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「始まり」にアンテナを張っている人は幸せをより楽しめるはずです。【#14】

脳神経外科外来には様々な方が通院します。
病気をきっかけに、自分を見つめなおした方がいます。考え方を大きく変えた方がいます。生活を改めたり、悟りを開く方もいます。
脳神経外科の外来には、新たな始まりがあります。

 脳動脈瘤というものがあります。脳の動脈がコブのように膨らんでいることを指します。破裂するとくも膜下出血となります。大体3人に1人は亡くなります。社会復帰できる方も約3人に1人です。
 破裂率は場所、大きさ、形などでおおよそ判断できます。手術リスクが破裂リスクより高い場合、画像などで経過観察をします。大きくなったり形が変わったりした場合は手術が検討されます。

 脳動脈瘤が破裂、手術をした60代男性タローさんのお話です。幸い元気に退院し、ときどき画像フォローのため外来に通ってきます。タロウさんは些細なことでも詳しく覚えていて、認知症とは縁のない方だと、わたしは思っていました。

そんなタロウさんとの診察室での会話です。

まずはMRIの画像を一緒に見ながら、再発や新たな動脈瘤がないことを伝えました。そのあとタロウさんから質問を受けました。

タロウさん「つれづれ先生、このMRIってのは認知症もわかるんか?脳の萎縮もわかるんか?」

わたし「うーん、委縮はある程度わかります。ただ個人差も結構あります。MRI以外の検査をうけないと認知症かどうかはっきりわからないです。タロウさんは大丈夫だと思いますけど、検査受けてみますか?」

タロウさん「いや、いいわ。でもな先生、おれの頭ん中、認知症始まったわ。」

わたし「なんか思い当たることでもあるんですか? 誰か家族とか周囲の人に指摘されたんですか?」

タロウさん
「全くいわれてない。むしろ覚えすぎで怖いといわれる。でもな先生、やっぱり認知症始まってるよ。おれはな、恋でも認知症でも、始まりはなんでもわかるんよ。ふふん。あ、どうしてそう思ったか教えてほしいんか

なんで得意げなんですか?いや知りたいですよ。教えてください。認知症の始まりが自身への意識の向け方だけで判断できたら、すごい進歩になりますからね。

一生懸命話を聞きましたが、タロウさんが感じた違和感、わたしには言語化できませんでした。

認知症の始まりを感じたら、私に対して教えてやろうか?というスタンス。タロウさんの人生はきっとポジティブな始まりにあふれているのでしょう。すごく羨ましいです。コツを聞いておけばよかった。

ちなみにポジティブで有名なガーベラの花言葉は【常に前進、希望】です。
よし明日ガーベラを買ってこよう!!花のある生活の始まりだ。
なんでもいいので始まりを愛でよう!!

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