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大きな木の下でソーセージを売るおじいちゃんとおばあちゃんと、、鳥


川を挟んで2本の道路があります。
北に向かう道路と南に向かう道路です。

北に向かう道路の脇に大きな木があり、いつもその木の下でおじいちゃんとおばあちゃんがソーセージを焼いて販売しています。

後片付け中のおばあちゃん

そのソーセージは、串に刺さっていて、お肉と発酵させたお米と春雨のぎっしり詰まったモッチモチでふんわりと酸味のあるソーセージ。皮がパリパリになるまで焼いて、アツアツのそのソーセージとキャベツと生姜と唐辛子と一緒に食べると美味しい伝統的なタイのソーセージです。

ある日のこと、おじいちゃんとおばあちゃんがいつものように炭を準備し、ソーセージを網に並べてこれからじっくりと焼こうとしていました。

大きな木の枝にはいつも黄色いクチバシの鳥が、おじいちゃんとおばあちゃんのソーセージを狙っています。

まだ炭火が熱くならないウチが鳥にとっての大チャンスです。

野菜の準備のために炭火とソーセージに背を向けていたおじいちゃんとおばあちゃんの隙をついて、

黄色いクチバシの鳥が一羽、
まだ焼けていないソーセージに
舞い降りつついて食べようとして、ソーセージを地面に落としてしまいました。

それに気がついたおじいちゃんが、怒りながらその一羽を追い払おうとしますが、もう落ちてしまったソーセージですからその鳥にあげてしまうことにしました。

おじいちゃんがその一羽に怒っている隙をついて、もう一羽の鳥が枝から炭焼きのストーブに舞い降り、焼いているソーセージに穴をあけました。

その穴からは、中身のお米やお肉が炭火の上に溢れ落ち、そのお肉の脂に火がつき、炭焼きのストーブが炎に包まれてしまいました。

大変です!!

それに気がついたおじいちゃんとおばあちゃんは、慌てて網の上のソーセージを炎から移動させて火を消そうとしますが、今度は移動させたソーセージに鳥達が集まり盗もうとしています。

火は消したい、
でも鳥を追い払っていないと大切なソーセージが盗まれてしまいます。

おじいちゃんとおばあちゃんは怒りながら大慌て!

この数分に起こった一部始終を、川の反対側の南に向かう道路から見ていた私のパートナーは、
今度北に向かう道路を走ったら、
このおじいちゃんとおばあちゃんのソーセージを買おうと思ったそうです。
この伝統的なソーセージは、街のあちこちの道端でよく売られていますし、木や電柱、電線にとまる鳥もたくさんいます。が、こんな光景は初めて見たそうです。

この黄色いクチバシの鳥はとても賢く、グループのチームワークで食べ物を奪う素手を学んで実行するそうです。

おじいちゃんとおばあちゃんのソーセージは、この鳥達にとってご馳走なんでしょう。

この出来事をパートナーが私に話してくれてから、私もおじいちゃんとおばあちゃんのソーセージが食べたくなりました。

おじいちゃんとおばあちゃんのモチモチソーセージ

今日、そのおじいちゃんとおばあちゃんのソーセージを買いました。夕方に立ち寄り、最後の3本を販売用のガラスケースにいれて、帰りの準備をしていたおばあちゃん。その横では、黄色いクチバシの鳥が三羽地面をつついていました。

私達は、
「あぁ!間に合って良かった!ずっと買いに来たかったんですよ。」と言いながら、最後の三本全部買うつもりでいました。

おばあちゃんは笑顔で、ちょっと照れながら、
「良かったら、残り三本全部買ってく?」ときいてきたので、

私達は、
「もちろん!全部いただきます。」と言いました。

するとおばあちゃんは、ソーセージ三本と、食べきれないくらいの野菜と唐辛子を袋にたくさん詰めて、とても素敵な笑顔で有難うーねー!と見送ってくれました。

おじいちゃんとおばあちゃんのソーセージは、とにかくむちっむちのモチモチで、凝縮された優しい味わいでした。

おそらく…
大きな木の下でソーセージを焼いて販売しているという、鳥にとっても最適な環境ということもあるとおもいますが、

おじいちゃんとおばあちゃんは、炭火を弱火から始め、ゆっくりとじっくりと時間をかけて焼くので、

鳥達にとって強すぎない火力の時間があるということ、
だからこそ、美味しい旨味が凝縮されたソーセージに仕上がるんだろうな、と

このソーセージを実際に食べておもいました。

きっとおじいちゃんとおばあちゃん、これからも鳥達との闘いがあるのかと思いますが、私達もまた買いに行きます。


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