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蔦まみれ建築のあるところ

今回は「蔦まみれ建築はどんな所にあるのか」について書いていきたいと思います。
どんな場所にあるかわからない蔦まみれ建築ですが、実は存在する場所と蔦の生態を照らし合わせてみると、法則性が見えてきます。
私は「文献による蔦の生態の調査」と「フィールドワークによる蔦まみれ建築の収集」から、3つの法則を見つけました。

  1. 住宅や飲み屋街など建物が密集している地域に見つかりやすい

  2. 1つあると近くにもいくつかある

  3. 古い建物が残っているところに多い

これらが私の思う、蔦まみれ建築があるところ3法則です。1つずつ説明していきます。

【その1】住宅や飲み屋街など建物が密集している地域に見つかりやすい

蔦まみれ建築を探す中で、家が密に建っている住宅地やお店がきっちり並ぶ商店街や飲み屋街でよく見つかるとわかりました。
見つかりにくいが故に撤去されないで成長できるため、多くあるのだと思われます。線路側の壁なども立ち入れずに管理が行き届きにくいせいか、よく生い茂っていました。

【その2】1つあると近くにもいくつかある

国分寺で見つけた蔦まみれ建築のマップ。
近くにいくつか固まってありました。
(蔦のマークが蔦まみれ建築)

収集している時、1つ蔦まみれ建築を見つけると、さらに3~4件ほど近くに見つかることが多くありました。
唐沢孝一さんの「都市における果実食鳥の食性と種子散布に関する研究」(※1)によると、「ナツヅタは果実をつけ、それが鳥の餌になる」、「鳥のフンからナツヅタの種子が見られた」、「種は発芽もした」という結果が出たそうです。
そこから、1つ蔦まみれ建築があると、その近くの建物にも鳥によって種が運ばれて蔦まみれ建築が増えているのではないかと考えることができます。だから1つあると周りにも見つかるのではないかと思います。

【その3】古い建物が残っているところに多い


昔ながらの銭湯も蔦まみれ

蔦が大きな建物をしっかり這うには長い年月が必要になります。そのため、古い建物が残っている場所に多く見られました。逆に新しい建物が多くて開発が進んでいるところでは見つかりにくいです。
だから探すときは、開発が進んでいる都心からは離れた場所、古い建物が残っている場所を探すと見つけやすそうです。廃墟に蔦まみれ建築が多いのもここにつながるのではないかと思います。

私は植物や建築などの専門家ではないため個人的な見解にはなってしまいますが、蔦井の考える蔦まみれ建築があるところの法則性でした。蔦まみれ建築を探すときは、これらに注意すると見つけやすくなると思います。
しかし、あくまで傾向なのでこの条件以外でも見つかることもあります。意外とどんなところでも見つかるのが蔦まみれ建築なので、まずはいろいろな場所を歩くのが大事です!
探す時は、とにかく暑さに気をつけて、探してみてください!

【参考文献】
※1…唐沢孝一「都市における果実食鳥の食性と種子散布に関する研究」日本鳥学会編、鳥: 日本鳥学会誌27(1)、1978年、p1-20