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2023年山小屋を考える②

8月11日、山の日でしたね。

私が初めて山小屋で働いたのが
山の日が実際に施行された2016年です。

それから7年経ちますが、振り返ると山小屋の状況はずいぶん変わったなぁと感じます。

前回の記事に続いて今回は山小屋とスタッフの話を。



山小屋の求人の状況

ここ2年ほど、年始から夏にかけて山小屋の求人サイトを定期的に見るようにしています。


夏山シーズンの求人が出るのは、早い山小屋でその年の年明け頃から。
それから1,2,3月にかけて徐々に求人の数が増えていきます。

早いところでは3月中には募集人数に達して、募集停止。これが例年の流れでした。

今年はいつ求人が出るだろうか、

待遇はどんな感じかな、

人気の小屋はいつ埋まるだろう?


しかし最近は5月になっても6月になってもまだ募集は続いている状況。

そして中には8月現在も変わらず募集を続けている小屋もあります。

どの山小屋もなかなか人手が揃わない、
そんな状況です。


比較的暮らしやすい?尾瀬の山小屋の求人がまだ出ています



コロナ前は8月になっても募集をしている山小屋は少数でした。

コロナになって将来への不安が増えて、
その中で山小屋の仕事、

ほとんどの求人が正規雇用ではない期間限定の仕事です。

そんな環境に飛び込む冒険者も少なくなっているのかな、なんて思います。

そもそも若い世代も減ってきていますから、
数ある選択肢の中で山小屋を選ぶことも、
よほど山小屋の仕事に魅力を感じなければ難しいでしょう。



山小屋の運営


以前、小規模の小屋の管理人さんが話していたのですが、

これから段々と人手が減ってきて、
今まで通りにはできない。
それに合わせて効率よく簡易的なやり方に変えていかなきゃ。

こちらの山小屋、
ご飯の美味しくて有名な小屋ですが、
「美味しい」の部分はなるべく残しながら、
もう少し手数を少なく作ることができるものに変えていく、

そんなお話をされていました。


それは仕方無しの苦渋の決断のようにも見えました。


私が働いていた山小屋も2016年当時と比べると、
通過のお客様へ提供している軽食や宿泊者への夕朝食、お弁当などいずれも簡単になっていきました。

山小屋で手作りって大変


スタッフが20名くらいいる小屋であれば
1名減るくらいであれば、
どうにかカバーできますが、

スタッフ数が1ケタの小屋では、
1名少なければ、仕事が回るか、休みが取れるか、といった部分で大きな影響が出ます。

あるいはスタッフの休みなどを優先する山小屋であれば、大幅にサービスを削らなければならなくなるでしょう。


このような問題は山小屋に限らず、
下界でも一般的な問題なのかもしれませんが。

大変なのは山小屋だけではないかもしれません


最近の傾向

山小屋のスタッフの待遇は小屋によって大きく異なりますが、最近はスタッフ用の個室がある小屋やwifiが使える小屋などから埋まっていく、そんな話も聞きました。

私が働き始めた頃は電波が入る小屋はそれほど多くはなく、私自身も小屋では電波が入らなかったため、15分ほど登山道を歩いて電波をとっていました。

今は電波が入る小屋も増えて、wifiがある小屋も珍しくありません。

ネットが繋がれば知人との連絡もできますし、
全く情報が取れずに浦島太郎状態になることもありません。

私の同僚には下界の仕事を持ち込んでいる人もいたり…
(機材故障などもあるので大事な仕事を持ち込むのはおすすめしませんが)


その影響からか、山小屋のスタッフの中にはいわゆるインフルエンサーと呼ばれるような、フォロワー数1万人越えのインスタグラマーも働きにきており、
そういった発信力がある人も増えてきています。
2016年にはあまり見られなかった人たちです。


山小屋での毎日は発信のしがいがあります。



これからも山小屋スタッフになりたい人が出てくるように

山小屋に携わる人の母数が増えないといけないと思っています。
それは山小屋に携わっている人が増えるのがベストですが、携わったことがある人が増えることも重要だと思っています。

1人の人が数年にわたって山小屋に勤めるのももちろん良いことですが、
なかなか何年も山小屋にいるのは難しいというもの、
私自身も家族ができたとして、
そのまま山小屋で働こうとは思っていません。

ならば山小屋に勤めた経験のある人が、
その交友関係の中で、
山小屋で働いてみたいと思う人を呼び込む、

そうやって次の代へと繋げていく、

それも富士山や槍ヶ岳、穂高など人気の山に一極集中するような増え方ではなくて、
地元の山やマイナーな山にもスポットがあたるような増え方。

その際に先に上げたインフルエンサーの存在は大きいと思いますし、

私自身も1人でも山小屋の仕事に興味を持ってもらえるような発信ができればと、
noteの記事を書きながら考える次第です。

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