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内定者懇親会を企画するときにサイボウズの人事が考えていること

サイボウズ新卒採用チームリーダーの綱嶋(@tnsm0223)です。今回は内定者フォローの一環で内定者懇親会を企画・実施する方の一助となればと思い、noteを書いてみます。

サイボウズでは2019年(2020年新卒入社)から内定式を無くしました。詳しくは下記のnoteをご覧ください。

内定式を無くしたことにより、一連の内定者フォロー施策にも変化が生じます。ここではその中でも、11月に開催した内定者懇親会の企画・実施の舞台裏について書いていきます。

内定者フォロー施策全体の設計

サイボウズでは、内定出しを行ってから入社の日を迎えるまでの期間を対象として、内定者フォローの施策を設計しています。生じるイベントを時系列で並べると下記のようになります。

・最終面接合格時の連絡
・内定を承諾いただくまでのフォロー期間
・内定承諾時の対応
・オファー面談(入社にまつわる諸条件の相互確認の場)
・内定者と人事によるkintone上でのコミュニケーション
・内定者と先輩社員の小規模な座談会
・内定者懇親会
・内定者アルバイト(一部の希望者向け)
・逐次の諸連絡
・入社式

上記のイベントを一連の流れとして捉え、Customer Journey 的要素を意識しながら設計を行います。

内定者のみなさんが不安に感じるドキドキを減らし、楽しみに感じるワクワクを増やして、入社の日をスムーズに迎えられるようサポートしていくことが、内定者フォロー施策全体を貫く目的です。

内定者懇親会の位置づけの変化

今回は内定者フォロー施策の中でも、内定者懇親会について取り上げます。

例年では、8月に内定者懇親会、10月に内定式を開催していました。しかし、10月の内定式を無くしたことで、8月の内定者懇親会から入社までの期間が大きく空いてしまうことになります。そこで、内定者懇親会の実施を秋に繰り下げることでバランスを保つ選択を取りました。

副次的な効果として、毎年大きなウェイトを占めていた8月と10月の大きなイベントを11月に集約することでチームの負荷を軽減し、新たな採用施策に注力するリソースを生み出すこともできました。

内定者懇親会の コンセプト* も従来とはすこし変えています。
*サイボウズにおけるコンセプトの定義は「だれに、なんと言ってもらいたいか(感じてもらいたいか)」であり、企画の根幹を貫くものとして重視しています。

19新卒の内定者懇親会のコンセプト(2018年8月に実施)
だれに:19新卒内定者のみなさんに
なにを:
①「同期にどんな人がいるのかわかった」と感じてもらう
②「内定式にまた会うのが楽しみになった」と言ってもらう

※参考
19新卒の「内定式」のコンセプト(2018年10月に実施)
だれに:19新卒内定者のみなさんに
なにを:
①内定承諾書にサインしてもらうことで、入社する覚悟を決めてもらう
②先輩社員との交流を深めることで、入社前の安心感を持ってもらう
20新卒の内定者懇親会のコンセプト(2019年11月に実施)
だれに:20新卒内定者のみなさんに
なにを:
①「同期にどんな人がいるのか知ることができた」「これから一緒にやっていけそうと思った」「どんな人なのかわからずに不安に感じていたが解消された」と感じてもらう
②「気の合いそうな同期を見つけた」と感じてもらう
③「青野さん(社長)やOsamuさん(副社長)と話して、サイボウズのこれからについて知ることができ、入社へのワクワクが増した」と感じてもらう

19新卒の際は、8月の内定者懇親会の後に10月の内定式を控えていたため、後続のイベントも含めた動線設計を図っています。一方、20新卒では内定式がありません。そこで、従来の内定式が担っていた「入社までの不安(ドキドキ)を減らし、楽しみ(ワクワク)を増やす」という機能を、内定者懇親会に盛り込むところがミソでした。

実際にやったこと

実際のプログラムをざっくり挙げるとこんな感じです。

・東京オフィスに全国から内定者が集合(当日どうしても来れない人もZoomでリモート参加)
・ランチを食べながら自己紹介
・社長の青野さん、副社長のOsamuさんに何でも聞けるQ&Aセッション
・自分の好きな過ごし方を選べる小休憩の時間
 - ボードゲームでわいわいするエリア
 - お茶しながらゆったり話せるエリア
 - 静かにおやすみできるエリア(疲れちゃった人向け)
レゴブロックを使ったレクリエーション(チームワークを発揮することが試されるワークショップとして採用)
・人事より、ここまでのプログラムのまとめ
・オフィス見学
・懇親会(内定者&人事のみ)

