こちら徒然研究室(仮称)

徒然なるままに、オープンデータとプログラミングで社会と人間の不思議を可視化する仮想研究…

こちら徒然研究室(仮称)

徒然なるままに、オープンデータとプログラミングで社会と人間の不思議を可視化する仮想研究室です。あやしうこそものぐるほしけれ...内容は個人の見解です。社会学/データエスノグラフィー/国際唎酒師 & SAKE DIPLOMA/Python/Observable

最近の記事

椎名もた「少女A」海外ヒットをデータから探る...10年前のボカロ曲はどう世界から発見されたのか

「日本以外の世界で聴かれる日本の楽曲」第8位は、10年前にリリースされたボカロ曲だった――。椎名もたさん「少女A」がグローバルヒットしてゆくプロセスをデータから紐解いていくと、2015年に他界している椎名もたさんの動画コメント欄に「Happy birthday!!」と書き残していく礼拝的行動の拡大や、海外ボカロファン層とライト層の連鎖的なユーザー創作動画投稿の増加がみえてきました。摩訶不思議な情報の海です。一万字超ありますので目次をご活用ください🙏 世界でヒットしている日本

    • 紅白歌合戦をデータ可視化してみる2023 - YouTube視聴1.8倍に

      昨年に紅白をデータ分析した記事へたくさん反響をいただきましたが、今年は更にデータを増やしてトライしてみました。みえてきたのは紅白が「テレビ以外」でより観られるようになっているという実態、そして令和のヒットメカニズムを象徴するYOASOBIさん「アイドル」の15組共演ステージや、90年代コンテンツ、ファンの熱量の可視化の試みへの支持です。一万字ありますので目次をご活用ください🙏 増える紅白のネット発信 まず紅白歌合戦のテレビやネットでの活動をみていてわかるのは、多くの新しい

      • 音楽サブスク時代の"文化的雑食性"をデータ可視化してみる

        SNSのタイムラインには私たちの好みや興味に基づいて選ばれた情報が表示されます。これはSNSのアルゴリズムが個々人の好みを学習し、情報を効率的に提示しているからです。しかし同時に「フィルターバブル」が引き起こされ、私たちの視野が狭まり、思考が偏る可能性があるとされます。 音楽サブスクリプションサービスも同様に、ユーザーの好みに基づいて音楽を推薦します。私たちは世界中の音楽に定額でアクセスできる環境にある一方で、アルゴリズムが個々人の好みに最適化した楽曲を提示してくれば、好き

        • 流行語大賞候補「ひき肉です」のミーム化をデータ可視化してみる

          TikTokやYouTube、Instgagraをよく使われる方なら、下記のような動画を一度はみかけたことがあるかもしれません。 これはJ-POPの人気アーティストの一人であるanoさんが、楽曲にのせて踊っている動画です。2023年8月29日に投稿されたもので、11月11日現在40万2千回視聴されています。 他にも、膨大な数のTikTokユーザーが、思い思いの「ひき肉です」動画やパロディ動画などを投稿しています。 例えば「#ひき肉です」が付加されてTikTokに投稿され

        椎名もた「少女A」海外ヒットをデータから探る...10年前のボカロ曲はどう世界から発見されたのか

          J-POPの"日本以外での聴かれ方"を可視化してみる

          Billboard Japanさんが最近集計/発表し始めた、Global Japan Songs excl. Japan(日本以外の世界J-POPチャート/当研究室訳)というチャートがあります。 ここに登場するアーティストは、いったいどの国でどれくらい聴かれていることによってチャートインしているのでしょうか? それを推しはかるため、YouTubeのデータを使って、各アーティストの楽曲視聴回数の日本を除いた上位99ヶ国を対象に、直近60日間の国別視聴回数を集計し、横並びで可

