逃避
2024年2月19日。
先週金曜日に「月曜日から仕事に行こう」と思ったものの、1週間で現場に復帰することはできなかった。
適応障害は、自分が思っていたより深刻なものだった。
本社へ現状を伝えるメールを入れ、もう1週間休みを延ばすことにした。
しかし、ストレスの原因は完全に取り除けない。
現場の業者からの電話が1日に1回は入ってくるのだ。
これは、自分のスマホが私用と業務用を兼ねているからだ。
電話がかかってきたら「あとで通知」を押し、不在着信の通知を消す。
とても小さなことだが、これも大きなストレスに感じるようになった。
そして自分は、
「遠くに行こう」
と思った。
自分はスマホで行ったことがない旅先、乗ったことがない乗り物を調べ、いくつか候補を挙げた。
河津、出雲、金沢、青森、函館、下地島...
その中から選んだ行き先は、金沢だった。
北陸地方は元日に大地震があり、今も余震が続いている。
しかし、石川県北部を除けば観光は可能で、ヘッダー画像にもある「北陸応援フリーきっぷ」が発売された。
これは、首都圏から北陸地方までの新幹線往復と、北陸地方の鉄道フリーパスがセットで2万円という破格のきっぷだ。
2万円という価格は、上野と富山を新幹線の自由席で往復するだけで元が取れる。
(上野から富山まで自由席で往復24,440円)
これを使うのは今しかないと思い、自分は北陸応援フリーきっぷを買った。
2024年2月20日。
きっぷを買ったはいいが、まだ泊まる場所を決めていなかった。
連休前の平日であれば、1泊2食付の温泉宿でも1万円少々で泊まれる場所があった。
そのため、自分は山代温泉の宿を予約した。
山代温泉は、なんと1300年の歴史を誇る名湯である。
ここなら、首都圏の喧騒から離れ、温泉に浸かりながら歴史をたどる旅ができるはずだ。
新しい場所、新しい景色、知らなかった歴史に触れれば、少しは癒しを得られるだろうか。
ひとまず着替えと洗面道具をリュックに詰め、旅に出る日まで、再び気ままに過ごすことにした。
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