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吊り下げられた昔懐かし中華麺
行商麺
夜中雨が降り、朝になってやっと雨があがった曇りの日。
ごく久しぶりに、おそらく2年ぶりくらいに、野菜の卸売市場に行ってきました。
いつも人とバイクでごったがえしていて、進行方向もごちゃ混ぜで、絶対に真っ直ぐ止まらずに歩くことのできない活気のある市場です。
お目当てのものを探しながらうろうろしていると、遠くから不思議な鐘の音が聞こえてきました。
お寺で聞くような鐘の音です。
「カーン…カーン…カーン…カーン」
とその音が近づいてくるような気がしたのです。
でも、あまりの人混みでその音がどこから、
そして何がくるのか全くわからず、
今にも雨が降りそうな薄暗い空の下、
私は「ちょっと不気味だな」と思ってしまいました。
(最近、怪談話を聞き流しながら仕事をしているためだと思います:笑)
すると、その「カーン…カーン…」という鐘の音が本当に近くに来たと思ったら、
「クイッティアオが来たよ〜!! クイッティアオいらんかね〜!」
と、鐘の音の後に男性の大きな声が聞こえてきました。
![](https://assets.st-note.com/img/1698749075960-E8RVfTrPTl.jpg?width=800)
安全なところにバイクを停めて、鐘の主を観察してみると、
不思議な格好をして肩にのせた長い棒の前後に何かを吊るしながら歩いているおじさんでした。
「クイッティアオ」とはタイの国民食とも言える、米麺でできた汁・汁なし麵です。日本のラーメンのような、ベトナムのフォーのような感じのものです。でも、その吊るされた何かは白い紙にぎゅっと包まれて、両手で握ったおむすびぐらいの大きさです。その中に麺?ラーメンが入っているのか??と、私はよくわからず、それでまた興味津々になってしまいました。
どうしようかな〜、どうしようかな〜と迷っていると、
あっという間にそのおじさんは人混みの路地の中に消えてしまいました。
そうなるとこんなチャンスを逃してしまうことが惜しくて、
慌てて追いかけてみることに!
鐘が鳴っていないとどこにいるかわかりませんが、
鐘が鳴り出すと、その聞こえる方に走っていってみます。
鐘が鳴っていない時はお客さんに売っている時です。
![](https://assets.st-note.com/img/1698749099037-FySqexz6wV.jpg?width=800)
再びおじさんを見つけると、吊るされたものは3分の2ほどになっていました。数分で結構売れてしまうようです。
「これは何?」
と聞いてみると、
昔ながらのクイッティアオだよ!と。中国式のね!とっても美味しいよ!
-クイッティアオヘンジンボラン-とでも言うかな。
と。
クイッティアオ=麺
ヘン=乾いた/汁なし
ジン=中国
ボラン=昔ながらの
という意味なので、”昔ながらの中華汁なし麺”と言うことになります。
昔ながらの中国系の方の行商の衣装で、
昔ながらの汁なし中華麺を販売しているおじさんでした。
![](https://assets.st-note.com/img/1698749120807-eHsVVQEQMm.jpg?width=800)
私は初めて食べるものだったし、もうお昼もとっくに過ぎた午後3時。
美味しいのか、一体どんなものかさえ、紙にくるまっているのかもわからない状態だったので、一つだけ買おうと50バーツ札を握りしめていると、
「彼氏と食べるなら二つ買いなよ!ちょっとおまけしてあげるからさ!笑」
(え!なぜわかる??)
ということで、一つ35バーツだった昔ながらの中華汁なし麺を二つで55バーツにしてくれちゃいました。おじさん太っ腹です!そして商売上手だなぁ〜。
それにしても、昔の人はこのような感じに麺を売り歩いていたのかぁと感激です。衣装はスタイリッシュだし、そしてこのおじさんは今もそのスタイルで行商するプレゼンテーション/パフォーマンスを取り入れているのが素敵だなぁと思いました。
素朴で懐かしい味
![](https://assets.st-note.com/img/1698749144970-43p4Bh8MBZ.jpg?width=800)
天然の竹の皮の紐、真っ赤な輪ゴムで紙包をしっかりと補強。
テープは一切使っていません。
![](https://assets.st-note.com/img/1698749159255-pDni48ZhlA.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1698749171790-GknYO36IUC.jpg?width=800)
太い米麺とチャーシュー、ミートボール、そしてピーナッツと甘い大根のお漬物を細かく刻んだソース。
紙の内側にはプラスチックシートが使用されていましたが、昔は大きなバイトゥーイという葉っぱを使っていたそう。そして、中国の黒くて甘い醤油がソースとして付けられていたみたいです。
時代ともにやはり変わってしまうものもあるんですね。
![](https://assets.st-note.com/img/1698749185804-P4kTiSLfbI.jpg?width=800)
味はとてもシンプル。
モッチモチの太い米麺に、甘塩っぱいソースが少しからまり、
ピーナッツの香ばしさ、
そしてお肉の旨味が活きる
からめ麺でした。
美味しい〜!
食べたことはないのに、どこか懐かしい味..。
私は豚肉にアレルギーがあるので、ちょっとだけチャーシューを味見してから、お肉類は全て夫に進呈。(※初めてのもの、山岳民族にお呼ばれした時などは、症状の対処ができる状態/覚悟をしてから、極力味の体験をさせていただきます。)
それでも、このピーナッツソースとモチモチ太米麺のからみが癖になる味!これにごま油をちょろっと垂らしたら、
もうそれだけで最高です。
購入する時から楽しく、
パッケージデザインも理にかなっている形で素敵、
味は素朴で美味しい。。
こういう味には惚れてしまいます。
おじさんに出会えてよかったです。
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