四つの階層の呼吸

四つの呼吸がある。
四つとはなにか?

まず仏教においては、呼吸とはチッタジャルーパと定義される。意味は、心(チッタ)によって生じた物質(ルーパ)。

これを踏まえ、四つの階層として呼吸を捉えることができる。
1. 物質的(身体的)な呼吸
2. エネルギー(感覚)の呼吸
3. 呼吸の原因である心
4. 心の基盤となる意識

これは、四種類の言葉にも対応し、また仏教の四念処とも対応している。
実践(瞑想)としては、アーナーパーナ・サティである。

1. 物質的(身体的)な呼吸
物質的な呼吸とは、身体(横隔膜)の動きによって生じる、生理学的な呼吸である。

さらに、仏教理論では、この物質的な呼吸は、四大元素の風のカラーパ(素粒子)でもあり、瞑想において粒子状のものとして見ることができる。

2. エネルギー(感覚)の呼吸
そして、エネルギーの呼吸とは、身体的(外的)呼吸とは別の内的な呼吸だ。
一般的にも丹田呼吸や手のひら、全身などでの呼吸をイメージすることもあり、呼吸が必ずしも肺と横隔膜によるものでないと考えられているだろう。

この1から2へ、四番目の呼吸を捉えることで、階層を超えていく。

3. 呼吸の原因である心
この内的なエネルギーの呼吸は心臓で生じる。そして、その心臓(心基)で心を見ることができる。
つまり、エネルギーの呼吸の四番目が、呼吸の原因である心となる。

心は遠くに行き、独り動き、形体なく、胸の奥の洞窟にひそんでいる。
この心を制する人々は、死の束縛からのがれるであろう。

「ダンマパダ」

4. 心の基盤となる意識
さらに、その心の基盤となる意識へと続いていく。

3と4は、呼吸であれ、言葉(思考)であれ、同じように進んでいく。
心との自己同一化を離れたとき、心が解放されて調和していく。自己同一化を離れるまでは、解放ではなく抑制であり、不可逆的な変容にはならない。
そして、心が解放されるとは、呼吸からの解放でもある。そうすると、自然な呼吸の停止が起こるようになる。

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