当日の様子

★社長&副社長へのQ&Aセッション★

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事前にkintoneで集めていた内定者からの質問。
「US進出にこだわる理由が記事を読んでもわからなかったので教えてほしい」
「なぜ資本主義の中で株式会社として挑戦しているのか」
「公明正大とはいえ、さすがにダメでしょ、というアホは今まであった?」
など、鋭い質問が飛び出しました。

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一つひとつの質問に対し、青野さんとOsamuさんが嘘偽りなく正直に回答していきます。入社前の疑問点を何でも聞ける機会を設けられました。

★100人100通りの過ごし方★

全員に同じレクリエーションを強要するのではなく、わいわい遊びたい人、静かにお話したい人、ゆっくり休みたい人とテーマ別に過ごし方を変えられる時間を設けました。

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★レゴブロックを使ったワークショップ★

全員がアイマスクで目隠しをした状態でレゴブロックタワーの高さを伸ばしていくワークを行いました。声だけでコミュニケーションしながら立てた作戦をチームで実行していきます。単なるお楽しみだけでなく、適切な役割分担や議論の重要性など、チームワークに必要な要素も体験できる内容になるよう設計しました。

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★内定者と人事による懇親会★

懇親会は tiny peace kitchen さんとコラボして、特別なケータリングを。サイボウズの国内外の拠点にちなんだご当地料理をアレンジしていただきました。おしゃれな料理に心が踊ります…✨

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お酒も入って会話も弾む終盤で、特注のケーキも登場。

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後日、内定者に取ったアンケートでも満足度は概ね高く、当初に掲げていたコンセプトも達成できたのではないかと思います。

まとめ

今回の内定者懇親会を企画・実施する際に気をつけた、いくつかのポイントを下記に列挙してみます。

・入社前の会社に対する不安を解消するため、社長&副社長と直接対話できるセッションを2時間確保しました。

・小休憩の時間とレゴブロックのレクリエーションは単なる思いつきではなく、サイボウズが大切にしている価値観(理想への共感、多様な個性の重視、公明正大、自立と議論)を感じられるものに設定しました。

・懇親会では内定者同士の交流にウェイトを置きたいため、あえて先輩社員との懇親会は行いませんでした。先輩社員との交流は、別日程での座談会で代替しました。

・従来の内定式にあった内定承諾書への調印はプログラムから削除しました。「内定承諾書にサインしてもらうことで、入社する覚悟を決めてもらう」という部分は、内定者へのある種の「要請」にも捉えられます。これは自分で考え、自分で行動する「自立」の価値観を重んじるサイボウズにはマッチしません。内定者懇親会には、入社への覚悟を決めるという重い空気は持ち込まず、あくまで不安の解消と未来へのワクワクを増やすことを最優先としました。


最後に大切なことを3つ書いてまとめとします。

①内定者フォロー施策は、内定出しから入社までを一貫したストーリーと捉え、各タイミングで必要な施策を打つこと
「とりあえず何でもやればいい」になってしまうと、採用担当者の体が持ちません、よね?施策はいつでも、課題ありきで企画・実行すべきです。「毎年やっているから…」「何となくそういうものだから…」と思考停止に陥らず、今・そしてこれから先に必要なのはどんなことだろう?と探求することが大切です。

②「コンセプト=だれに、なんと言ってもらいたいか(感じてもらいたいか)」を明確に設定すること
コンセプトは企画の根幹を担う大事な部分です。議論が煮詰まると、奇抜なアイディアの装飾に走って本質が見えなくなりがちですが、迷ったときこそコンセプトに立ち戻れる状態をつくれると安心です。

③形式的なワークや単なる飲み会に終始することなく、自社らしさを体現/実感できるものとして設計すること
必要最低限のフォローが行えればそれはそれでいいのですが、親切なおもてなしと、ほんのちょっとのサプライズ、そして「自分が入社を決めた会社を誇りに思える瞬間」が与える感情は、何にも代えられません。自社らしさを盛り込んだ時間をデザインできると素敵ですね。


このnoteが誰かの助けとなれば幸いです。それではまた。

頂戴したサポートは、私からのサポートを通じてまた別のだれかへと巡っていきます。