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人情

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2024年2月22日。

泉鏡花記念館と兼六園を巡り、金沢の繁華街である香林坊(こうりんぼう)のホテルにチェックインした。

しばらくベッドでゴロゴロして、バスで金沢駅に向かう。

駅ビルで夕飯にする場所を探していたところ、「金沢天丼」というメニューがある店を見つけた。

店に入り「金沢天丼」を注文すると、山盛りの天ぷらが乗った天丼が運ばれて来た。

金沢天丼(3,410円)。

金沢天丼は、その名の通り金沢を初めとする北陸の海鮮をふんだんに使った天丼だ。

乗っている天ぷらは、海老2匹、ガス海老、のどぐろの大葉巻き、さつまいも金時、原木椎茸、半熟卵である。

汁物は味噌汁が付いており、追加料金で小うどんやカニ汁にも変更できる。

金沢天丼はボリューム満点で、すぐにお腹いっぱいになった。


天丼を食べてホテルに戻り、しばらく胃を落ち着かせて、再び外に出る。

1人で落ち着いて酒を飲みたかったので、スマホで片町のバーを調べた。

最初に見つけた「漱流(そうりゅう)」は満席で、次に見つけた「スプーン」は、地元の常連さんがマスターと3人でゆったりと過ごしていた。

棚には、様々な種類の酒がズラリと並ぶ。

マスターにカウンター中央の席を案内され、席に着く。
スマホで「グラスホッパーが美味しかった」という書き込みを見たので、1杯目はグラスホッパーを注文した。

グラスホッパーは、ミントリキュール、カカオリキュール、生クリームを一緒にシェイクしたカクテルだ。

ミントアイスのような甘さと爽やかさがあり、まろやかな口当たりが心地よい。

1杯目を飲み終える頃には常連さんが帰られたため、2杯目を作ってもらうことにした。

ウイスキーを使った「オールドファッションド」。

オールドファッションドは、通常バーボン(アメリカのウイスキー)を使うカクテルだが、あえてアイリッシュ(アイルランドのウイスキー)を使ってもらった。

また、通常は最後にスライスオレンジを乗せるが、マスターは、くし切りにしたレモン、ライム、オレンジを用意してくれた。

マスターは「味の変化を楽しみつつ、型にはまらず好きな飲み方を見つけてもらえたら嬉しいです」と意図を教えてくれた。


マスターはとても気さくで、この店を開いて38年経つこと、仕事と人間関係の話、家族のエピソード、おすすめの店、そして地震の影響について話してくれた。

元日に北陸地方を襲った地震は、幸い店に被害を与えていなかった。
そのため、正月明けから通常営業できたと言う。

しかし、今は閑散期も相まって客足が遠のいている。
もっと多くの人に金沢を訪れてもらうことが、被害が大きい能登地方の支援にも繋がると話してくれた。

自分が今回、山代温泉と金沢を旅したことで、石川県が少しでも潤ってくれれば嬉しいと思う。


美味しい酒と会話を楽しんでいると、あっという間に2時間が経っていた。
時計の針は0時前を指していた。

マスターとの話は尽きないが、閉店時間も近いので、会計を済ませてホテルに戻ることにした。

きっぷの有効期限は明日(2月23日)までなので、明日は東京へ戻らなければいけない。

しかし「マスターに教えてもらった店に行く」という楽しみができた。

2泊3日の旅も終盤に差し掛かったが、最後まで存分に楽しみたい。

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