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新しいことは、ほんの少しの勇気と行動で始められるのではないでしょうか?【#15】

病院には様々な人が訪れます。
脳神経外科の外来にも様々な方が通院してきます。
いろいろな疾患を抱えている方が多いですが、なるべく前向きになってもらおうと取り組んでいます。こちらを前向きにするようなお話もよく教えてもらいます。脳神経外科外来には、はじめて があります。


脳梗塞を起こした場合、まず脳梗塞の原因を調べます。原因に応じて手術を行ったり点滴をしたりします。落ち着いたら予防のための薬を内服してもらいます。予防のためですので、一生その薬を飲み続けることになります。病院にも定期的に通う必要があります。

5年前に脳梗塞になり、通院しているツタニさん。他県に住んでおり、病院まで車で1時間以上かかります。近くの病院からの処方を勧めていますが、治療してもらった病院に通いたい、とのことでこちらの病院へ通ってきます。

そんな70歳手前のツタニさんの外来でのお話です。

ツタニさんは幸い脳梗塞後の後遺症がほとんどありませんでした。脳梗塞をおこした後「したいことをしたい」と、ウォーキングや山登り、ピアノ、読書と様々なことを始めています。

そんなツタニさんとの外来診察室での話です。

わたし「3か月ぶりですね、調子はどうですか?」

ツタニさん「薬の飲み忘れもないし、調子いいよ。」

わたし「それはよかったです。血圧もいいです。ツタニさんはストレスとかもないですかね?」

ツタニさん「大丈夫、ストレスはない。ここまでくる運転も問題ない。家内とふたりでなんとか生きとるわ」

わたし「それはよかったです。奥さんと仲良くしてますか?」

ツタニさん「おおぅ、奥さんとは今一緒に住んでるわ、まぁ仕方なしにな(笑)」

わたし「仕方なしって。それと今一緒に住んでるってどういうことですか?奥さんは元気にしてますか?」

ツタニさん「おぅ、去年、脳梗塞になって近くの総合病院に入院したわ。今は家に帰ってきている。そして食事の係も自分になっとるわ。」

わたし「奥さんが脳梗塞になったのは知りませんでした。食事はすべてツタニさんが用意してるんですか?」

ツタニさん「おう。妻に教えてもらいながらな。はじめはちょっと難しかったけどな。今は全部つくっとる。問題ない。」そう笑顔で答えました。


ツタニさんの奥さんは自宅近くの病院へ入院、リハビリをされたそうです。麻痺は残ったけど認知機能、言語機能は大丈夫とのことでした。仕方なしに一緒に住んどるっておどけながら、語られる妻への行動に愛情があふれていたツタニさん。なんだか心が温かくなりました。

”何かを新しくはじめた時、自分の至らなさ、弱さが露呈する。恥ずかしいことだと思ってしまいがちだ。しかし周りの人はたいてい何とも思っていない。むしろ助けてくれることの方が多い。”とおっしゃっていました。


はじめは難しくても頑張ればたいていなんでもできるそうです。できると信じることが頑張る秘訣なんでしょうか?
今度会えたら聞いてみよう。

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