恋と愛と三角形と

 「大学生で付き合う人なんかみんなヤリモクやろ。気持ち悪い。」啓太は冷めた目でそう言う。「いやわかんないよ。純愛をちゃんと育んでるカップルもいるかもしれないでしょ。」みなみが口を尖らせてそう言う。夢みがちなみなみとリアリストな啓太、「咲はどう思うの?」みなみに聞かれ、困ってしまう。私はお付き合いをしたことがない。

 「私は男性と付き合ったことがないから分からないけど、高校生カップルに比べてヤリモクが多いのは確かだよ。セフレとかも大学生になったらできるじゃん、ね。」みなみが「咲もリアリストか~うちら20歳だよ?まだ夢みてもいいじゃん!」と言う。啓太が「咲は大丈夫だろうけど、お前心配。年上のサークルの先輩とかに気をつけろよ。かっこよく見えるかもしれないけど、あいつらクズだからな。やり捨てされるぞ。」みなみが口を尖らせて怒る。「そんなことになりませんよーだ!みなみ見る目あるし!」2人の諍いを聞くのは慣れっこだ。この2人が付き合えばいいのにと思うが、何も言わない。

 期待の上に始まった大学生活は意外に地味で、こうやって幼馴染の3人で集まって飲むくらいには張り合いがない。「誰かいい人いないかなぁ。」そう私が溢すと、「お前、可愛いしいい奴だしすぐ彼氏できるだろ。」みなみもうんうんと頷いている。「そうだといいけどね。」愚痴っぽく言う。この2人かいればなんだかんだで楽しいのだ。この夏も3人で旅行する予定がある。大学の授業受けてレポート書いてバイトしてこの3人で会って、なかなか楽しい毎日なのだ。誰かに恋人ができたら崩れてしまう三角形を今は大事に過ごしていきたいな、そんなことを思う6月だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?