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サイボウズ社内でコーチング講座を開講するにあたっての想い

この度、株式会社はぐくむの小寺毅さんとコラボして、サイボウズにおいてコーチング講座を開催する運びとなりました。2020年7月から12月までの約半年間、隔週で全12回の講座を実施します。

ここに、主催者としての想いを書き残しておきたく、筆を執りました(社内向けの投稿に一部手を加えたものになります)。

1. 綱嶋とコーチングの出会い

僕がコーチングの世界に足を踏み入れることとなったきっかけは、2019年4月のある夜に遡ります。以前、対談のお仕事でご一緒した株式会社ガイアックスの管大輔さんからある日、

「ティールについてじっくり語り合う少人数の集まりがあるんですが、来ませんか?」とお声がけがありました。

「そんなアングラな会があるんかいな」と思いつつ、管さんが誘ってくれるなら、と渋谷の某所へ足を運びました。

そこで出会ったのが、その後に僕のコーチングの師となる小寺毅さん。

ティール的な世界観への造詣が深く、コーチングを通じて個人と組織の変革を促していこうとする話を聴いて「こんな方がいらっしゃるんだなぁ……」と感心したのを覚えています。

それから数日が経ち、管さんから1通のDMが届きました。

「コーチングの養成と提供を行う ZaPASS という会社を設立しました」
「綱嶋さんにはきっとコーチングが合うと思うんです。第1期生として学んでみませんか」

おおー。コーチングの会社、つくっちゃったんだ。しかもコーチングも学べるとのこと。どれどれ……と講座のサイトを眺めてみると、講師は以前お会いしたあの小寺さん。

これは何かの縁なのか?と思い、即決で講座を受講することを決めました。
(人事の仕事に活かせそうだというのと、完全オンラインのため他のコーチング講座に比べて破格の安さだったこともあり)

そんな形で2019年の5月から本格的に学び始めたコーチング。

はじめは人事の仕事に活かせるだろうということしか考えていなかったのですが、クライアントの行動と思考の変容を促しながら、相手が理想とする姿への旅路をともに歩めるという仕事の醍醐味が次第に感じられてきました。

気づけば、複業としてお金をいただきながらコーチングを提供するまでに至り、現在では学生と若手ビジネスパーソンを中心に、20数名のクライアントにコーチングを提供しています。

2. 社内コーチング講座開催の経緯

社内でコーチング講座を開催したいとぼんやり考え始めたのは、2019年の年末。2020年をどのような1年にしたいかを自分のコーチと話していたときに、いろいろ出てきたやりたいことのうちのひとつがこれでした。

そこから、小寺さんともつながりのある社内の先輩のご協力もいただき、どうやってこの企画を実現するかの作戦を練っていくことに。

サイボウズ社内には「Cybozu Firestarter」という制度があります。これは、サイボウズの企業理念「チームワークあふれる社会を創る」に結びつくようなアクションに対して、青野さんの共感を得られれば金銭的な支援をもらえるものです。新規事業立案制度に近しいようなものです。

そこで、青野さんとサシでコーチングについて話すランチをしてみたり、小寺さんと管さんに来社いただいて、青野さんとお話しいただく機会を設けたりしながら、

「ティール的な世界観にもとづく自主自立組織とはどんなものなのか?」
「その変容を促していくために、なぜコーチングが有効なのか?」

という部分を、丁寧に深めていきました。

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(今年1月に小寺さん、管さん、青野さんで撮った写真。このとき、何かが始まる予感がしていた)

そして、大枠を固めた段階で3月に青野さんから承認をいただけました。

もともとはオフラインで20名ほどに限定しての開催予定だったのですが、
コロナの影響もあり、オンライン開催する方針で本格的に動き出したのが5-6月。当初の発案から半年ほど経ちましたが、ようやく開催できることになり、まずは一安心です。

3. なぜ今、コーチングなのか?

今後、サイボウズがチームワークあふれる社会を創っていくためには、私たち自身のコミュニケーションの質を向上させ、サイボウズ自体がチームワークあふれるチームになっていく必要があると考えています。

そのために今後さらに必要になってくるスキルとして、以下のようなものが挙げられると考えました。

・相手の心情や発言の内容に耳を傾ける「傾聴」のスキル
・相手の隠れたニーズを引き出す「質問」のスキル
・相手を尊重しながら、成長のために必要な課題を指摘する「フィードバック」のスキル

上記のスキルを身につけるためには、コーチングで扱う考え方や技法を学ぶことが非常に有効であることは、僕自身が1年以上コーチングを学び、提供してきて実感しているところです。

こればっかりは、本で読んでも身につかない。継続的にインプットとアウトプットを重ねてゆくことで、血肉になるものです。

社内向けに受講希望のアンケートを取ったところ、現時点で80名以上ものメンバーに参加意思を表明いただいています。

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「コミュニケーションの質向上のための一手段」
「チームワークをより一層高めるためのスキル」

という切り口でのコーチングを学ぶことに対して、社内で高い関心があることもわかりました。これもまた、今こそサイボウズでコーチング的コミュニケーションを学び、実践していく機運が高まっていることを示していると捉えています。

4. 講座の実施後に目指したい世界観

今回の講座を企画するにあたっての根幹となるコンセプトは以下の通りです。

コーチングを学んだサイボウズメンバーのみなさんに、
「メンバーとのコミュニケーションの質やチームの心理的安全性が向上し、より自立して能動的に動ける組織になった!」
「コーチングを通じて、ティール的な世界観についての理解が深まった!」
と言ってもらえること

そこに加え、もうひとつ想いとして抱いているところを書いておきます。

僕自身がコーチングを学び、実践していく中でやみつきになるほど面白いと感じているのは、

対話を通じて相手の可能性の最大化を促していくコーチングという営みそのものを通じて、コーチングを提供する側である自分自身が、深い内省に導かれ、自己理解が深まっていくという点です。

僕は、しなやかなチームワークを発揮するチームであるためには、個々人の自立が欠かせないと理解しています。少なくともここ、サイボウズというチームにおいては。

自立とは「自分がどんな選択をするかを自分で決め、その選択に責任を負うこと」でもあります。そして、自立のためにはまず、自己理解を深めることが不可欠。その手段としても、コーチングを学ぶことは有意義であると感じ、今回の講座の開催に至りました。

利点も多めに書いてきましたが、とはいえ、コーチングは決して万能なソリューションではありません。

コーチングを学べば人間関係の悩みがすべて解決するとか、組織課題が必ずクリアになるとかそんなことはないと思っています。

よりよい世界を創っていくための手段のひとつとして、ここで得た学びをどう活かしていくのか。そんなところも、受講生のみなさんとともに学びながら分かち合っていきたいと感じています。

頂戴したサポートは、私からのサポートを通じてまた別のだれかへと巡っていきます。