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人生は基本ガチャ 西加奈子「夜が明ける」を読み感じた事

現代の日本で問題視される若者の貧困、 虐待、 過重労働をテーマにした作品。

正直、私自身幸運な事にどれも当てはまらないと自覚している。
しかし、内容が重く読んでいるこちらも辛い気持ちになった。

以下は本作を読み感じた事をつらつらと書きました。

困っている人がいたら”助ける”事が前提である。

”性善説”という言葉があるが、損得勘定抜きに誰かに手を差し伸べる事は、自分に余裕がなければできない事だと感じる。

自分がどん底にいる時に、誰かを助ける事などできない。
だから、困っている人を助けたかったら、まずは自身にゆとりを持つ事が必要である。

働く目的とは?

多くの人は生きていくためと答えるであろう。
それはそうだ、働かなければお金を稼げない。
お金を稼げなければ生活できない。

贅沢せず生活するだけでも、それなりにまとまったお金が必要である。
その日暮らしの生活を余儀なくされている人も多いであろう。

この世の中には搾取する側とされる側が存在する。

貧困層はこの後者にあたるのであろう。
働けど働けど食費や家賃を払うだけで手元にお金が残らない。

本作の主人公もテレビの制作会社の下請けで働いている設定で、どんなに頑張っても評価されるのはテレビ局の人間という構図になっている。

若者の貧困について

10~20年程前より確実に増加している。
昨今、コロナの影響で失業率が増え問題が顕著になっている。
では何故、増えたのか?

多様性
SNS

この2つのワードが頭に思い浮かんだ。
多様性は良い風に使われる事が多いが、悪い風に働いていると感じた。

働き方について昔は会社勤めが一般的であったが、昨今YouTube、Uber Eats、SNSを駆使したインフルエンサー業など個人として働く形が増えてきた。

働き方が増えるのはもちろん良い事だが

好きな事を仕事にする
何ものにも縛られない

という考えが先行してしまっている。
成功すれば会社員として地道に働くよりお金が入るし、
有名になる事で自己承認欲も満たされるであろう。

しかし、現実として成功する人間はごく一部である。
メディアが成功している人間だけを取り上げ

「一度の人生、好きな事しようよ!」

という好き=仕事が正義である事を声高に主張する。
メディアが華やかな部分だけ切り取った虚像に躍らされ、夢見た若者がどんどん沼にはまってしまっているのではないか。

また、鬱やストレスに対し昔に比べ寛容的になった事も関係しているかもしれない。

鬱やストレスに対して目を向ける事は間違いなく良い事である。
だが、一方で辛い・苦しい事に対して我慢する耐性が低くなったとも感じられる。会社を直ぐに辞めたり安易に仕事を放棄する事で結果、失業の増加に繋がっているのかもしれない。

人生基本ガチャ

親ガチャというネットスラングを最近よく耳にするが、
人間関係は基本ガチャで、自分でコントロールする事ができない。

会社や学校などの組織において間違いなくどこにでも性根が腐ったやつがいる。

悪いガチャを引いたら、戦わずして逃げる事が最善手だと思う。
ただ、被害者側になるとどうしても視野が狭くなり

「自分にはここしかない・・・」と思いこみに陥るケースが多い。

この状況を打開する方法としては、信用できる第三者に相談する。
そして、自分が置かれている状況に対し客観的な意見をもらう事が良いのではないか。

苦しかったら助けを求めよ

人に弱い部分をさらけ出すのには勇気がいる。
しかし、案外人は誰かに頼りにされる事に喜びを感じるものである。
だから、もっと気軽にSOSを出して良い。

助けてもらったら今度は自分が誰かを助ければ良い。

だから、もう一度言う。

苦しかったら助けを求めよ

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