多様な文化のなかまと交流できる「なないろ」
鶴見国際交流ラウンジでは、外国にルーツを持つ子どもたちを支援する二つの学習支援教室が実施されています。そのうちの一つに中学生が対象の教室「なないろ」があります。そこに通った経験を経て大学生になり、現在は学習支援コーディネーターとして活躍されている宮城あみさんに、学習支援の活動についてインタビューしました。
「なないろ」の活動の目的は何ですか?
一番の目的は、生徒たちが無事に高校に進学できるようにサポートすることです。また、もう一つの大切な目的は、ここは外国にルーツを持つ子どもたちが集まる場所なので、彼らに安心して過ごせる居場所を提供することです。
私自身、「なないろ」に通っていた経験も踏まえて言えることは、外国にルーツを持つ子どもたちは、学校の授業についていけなくなることがあるということです。日本で幼いころから育った子も、最近来日した子も、共通してそのような経験を持っています。
授業についていけなかったり、言語の壁にぶつかったりすると、孤独を感じることがあるんです。そのような孤独を感じさせないように、月曜日に教室に集まり、一緒に勉強することで居場所を作っています。
みんな国や文化、バックグラウンドが違っても、その違いを共有できる場として、互いに共感し合いながら、一緒に頑張ろうという気持ちで学んでいます。
私たちが目指しているのは、将来、彼らが日本人の子どもたちと同じように、平等にチャンスを得られるようにすることです。例えば、就職や大学進学など、問題なく進めるようにサポートしたいと考えています。
教室では、普段学校では静かな子が賑やかになることもあります。ここは安心感があるからでしょうか。友達が作りやすい環境なので、その経験を通して少しずつ自信がついて、学校でも徐々に自分を表現できるようになってきた子もいるようです。
活動内容について教えてください
「なないろ」では、生徒の状況に合わせて学習内容が変わります。最近来日した生徒には日本語の勉強を中心に行います。漢字の学習や語彙力の向上を目指し、学校で出された課題や宿題、テストのサポートも行います。
一方、日本で幼い頃から育った生徒には、特に苦手な教科や追いつけない教科を中心に指導しています。
個々の能力に合わせた指導を心がけており、例えば、最近私がサポートしている生徒はブラジルから来たばかりで、漢字の学習を重点的に行っています。語彙力を高めるためにカードを使ったり、日本語の表現を教えたりして、日本語でのコミュニケーションが取れるようになることを目指しています。
学校の勉強でわからないところがあった場合、先生が一人ひとりにじっくり教えるのは難しいことがあります。そういう場合に相談できる場所として「なないろ」がサポートしているんです。
「なないろ」にはどのような人たちが参加していますか?
現在、最も多いのは中国にルーツを持つ子どもたちです。その次に多いのがブラジル、ペルー、メキシコといった中南米のルーツを持つ子どもたちです。他には、フィリピンやインドにルーツを持つ子どもたちもいます。教室には約30名の子どもたちが通っており、サポーターと呼ばれる学習支援のボランティアさんは約10名、さらに最近では10名ほどの高校生サポーターも参加しています。基本的には、1人の生徒に1人のサポーターがついて教える形ですが、場合によっては1人のサポーターが2人の生徒を教えることもあります。授業は基本的に簡単な日本語で行っています。
なぜ宮城さんは「なないろ」の活動を始めたのですか?
「なないろ」の活動を始めたのは今年の4月からです。昨年から月曜日に鶴見国際交流ラウンジの相談スタッフを始め、その際に「なないろ」の活動に触れる機会がありました。生徒たちと交流する中で、自然と活動に興味を持つようになりました。
過去にサポーターとして教えた経験があったこともあり、縁あって学習支援コーディネーターを務めることになりました。 教えることは難しいと感じることもありますが、生徒たちが教室に来てくれることがとても嬉しいです。私も中学生の頃、「なないろ」に通うのが楽しみで、毎週待ち遠しかったのを覚えています。ちなみに、私が通っていた時に教えてくれた方々が、今もサポーターとして活動してくれているんです。
生徒だった頃の経験は、現在の学習支援コーディネーターとしての活動にどのように役立っていますか?
生徒と支援する側のそれぞれの視点を理解していることが私の強みです。
中学生の頃、「なないろ」に行ったのは、友達と会える楽しみがあったからでした。もちろん勉強も大事でしたが、友達とおしゃべりする時間がとても嬉しかったのを覚えています。
今、支援する側の立場になって、当時のサポーターたちが厳しく指導してくれた理由がよく分かります。生徒たちの成長のために必要だったんですね。でも、やっぱり生徒たちは賑やかで集中しにくいこともあるので、そのバランスを取るのが難しく感じることもあります。それでも、生徒たちが楽しみながら学べる環境を作っていきたいと思っています。
「なないろ」にこれから参加したい方へ一言お願いします
この「なないろ」は、勉強だけでなく、さまざまな国の人と交流できる場所です。スペイン語では「Las puertas siempre están abiertas」と言って、「いつでもドアが開いています」という意味があります。つまり、「いつでも大歓迎」ということです。多文化共生の場として、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちが集まり、交流を深めています。興味のある方はぜひ参加してみてください。
学習支援教室「なないろ」は毎週月曜日に実施しています。教室で勉強したい方、サポーターとして教えたい方は、まずは鶴見国際交流ラウンジに電話(045-511-5311)でお問い合わせください。
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