          J-POPの"日本以外での聴かれ方"を可視化してみる

          スラムダンク連載期間とバスケ男子日本代表の生い立ちを可視化してみる

          パリ五輪出場を決めたバスケ男子日本代表、比江島慎選手が生まれた1990年は、「井上雄彦先生がスラムダンク連載を始めた年」でした。とても印象的です。おめでとうございます🎉 バスケットボール男子日本代表チームがパリ五輪出場を決めた当日、下記のようなSNS投稿が大変多くのいいねやリポストを集めていました。 この画像は、井上雄彦先生によるマンガ作品『SLAM DUNK』(連載期間1990年〜1996年 全31巻)の連載期間中に、単行本のカバーの「そで」部分に書かれた井上先生本人の

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          『東京カレンダー』の"脱都心化"をデータから可視化してみる

          雑誌やウェブを中心に展開する『東京カレンダー』によって、「港区おじさん」や「港区女子」という言葉が一般的に知られるようになりました。一方、コロナ禍によって首都圏に住まう人々の行動や生活様式も小さくない影響を受けているはずです。今でも東京都心は、人々の心を変わらず掴んでいるのでしょうか? このnoteでは、『東京カレンダー』WEB版で閲覧可能な2010年8月21日から2023年6月24日の19,653記事のタイトルと本文(無料閲覧可能範囲)のテキストデータを自然言語解析し、同

          『東京カレンダー』の"脱都心化"をデータから可視化してみる

          8ヶ月間の「聖地巡礼」ツイートから人気スポットを可視化してみる

          こんにちは、徒然研究室(仮称)です。行動制限が緩和され人の動きも活発になってきました。アニメーメーション作品や映画、宗教施設など、特定の場所を訪れる行為「聖地巡礼」も行いやすくなっているかもしれません。 これらの「聖地」が一体どこにあって、どれくらい人が訪れているのか…?その実態を探りたくなり、当研究室では2022年10月1日から2023年6月11日までの8ヶ月間にわたってTwitter上の「聖地巡礼」ツイートをPythonで収集、分析し、その結果を地図上に可視化しました。

          8ヶ月間の「聖地巡礼」ツイートから人気スポットを可視化してみる

          YOASOBIさん「アイドル」の記録的人気をリツイートネットワークから可視化してみる

          赤坂アカさん原作、横槍メンゴさん作画の漫画のアニメーション化作品『推しの子』のオープニング主題歌『アイドル』が、配信開始数日で再生/視聴回数を伸ばし、各種記録を更新しつつあるようです。 YOASOBIさんの人気が広がるメカニズムについては当研究室でも、2022年12月のジャカルタ公演に関するTiwtterデータを元にしたネットワーク分析を行ったことがあります。 このときは「ファンダム」という観点から非常に興味深い現象が観察されたのですが、今回はどうでしょうか? そこでY

          YOASOBIさん「アイドル」の記録的人気をリツイートネットワークから可視化してみる

          東京の人口動態を可視化してみる...進学・就職期以外の全年齢層で転出超過が続く

          昨年3月に、コロナ禍において東京23区からどこへ人口が流出しているかを視覚化してみました。 すると、隣接県に留まらず、信州、北陸、東北の多数の市町村へ転出先が分布している様子が浮かび上がってきました。 人口動態というと巨視的な視点でしか捉えられないような気もしますが、こうして人解像度を上げて市町村単位でみてみると、ざっくり県単位だけでみみていると相殺されてしまうような細かな人の動きの実態がみえてくるのだなと感じました。 その時から1年ほどたって、東京都の人口がコロナ禍以

          東京の人口動態を可視化してみる...進学・就職期以外の全年齢層で転出超過が続く

          YouTubeデータで「世界各国のヒットチャート流動性」を視覚化してみる...日本は平均より上

          YouTubeは日本で最もメジャーな音楽メディア 今年の2月9日に、Spotifyの一年分のチャートデータを元に、世界各国のヒットチャート流動性を分析しました。 その結果に関する考察は、同じデータセットから行った世界各国のヒットチャート類似度の分析をしたnoteでも言及させていただきました。 Spotifyデータからみるかぎり、日本のヒットチャートの流動性は72ヶ国中、下から3番目に低かったのですが、それはあくまで「日本のSpotifyユーザーのリスニング行動が示す傾向

