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コンサルタントに求められる能力の変化: 転職前の予想とのギャップ



1.前段


総合コンサルティングファームに転職して2年余りが経過しましたが、転職前に予想していた「コンサルタントに求められる能力」と実態には差があったし、その差はこれからも拡大していくんじゃないかな?という話をしたいと思います。

2.転職前に予想していた能力


この業界に入る前は、いわゆる「コンサルタント」に必要な能力を予想していたように思います。
具体的には、
・ロジカルシンキング
・MECE
・綺麗なパワポ作成
・等々
と言ったところでしょうか。
クライアントの経営企画部と東京の本社ビルで綺麗な戦略を描き、実行はクライアントが行う。そんなもんだろうなあと思っていました。

3.入社後の実体験


(1)案件の内容


実際に現ファームに入社し、いくつものプロジェクトを経験していました。もちろん前述で述べたようなコンサルっぽいものもありますが、大半はそうではありません。どう違うかというと、
①世の中は思ったよりロジカルに回ってないし
②戦略の実行まで支援するプロジェクトの方が(コンサルが稼げるので)多い
順番に見ていきましょう。
①は、当たり前と言えば当たり前ですね。クライアントだって馬鹿じゃありません。「黙れ若造。そんなことわかってるんだよ。やりたくてもAさんがゴネててできないんだ!」とかそんなことは腐るほどあります(というか、改革が進まない系は大半がこれです)。泥臭く改革をお手伝いしてほしいクライアントに対して正論をぶつけたところで「これだからコンサルは、、、(ヤレヤレʅ(◞‿◟)ʃ)」と言われるのが関の山です。
②はビジネスモデルの話です。戦略を立てるのって人数いらないし、そんな長期間戦略だけ立ててるわけにもいかないですよね。となるとそんな沢山お金ってもらえないんです。
それよりは、計画の実行フェーズでクライアント先に常駐して現場担当者と膝を詰めて実行の詳細を詰めていく方がチャリンチャリンとお金が落ちていくことになります。まして、システム案件であれば、戦略立案→システムの導入に向けた調査→システムの導入→システムの保守の一つ一つ全てでお金が落ちる可能性だってありますからね。

(2)生成系AIの到来


私は生成系AIを日々の業務に活用している方だと思いますが、身の振り方を考えるほどに衝撃を受けています。
例えば、マクロのツールを作成するのはchat GPTでできますし、

電卓を作るマクロのコード書いて!

スライドの叩きを作成することもイルシル(https://elucile.lubis.co.jp)でできますし、
福井県庁ではブレストや文書作成の叩きにもよく使われてるらしいですね(https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/dx-suishin/top_d/fil/ai.pdf)

福井県庁の資料

誰でも思いつくようなことしか言えないコンサル、議事録とパワポ作ってるだけのコンサルは淘汰されていくんだろうなあと思うことがままあります。

4.コンサルに求められる能力


それでは何の能力が求められるのか。大きく
①生成系AIを使いこなす能力(ロジカルシンキング)
②コミュニケーション能力

かなと思っています。順番に見ていきましょう。
①は大体わかりますよね。ツールをガシガシ使える能力って感じです。生成系AIを正しく使うためのロジカルシンキングスキルが無い人が世の中に沢山いるのも事実なので、差別化要素の一つにはなるかなと思います。
大事なのは②です。「こいつ、能力高いし、誠意あるし、信用できるな」と思わせる能力です。
言語化された課題なんてものはクライアントも大体把握しているし、まあコンサルがどうこうするニーズは元からあまり無いんですよ。そして生成系AIの到来によりソリューションの提案自体も陳腐化していくことでしょう。
ただ、言語化されていない課題を顕在化させることはコンサルタントの腕の見せ所であるように思います。インプットが無ければAIの出番はないですし、多忙なクライアントはその顕在化までの工数の余裕が無いわけです。
リモートワークだなんだと言ってないで現場に飛び込んでこい!ってことですね。本日は以上!

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