見出し画像

蔦井の好きな蔦まみれ建築

蔦まみれ建築には11つの造形タイプがあるとお話ししましたが、私にはその中に3つ好きな造形タイプがあります。

1.ホボスポ型

100%ではなく、完全でない80%ってのがいいんです。
全部スッポリ覆ってるものも、もちろん迫力があって良いのですが、それだとモジャモジャしてて可愛らしいものとして見えてしまうんですよね。完結してしまっているというか。でも少し余白があるものは、完結していないことによって人間と自然の拮抗が見えて面白い。まだ2割ほど無事なところはあるけど、私たちにはもうどうすることもできないのが良いのです。蔦が家を捕食している場面に居合わせてしまった気分にもなります。だから8割くらい蔦まみれな方が私は好きです。

上の写真は印象深かったホボスポ型の蔦まみれ建築。偶然見つけたということもあり、発見した時は見惚れてしまいました。閑静な住宅街にある普通の家屋に這っているのですが、一軒覆い尽くしたかと思えば、その隣の家にも蔦が這い始める! 蔦の生命力や容赦なく家を覆っていく脅威のようなものが感じられて印象的でした。

2.ハイハイ型

今度は打って変わって、這い始めのハイハイ型。
「蔦まみれ」とは言い難いですが、これを甘く見て見逃すから蔦まみれ建築ができてしまうと考えると、結構重要なのではないでしょうか。
「この小さいのが放っておかれて、やがては建物を丸々覆うかもしれない…」と思うと、すごくワクワクしませんか?まだまだ完結していないものは想像する余地があることで、こちら側に考える楽しみも与えてくれます。

ちょこっと顔を出している

3.モドキ型

ニセモノでできたモドキ型も好きです。
造花の蔦には「蔦を生やしておしゃれにしたいけど、手入れしたくない」と言う人間の自分勝手さが詰まっていると思うのです。
実際に建物を緑化することは、手入れも必要で結構手間がかかります。それに対して、プリントやプラスチックでできた蔦はその手間を省きながら、おしゃれな外観や日除けになることなどのメリットを享受できます。しかし、植物が二酸化炭素を吸ってくれるなどの環境美化的なメリットはありません。だからそこに人間の業みたいなものを感じられて好きなんです。逆に、それだけ試行錯誤されるほど、「蔦まみれ」というものは人と結びついている深いものと、この型からわかりました。

工事現場のバリケードにも!


以上蔦井の好きな蔦まみれ建築でした。
こう見ていくと私は、蔦まみれになっていく過程が好きなのかもしれないですね〜。
侵食していく強い生命力が感じられるものが好きなんでしょうね。