を志し、上京をしてきた学生や、志半ばで地元に戻った方、結婚出産などで舞台に立てない方など、こちらのオーディションも808人という予想を超える方々にご応募いただきました。

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「現状に、ただ立ち止まっていても何も変わらない」

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◾️今後の展望

「#リモート映画祭」の話に戻ると、今年の受賞作品は年内に発表予定で、受賞の特典として賞金のほか、私のチームと共に次回作を共同開発する権利や、松竹配給作品の宣伝動画を共同開発する権利を進呈する形で、受賞者の活躍の場を共に模索していきます。

次回開催の予定は何も決まっていません。
コロナの先行きが全く分からない部分もあるので、開催しないかもしれないし、別の形でクリエイターの方々を応援しているかもしれない。

ただ私自身は今後も世界に届けられる作品作りにチャレンジし続けていきたいと思っています。コロナ禍で生まれたリモートでの表現や今回の「#リモート映画祭」や「ルーツ」を通じた出会いが、私の目標につながっていくものだと思います。もしかしたらリモート映画や演劇で、世界中で愛される作品を生み出すことができるかもしれません。

今後、どのような状況になったとしても、可能性が0でない限り、映画を作り続けていきたいです。

コロナを機に、映像や演劇の在り方が変わろうとしている中、クリエイターやそれを志す方々には、その変化に足踏みをせず、積極的に新しいことに挑戦してほしいです。そんな変化に敏感で、果敢に挑むようなクリエイターと一緒に何かを創りたいと思います。

TCPへの応援メッセージ

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TCPにとって大切なことは今後もこの取り組みを続けていくことだと思います。そういう意味では、事務局として、ターゲットの幅がニッチではなく広い企画だったり、ビジネス性の高い企画だったりを積極的に発掘・開発していくことも重要なことだと思います。

これまでに映画祭や脚本コンクールの審査員を務めてきて、企画作りをする上で、「お客様に楽しんでもらう」という目線はとても重要なことですが、実はそれができていない応募者も多いと思います。

応募者としてもこういった観点を大切にしてほしいし、TCP自体が応募者と映画製作者との間に入って、こういった企画作りをする上での「お作法」のようなものが学べる場となっていただければ、と思います。

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