既婚者の転勤についての考察

新卒入社した会社で5年働いた後、関西から地方都市に転勤し早5年、次の行き先が朧気ながら見えてきたところで私が家族の人生を壊しているのではないかと思い至りました。懺悔の念も込めて綴ります。

これから転勤を控えている人、部下に転勤させる人、企業の人事担当者、転勤の対応に苦しんでいる人の一助になれば幸いです。

前提

 私が子ありでの転勤しか経験していないため、子あり前提になっているところがあると思いますのでご理解ください。
 また、転勤する側は今の世の中で一般的な夫の想定で記載されてます。

なぜ転勤するのか?会社が転勤を求める理由

 私の場合は、製造業勤務で本社から子会社工場への異動でした。
 現場をよりよく知るため、現場との繋がりを持つため、箔付けのために異動しました。異動自体は視野も広がるし、いろいろな取り組みに参加できたし、キャリア形成に有効な施策の一つではあると思っています。
 事実、私は転勤を通じて人間的にも業務スキル的にも仕事の幅、深さ交友関係ともに広がったと思います。

 一般的には視野を広げるためや、より広い範囲で活躍するために現場から本社であったり、ビジネス変化に対応するためにお祭り会場に異動することになると思います。

既婚者が転勤する場合の選択肢

 単身赴任か家族帯同になる

配偶者の負担について

  •  単身赴任の場合

 平日は配偶者がワンオペ家事・育児になる。共働きの場合は、配偶者は労働+家事・育児になる。
 これが意味するところは、子どもが発熱したりコロナで休校になると配偶者が対応しないといけなくなり、どうしても仕事に時間的な制約が生まれる。
 このような制約のもとで満足に仕事することは難しく、また、家に帰れば子どもの対応ときが休まる時がない。
 実家を頼ればいいって?
 仮に義実家と同居、世帯別同居、近隣別居の場合、なんでお前おらんのにお前の父母の相手しなあかんのよ、となる。
 また、義実家を100%信頼していることは稀なので精神的な負荷が生まれる。
 毎週単身赴任先から帰ってくるとすると休日は家族と過ごすことができる。
 ただ、帰宅費用の全額が補償されることは少ないので、家計の負担が増える、飲み会等で金曜の夜に帰れなくて、家族との時間が減ることも想定される。
 夫が帰宅したら帰宅したで、大きい子どもが帰ってきたようなもので、洗濯物を持って帰ってくる、作る御飯の量が増えると妻側の負担が減ることは稀である。

  •  家族帯同の場合

 配偶者の生活が全てリセットされる。
 生活基盤、キャリア、交友関係と本当に全てである。
 一般的に引っ越し後の片付けや日々の買い物、育児、子どもの習い事等を探すのは妻の役割になるので、生活を立ち上げるのにそれなりの期間がかかる。
 生活が落ち着いたら次は仕事を探したりするが、次の転勤までの期間や、第二子以降の計画を考えるとフルタイムで働くことは億劫になり、結果としてキャリア形成は難しい。
 フルタイムで採用されたのに次の転勤や出産のために職場に辞めることを告げるときの申し訳なさったらもう。。。
 また、安住の地でないのに深い交友関係築けるかよ。軽々しく友達作れば?とかママ友と仲良くすれば?とか言うなよ、である。
 どうせリセットされるんだよ、である。
 これに輪をかけて夫側の理解がないと、夫のために帯同で引っ越してきたのに、夫と話は合わず、自分の人生も壊され、夫の出世を望む夫と子どもの人生をなぞるだけの人生のように感じられる。
 自分は何者なのかは永遠の課題である。
 相談先もなく、孤独感にさいなまれることになる。
 最悪なのが、中途半端に夫側がイクメンを気取っていると、相対的にはいい旦那のため、愚痴の吐き先すらなくなる。(愚痴っても共感を得られない)
 責める先が自分しかなくなり、まさに地獄である。
 もちろん、新しい環境を積極的に活かせる人もいる。しかし、みんながみんなそういう人なわけではなく、またガチャのように運も必要。
 帯同先を楽しめないからと言って決して人間性や能力が劣っているというわけではない。むしろもともと無理ゲーなのに加えて運ゲーなのである。ここを夫、妻ともに履き違えないでほしい。

社内の転勤経験者の声(笑)

 転勤前に転勤経験者の話を聞くこともあるだろう。
 私の家族は楽しんでたよ、という感想が聞こえてくるかもしれない。
 最初はしんどそうだったけど最後の方は妻が友達になった人とバンドなんかやったり、とか言われるかもしれない。
 まず第一に、ほとんどの夫側は妻側の苦悩を理解していない。
 自分のキャリアの成功体験を元に肯定的な面しか捉えないフィルター越しの意見であることに注意が必要である。
 また、既に過ぎたことなので楽しい思い出に書き換えられていることもある。
 結論としては、転勤経験者の話は土地勘的な話以外は話半分でいい。

参考)モラ夫の行動
 モラ夫は自分の支配下に置くために配偶者の交友関係を管理、統制、制限しようとするが、転勤は合法的に勝手に交友関係が制限されるので、状況としては近くなるのではないかと思う。
 ※一私見です

夫がキャリア形成して家庭を担えばいいのではないの?我が家の役割分担だ!という意見
 妻には妻の人生があります。
 たとえ、夫の稼ぎ一極集中が家族としてコスパが"高そう"に見えても、妻が健康で文化的な生活をしようとすると外とのつながりや勤労は必要です。
 定住しないと思ってる地で腰を据えて外と繋がりを持てるか!!って話です。
 夫側は仕事の内容はちょっと変われど、働いて寝てって生活してるだけで逃げ道あるでしょう、飲み会もあるし、です。

転勤する時に気をつけるべきこと

 転勤するとどうなるのか、twitter等で情報収集することをオススメする。
 "転勤妻"や"転妻"で検索すると日々の苦悩を覗くことができる。
 その後、家族で本当にどうするか話し合ってほしい。
 会社の命令は絶対ではないし、転勤以外にもキャリア形成する方法はある。(現に妻はそれを求められている)
 簡単に転勤させることが出来ないとなると、企業は企業で別の施策を考える。放っておけばいい。 
 家族でこれから起こることをしっかり想像して、立ち向かうことが大事だと思います。
 あとは、転勤に帯同するとなると、場所を選ばずにキャリアを形成できるようなスキルを意識的に持つことが大事かと思う。これってハードルが高いけど、これをしないとジリ貧になってどんどん視界も選択肢も狭まっていってしまう。

色々書きましたが、皆さんに幸あれ。

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