私の育児奮闘記#2「自分の体調」

妊娠中、比較的健康だったと自負しているのですが、
そんな私も後期に差し掛かると、多くの体調不良に悩まされるようになっていました。

肋骨が痛い、腰が痛い…朝方になるとその痛みで起き、寝返りも打てなければ二度寝することもできない。
トイレが近すぎて夜中に何度も起きるのも相まって、一度起きたら胃がムカムカしてやっぱり寝付けない、など。

でも出産すれば全部治ると思っていました。
だって姉もそう言っていたし。


でも私の苦しみは一部、産後にさらに酷くなって襲い掛かってきました。

-排尿障害

下の話で恐縮ですが、お産はなかなか強烈な後遺症を残しました。


お産で2リットルを超える出血があり、貧血状態だった私。
出産直後から翌日の夕方までは、立ち上がる許可は下りませんでした。
出産前後は食事をする余裕もなく3食丸々抜いたものの、排泄を丸一日しないというわけにはいきません。
しかし立ち上がれないので当然トイレにもいけません。
どうもお産前後は、みんな数回導尿されるのが普通のようにも感じましたが…
当たり前のようにカテーテルを留置されました。

出産翌日の夕方、一人で歩けることを確認され、トイレにいく許可を得てカテーテルを外してもらったのですが、
夜になっても尿意を感じませんでした。

歩けるとはいえ階段を上ることは勧められず(本来入院する予定だった個室へは階段を上る必要がありました)
別部屋へ案内してくださった助産師さんに排泄の状況を尋ねられた時、
全く尿意を感じないこと、便座に座っても排尿される気配がないことを伝えたのですが、
焦った様子で「それは大変!!」と言われました。

どうやら私の体はお産を経験している間に、排尿に必要な…当然備わっているべき感覚を忘れてしまったようです。

放っておくと膀胱炎になるので、急遽導尿されましたが、
感覚が麻痺しているだけで、尿はしっかり作られていることが無事確認されました。。


そこから苦しい日々が始まります。
当たり前のことができないというのは本当に厄介なことです。
自分で排尿出来ないけど放っておくと膀胱炎になる。
数時間おきにナースコールを押すしかないのです。
そんな状況で退院できるはずがありません。

多くの助産師さん、看護師さん、そして院長も「数日で治るだろう」と言い、尿意を感じなくとも数時間おきに便座に座ること、水の音を聞いたりビデ機能を使って神経を刺激することを勧められました。
もちろん言われたとおりにするのですが、いくらトイレに行っても何も感じない…
会陰の傷が痛む状態で腹圧をかけながら30分近くトイレに籠っていても
自分の体はうんともすんとも言わない。
出さなきゃ、出さなきゃ、そうじゃないと帰れない…と焦る気持ちばかりが募る。

そしてそのまま退院予定日前日になってしまいました。
もちろん自尿が出ない限り導尿はやめられません。
そのまま退院するには、退院後自己導尿する必要がありました。

初めての育児。
子どもに時間間隔はなく、退院すれば真夜中でも3時間おきに授乳しなければいけない生活が始まる。
その間にタイミングを見計らって自分で導尿をしないといけない。
うまくできるのだろうか、痛くないのだろうか。
こんなことなら入院を延長できないだろうか…不安いっぱいで泣いた夜でした。
寝付けるはずもなく、結局夜遅くにナースコールで助産師さんに泣きついたのですが
そもそも保険が効かない入院のため、母子二人の入院を任意に延長すると、
かなりの金額がかかるという現実を知らされます。
しかも、2日3日延ばしたところで、いつ治るかもわからない。
…そりゃそうか…

自分は一体何が不安でどうしたいのか、頭の中がごちゃごちゃになってしまいました。
産後メンタル、というのも大きかったと思います。

想いを紙に書き出しました。
一番は、やっぱり家に帰りたいということ。
夜個室にひとりぼっちでいると、不安が募るから。
夜に募る不安は導尿よりもむしろ、育児をちゃんとしていけるかという漠然としたもの。
それはきっと皆が感じること。必ず乗り越えられるはずのもの。
そして、自己導尿が上手くできないかもしれないという不安はまた別でありました。

…ということは、自己導尿さえ簡単にできれば、
私は元気に退院できるのではないか、そう思いました。

退院当日に看護師さんに頼み、自己導尿を教えてもらうことにしました。
それで「自分で出来る」という確信を持てれば、
退院する自信がつくと思ったので。

…結果、導尿はとても簡単でした(笑)
もちろん無痛とはいきませんし、後述しますが、普通に座ることすらまだできない私にとっては時間のかかるものでした。
でも看護師さんも驚くほどの器用さ(笑)を見せつけた私、ベタ褒めされ自信がつきました。
普通の人は怖くて自分の体にカテーテルを挿すのに躊躇し時間がかかるそうです。
自己導尿スキルをベタ褒めされるなんて稀な経験ですね。
でも、自己注射の痛みに比べれば全然!!!私は今まで何度もお腹に注射を刺してきた!
そう、私は不妊治療を戦い抜いた戦士!!

