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雪が降るとゲームがもらえる

最近の僕は、自宅で仕事をすることが多く、外にあまりでないため、四季の移り変わりにめっぽう弱くなったように感じる。

年柄年中、半袖短パンで家の中をうろつき、夏はエアコン、冬は暖房。除湿と加湿を季節ごとに調整している。

文明の利器と大人の財力を駆使し、どうにか一番自分が心地いいと思える環境を整えようとするのだ。

そうやって、一年中、家の中は常に一定の快適さを維持できるように骨を折っている。

そんな中ついに、今年も北海道に雪が降った。

朝起きて、カーテンをさっと開けると、いつもの見慣れた景色が真っ白にな雪で覆われていた。

ああ…今年もか…

いつからだろう。雪が降るとため息が出るようになったのは。


思えば子供の頃、雪が降るとわくわくしたものである。

雪遊びができるから!とかだと、かわいらしい子供っぽさを感じるのだが、僕のわくわくは違った。

「雪が降る」と、ゲームのソフトが買ってもらえるからだ。

いや、「雪が降ると」というより「クリスマスになると」が正しいかな。


朝、母に起こされて、母が焼いてくれたトーストを前に新聞を広げる。

どこぞのおっさんのルーティンみたいだが、当然、子供の僕に漢字はよめない。記事を読んでいるわけではないのだ。

見ているのは、新聞に差し込まれた、それはもう煌びやかな装飾のほどこされた広告だった。

雪が降り始めるこの季節、新聞にたくさんのおもちゃ屋さんの広告が入りだしていた。たぶんクリスマス商戦に向けてなのだろう。


当時はスーパーファミコンのソフトが1本1万円くらいしていて、子供の僕には到底買える代物ではないから、手に入れるとしたら、誕生日、クリスマスくらいのもの。

年に2回しかないチャンスを、最大限自分にとって満足のいくものにするために、毎日毎日、広告とにらめっこするのだ。

今思えば、入っていた新聞の広告なんて、ゲームの内容が書いているわけでもないし、見れるとしてもパッケージの写真くらいなものだし、毎日見てもラインナップはそう代わり映えはしない。

子供の僕には、プレゼントでもらうためのものだから、広告と広告を見比べて値段を比較し、少しでも安いところを!なんて親思いな気持ちは微塵もなくて、自分にとって一番喜べる商品はどれだ!しか頭になかった。

あ、そういえば子供のころは、なぜかトーストの耳の部分が苦手で、パンの柔らかい真ん中の部分だけを食べて、耳は全部残していたなぁ。

そんな感じで、毎朝新聞の広告を食い入るように見ていると、母に遅刻するぞと怒鳴られ、耳だけを残したトーストが乗っていた皿を下げると、また耳だけ残して!とさらに怒鳴られたものです。


何が楽しくて毎日広告を貪るように見ていたのかは、自分でも不思議だ。

たぶん、もう楽しみが抑えきれなくて、少しでもその情報に触れていたい!妄想していたい!と、思っていたのかな。

iPhoneをAppleに注文してから届くまで、毎日のように掲載されるレビュー記事なんかを読みまくるのと似た感覚のような気もする。


そう考えると、今も昔もあんまり変わってないのかもしれない。

去年も買ったけど、今年モデルの加湿器が欲しくて、毎日比較記事を読んでいるのですから。

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