見出し画像

「発達障害のある人は嫌なことから全力で逃げ回っていい」


「発達障害のある人は嫌なことから全力で逃げ回っていい」
発達障害専門の精神科医・本田秀夫先生が唱える言説です。

私はこの考え方に大賛成です。



生まれながらに障害特性という「逃げられない嫌なこと」を24時間365日背負っている私たちにとっては、ただ生きていく、それだけで嫌なことだらけです。
さらに嫌なことを背負い込む必要はありません。
障害特性を背負って生きているだけで、苦労はもう十分しているのです。




「嫌なことから逃げ回る癖がついてもいいのか」と思う人もいるかもしれません。
しかし私としては「むしろ逃げ癖をつけたほうがよい」と考えています。

「見えない障害」に対する理解も支援も十分だとは言いがたい今の社会において、個人の努力や工夫には限界があります。

このクソな社会の中で全てのことに真剣に向き合っていたら死んでしまう。

実際、発達障害特性をカバーしようと頑張りすぎた結果、鬱や適応障害を発症してしまう人は非常に多いです。

長い人生の中で、本当に本当に頑張らねばならない正念場なんて限られています。
逃げられるところはとことん逃げて、逃げ切る。
これが発達障害者の人生サバイバル術です。




「嫌なことから逃げ回っていたら社会不適合者になってしまうよ」という声もあるかもしれません。

別に社会不適合者でもいいじゃないですか!
ひきこもった末に生活保護でもいい。
そういうふうにしか生きられない人だっている。


ちょっと想像してみてください。
週に5日、決められた時間通りに会社に行き、集団の中で上手くやりつつ労働をこなすシステムに全員がすんなり適合できる世界も、それはそれで不気味じゃないですか?
人間は品質の均一なロボットじゃないんだから。


発達障害者の中には障害特性が非常に重く、どう足掻いても働くのが難しい人だっています。
そういった人が無理に働こうとするとどうなるか。
重い二次障害まっしぐらで、かえって多額の医療費がかかります。
私は精神科閉鎖病棟で働いていたことがあるのですが、そうしたケースを少なからず見てきました。



日本には「何かを続けること」「何かを克服すること」ばかりが良いことで、逃げることは悪だという雰囲気があります。

でも逃げることだって勇気です。逃げた人は自分を守った。それは一つの正しい選択です。

「逃げる」選択が、もっと肯定され尊重されてほしいなと私は思います。