          YouTubeデータで「世界各国のヒットチャート流動性」を視覚化してみる...日本は平均より上

          YouTubeデータから韓国でのJ-POP人気を視覚化してみる

          米津玄師さん楽曲の韓国での人気が急上昇しているとのことでデータを分析しているうちに、J-POP、J-ROCKそのものの人気が韓国で高まっているようであることが見えてきたのでまとめておきたいと思います。 まず米津玄師さん楽曲のYouTubeでの国別視聴回数推移を21年1月以降を対象として視覚化してみました。 オレンジ色の折れ線が日本での視聴回数数位です。 左の方で急激にスパイクしているのは、2022年2月6日の「POP SONG」のMVに伴うもの、 その次のスパイクは2

          YouTubeデータから韓国でのJ-POP人気を視覚化してみる

          Spotifyデータから「世界のヒットチャート類似度」を可視化してみる...日本は最も他国と似ていない国?

          日本に住む私達が普段よく聴いている音楽というのは、どれくらい他国と似ているのでしょうか? そこでSpotifyが公開している世界72ヶ国のWeekly Top 200チャートのデータを使って「72ヶ国の国同士のヒットチャート類似度」の分析を行ってみました。 日本のチャートは世界で最も他国と似ていない 分析には2022年全週分のデータを使い、楽曲の重複度合いだけでなく「順位」の要素も加味して計算し、ヒートマップとして視覚化してみました。 国名は、他国との順位相関係数合計

          Spotifyデータから「世界のヒットチャート類似度」を可視化してみる...日本は最も他国と似ていない国?

          紅白歌合戦を「視聴率以外」のデータから可視化してみる

          実は過去最高のツイート数 今回の紅白のテーマは「LOVE & PEACE -みんなでシェア!-」でした。この時点で紅白が、主にSNSを通じて番組が多数シェアされることを目指し、そのための企画を準備してることが推察できますね。ロゴもTwitterやInstagramでの「いいね」ボタンのアイコンを想起させるものでした。 そこで実際に今回の紅白が、SNSでどれくらいのシェアをや会話を生んでいたのか、長期時系列で視覚化してみましょう。 次の図はTwitterのサービス開始以来

          紅白歌合戦を「視聴率以外」のデータから可視化してみる

          YOASOBIさん海外公演データから分析する「メディア」としてのファンダム

          先日、藤井風さん「死ぬのがいいわ」のグローバルヒットの背景の分析から、現代における「ファンダム」がもつ力について考察してみました。 今回はYOASOBIさんが2022年12月に行ったジャカルタ公演に関わるデータから考えてみたいと思います。 YOASOBIさんについては公式アカウントの活発なSNSでのコミュニケーション活動や、88risingのジャカルタ、マニラ公演へのフェス参加などを興味深く感じ、以前から一度分析したいと思っていました。 そんな最中、音楽専業マーケティン

          YOASOBIさん海外公演データから分析する「メディア」としてのファンダム

          自然言語解析からみえた、藤井風さんの意外な歌詞世界

          当研究室でもたびたび分析対象とさせていただいている藤井風さんですが、今回は日本語でリリースされている全23曲分の歌詞をプログラミング言語Pythonを使って自然言語解析してみました。 まずは頻出語を直感的につかむため、ワードクラウドとして視覚化してみましょう。各ワードの大きさは出現頻度の多さに対応します。 すると「何」「ない」が頻出語トップ2らしいということがわかりますね。 例えば「まつり」のサビには「何」「ない」が同時に使われています ちなみにこれら「何」「ない」の

          自然言語解析からみえた、藤井風さんの意外な歌詞世界