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町の明かり(後日談 ~真二サイド~)

(1190字です。
元作品は、
本記事の最後の方にあります。

この小説をお読み下さるだけでも、
話の内容の分かるように、
努めてみましたけれども、
元作品をお読みいただいてから、
今作をお読み下さりますと、
より楽しめるかもしれません。

つる拝)


(以下本文)

町の明かりは、夜になると灯る

真二は、
帰りの電車に揺られながら、
車窓から見える町の明かりの
通り過ぎゆくのを
見つめる。

リサイクルショップで
声を掛けてきた女の人。

季節は、あの寒かった頃よりも、
過ごし易くなっていた。

「素敵なオルゴールですね。」

手に取ったオルゴールに、
そう声を掛けてきた、
彼女の表情。
その場限りで別れた人。

あれから数か月が経ち、
相変わらず、
毎日が警備の仕事。

帰宅すると、独り家の中で
そのオルゴールを鳴らすのが、
楽しみだった。

再会などできないと思うほど、
そのオルゴールは、
恋の記憶をとどめた。

後日。

真二は、仕事場へ向かうべく
電車に乗り込むと、
向かいの席に
思いも寄らない姿を見つけた。

彼女だ

一度疑い掛けたが、
あの時と同じときめきを
再び感じた。

どうしよう。
彼女は忘れてるに違いない。
どう声を掛けよう。

今、話し掛けなかったら、
一生会うことは
無いだろうと思った。

想いがぐるぐると駆け巡る。

駄目元でいいから。
話し掛けることにした。

真二「あの。」

「・・・はい?」

「あの、失礼ながら、
おそらく覚えては
いらっしゃらないと
思われますけれども、
以前、と言っても
大分前のことですけど、
リサイクルショップで、
商品のオルゴールを
鳴らした時、
「ラ・カンパネラですね。」
と声を掛けていただいた
者です。」

「?」

「ご無理ありませんよね。
陶器で出来たオルゴールも、
素敵と言っていただいて。」

「ごめんなさい。
そのお話、私の事でしょうか、
残念ながら覚えていないんです。」

「そうですよね。
すみません、突然に。」

「いえ。
あ、でも、
ラ・カンパネラは確かに好き
ですし、そういうこと、
あったかもしれませんね。」

「はい、
とても印象的な出来事
だったので、
私はそのオルゴールを
買ったのです。」

「そうだったのですね。」

「それでその、
大変身勝手とは
思うのですけれども、
よければそのオルゴールを
今一度、
見ていただきたいのです。
ここで別れたら、
もうきっと会えない
でしょうなので。」

京子「・・・。」

真二は、
胸の高鳴りを
必死で抑えて言った。

「もし、お時間、
ご都合よろしければ、
少しお茶、お付き合い
願えないものでしょうか。」

「え、今からですか?」

乗客は、結構居るのだが
ひっそりとしている。

真二「あ、いえ。
私はこれから仕事ですので、
あ、連絡先。
できれば私のメールアドレスを。」

真二は、
鞄の中の手帳を取り出して、
メモを記しては、ちぎった。

「その、・・・受け取っては
もらえないでしょうか。
私の名前は、
平野真二(ひらのしんじ)と
申します。

いつになっても構いません。
気の向きましたら、
ご連絡、寄越して下さればと
思います。
オルゴールだけでも、
見ていただきたいです。」

「・・・分かりました。
メモだけは、
受け取らせていただきます。
オルゴール・・・
う~ん、・・・
聞いたような・・・。」

真二は、本当にそう思っていた。

オルゴールだけでも、
見て、聞いてもらいたい、と。

(おわり、1190字)

お世話になっております。
つる です。☆

今回の記事(作品)は、
ショートショート(小説)
です。

以前に投稿させていただきました、
ショートショートのコンテスト、
『 冬ピリカグランプリ 』用に
応募しました物の、
後日譚を書きました。

元の作品は、こちらになります(1188字)。

元作品のおまけとして、
グッドエンディングで
終わらせたかったのですが、
大会と同じ規定
(800字から1200字)を
守ると決めて書きますと、
(推敲を加えましたが)、
何だか今回も中途で
終わってしまった感が。。^^;

すみません、完結していない
感じかもしれませんが、
元作品と共に
お楽しみいただけるところ
あれば、幸いです。☆

一応、一話完結として、
書いているつもりですので、
この本作だけを読まれても、
話の分かるように、
努めてみた次第です。^^

それではまたです。☆

みなさまへわずかながらの
娯楽として、
お楽しみいただければ、
本望です。

物語はフィクションであり、
登場する名前は、架空のものです。

どうぞ、ご自愛の日々を。☆
しばらくです。m(_ _)m

つる かく🍂

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