巨人・中島宏之選手は、いわゆる「福留曲線」を描いているわけではないということ
今季、巨人のファーストとして定着し、勝負強いバッティングで活躍を見せる中島宏之選手。8月14日には、通算200号本塁打も記録しました。そんな中島宏之選手、今季の成績には一部ではいわゆる「福留曲線」を描いている、とも言われています。福留孝介選手、中島宏之選手、どちらも素晴らしい選手ですが、今回は両者のNPB復帰以降の成績を比較してみると、実は全く異なった傾向にあるという話をしていこうと思います。
そもそも「福留曲線」とは
まずは福留孝介選手の紹介から。43歳の大ベテランです。
2013年に阪神タイガースでNPB復帰後、1年目は打率.198と不振でしたが翌2014年シーズン後半から成績を上げ、勝負強いベテランとして蘇りました。このNPB復帰後、復活を描いた曲線がいわゆる「福留曲線」です。実際どういう数字の変遷になっているのか、改めて見てみましょう。こちらが2013年以降の成績です。2015年には、20本塁打を記録、2016年には打率.311を記録し、OPSはこの年が復帰後としては最高記録です。そして2017年、2018年も優れた記録を残しています。(※2020年度は9月4日時点)
2013年以降をグラフで表すとこのような形になります。2013年から2016年にかけて明らかに上昇していますね。
中島宏之選手のNPB復帰後の成績は
こちらもまずは中島宏之選手の紹介から。西武で遊撃手として定着し、2011年には遊撃手としては史上二人目となるシーズン100打点を達成。その後、オークランド・アスレチックスと契約もメジャー出場は叶わず、2014年にオリックス・バファローズでNPBに復帰。2018年のオフシーズンには年俸面で折り合わず巨人に移籍し、今年度は巨人のファーストとしてレギュラーに定着しています。
こちらがNPB復帰後、2015年以降の成績です。(※2020年度は9月4日時点)
今シーズン優れた成績を残していますが、実はオリックス時代も特に2016年度、2017年度はある程度の成績を残しています。OPSの開発者であるビル・ジェームズは、OPSを以下のようにランク分けして評価しています。
A 素晴らしい .9000以上
B 非常に良い .8334 - .8999
C 良い .7667 - .8333
D 平均的 .7000 - .7666
E 平均以下 .6334 - .6999
F 悪い .5667 - .6333
G 非常に悪い .5666以下
また、パ・リーグ平均のOPSは2016年度.707、2017年度 OPS.708ということからすると、「良い」成績は残しているといえるでしょう。(ただ、西武での活躍の記憶も新しいままでのNPB復帰、かつ年俸的には物足りないというファンも一定数いたこと思います。)
両者のグラフを比較
2015年以降をグラフで表すとこのような形になります。福留孝介選手とも比較してみましょう。
中島宏之選手
福留孝介選手
このグラフからも分かるように、中島宏之選手は「オリックス・バファローズ時代、2016年度、2017年度、2018年度と打率、OPS的にはある程度安定した成績を記録。巨人移籍1年目は振るわずだったが、打率的にはオリックス時代ぐらいの水準に戻し、OPSが特にオリックス時代よりも上昇傾向」といえるでしょう。
まとめ
今年度、中島宏之選手は、得点圏打率「.368」(2020年9月4日時点)という特に優れた成績を記録しています。やはりそういった勝負強さという点も、首位を走る中でファンの注目を集めているのでしょう。最終的にどのような成績を残すのか、楽しみですね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?