…自己導尿を二回見守ってもらった後の退院手続きとなったので、
退院は夕方になってしまいましたが、無事退院となったのでした。


退院後はタイミングを見てお風呂場で自己導尿をする日々。
2週間健診の時はあまり経過がよくなく、泌尿器科に行くことになり、カテーテルを1か月分(1万円…!)購入する羽目になりましたが、
結局自己導尿は、産後3週間ほどで止めることができました。
(カテーテルもったいない)

ただ、産後26日経った今も、妊娠前と同じ、というわけにはいきません。
そもそも私がこんな排尿障害になった背景には、子供のサイズの影響が大きかったようで…
臨月時点で3000gを超え、その上特に頭が大きかった我が子は、
産前から私の膀胱及び周りの神経を強く圧迫していました。
その影響で、私は産前から、頻尿なだけでなく、腹圧をかけないとろくに排尿できない状況にありました。
そして残尿感もあり、1日20回以上トイレに行っていました。
私の感覚麻痺は産前から始まっていたのです…
そこに陣痛から20時間以上かかったお産が追い打ちとなり、私の感覚は完全に失われたのでした。


当たり前のことが出来ないのは本当に辛い。
不妊治療患者にとって「妊娠」が出来ないのもそれでしたが、
自分にとって当たり前のことって本当に見落としがちです。
この年で、排泄が普通にできることの大切さを実感してしまいました。



そして…私の下関係の問題はそれだけに飽き足らず。
”普通に座れない”問題は会陰切開による傷だけが原因ではありませんでした。

女性がなりやすいという”痔”…!!!
元々万年便秘の私は酸化マグネシウムを日常的に飲んでいたのですが、
それでも臨月では頻尿の影響でトイレで腹圧をかける頻度も増し、
少しずつ悪化していたのです。
産後また病院に行こう、と軽く思っていたのですが…
これまたお産中に悲惨なことになりました。

抗えない陣痛…波が来るたびに振り絞った渾身の力を一点に…下腹部にかけざるを得なかった数時間。
想定していた以上の苦しみ…と同時に、頭の中で「こんなにイキんだら痔が逝く、もうだめだ」と冷静に考えていました。
分かっているとはいえイキまずにはいられない。
そしてもちろんその予感は的中。

会陰もばっちり切開した私は縫合したその傷のすぐお隣に痔。
体勢を変えるごとに痛み、産後数日間まともに動けなかった原因の一つとなったのでした。
今も小さくなりましたがまだ治っていません。
1か月健診を終え、悪露が引いたら、肛門科にGOの予定です。


なんだかんだ妊娠出産はやはり身体に大きな負担があるものですね。
もちろん、すごく軽い人もいれば、地獄のような経験になる人もいて、差はあるのでしょうが
産後すぐに元に戻るわけでもなし、多かれ少なかれ影響は大きいのだなと実感しました。


「自分で妊娠せず出産せず授乳もなければ(つまり父親の立場なら)2人目が欲しい」

という言葉を目にしたことがあるのですが
…分かる気がする…

妊娠中も出産後も
仕事をしていればいいのかぁ。

もちろん体内に子供がいるからこそ胎動などの幸せ、唯一無二の親であるという自尊心を得られることもあると思いますが、
裏を返せば自分にしか守れない命であるという
大きなプレッシャーを何ヶ月にも渡り請け負わないといけない。

元々仕事量に余裕がある私は
仕事をしているだけで子を持てる環境は
確かに羨ましく思うこともあります…。


何はともあれとにかく、妊娠前の体調に戻るには産後6-8週間かかるそうで、
退院直後まだまともに座れない、自己導尿必須だった私は、実家にお世話になっていて本当に良かったなと思います。

退院直後のまだまだボロボロ真っ盛りの体で、
いきなり24時間体制ワンオペは、
身も心も滅ぼすなと、確信したのでした。




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