私と推し事

 『「推し事」とは、推しを応援するためにする活動のことである』......
さて、今回は私のような平々凡々な一般社畜男性が「推し」というものをどうやって認知し、自分の中に落とし込んでいったかというお話。
そもそも、「推し」という言葉が生まれたのもさほど昔のことでは無いような気がする。

 アイドルグループなどでどのメンバーが好き等を指す場合○○推し・全部が好きな箱推し(グループやレーベル)等、ヲタ活は様々な言葉を生み出したと言っても過言では無い。『「同担拒否(どうたんきょひ)」=同じ推しを応援する他のファンと交流を持ちたくない』という言葉を聞いたときはそんな言葉があるのかと驚嘆したことも記憶に新しい。

自分と周りの振り返り
 思い返せば、学生時代私はゲームや漫画を読むことが比較的好きというだけのただの一般ヲタクに過ぎなかった。
さらに言うと幼少期は戦隊物や特撮などが好きな同世代を差し置いて鉄道や乗り物が好きなおとなしい性格だった。
 パソコンやインターネットというIT関係のテクノロジーは小学生の頃にはあったが、頭が良いわけではないのでお絵かきソフトや簡単にできるPCゲームを嗜む程度の小学生時代。中学生になると世間はゲームや漫画等のヲタク文化の交流の黎明期に入り、自分用の携帯電話を持ちメールをし出したのもこの頃(もちろんガラケー)。ネットではニコニコ動画を初めとするインターネットの世界で見知らぬ相手とチャットをしたりとインターネットは時代と共に勢いを増していった。当時は「推し」という感覚や言葉は一切無く、友達からも何のゲームが好きか・何の漫画が好きかというところからコミュニケーションを始める程度。「アキバ系」・「萌え」という言葉が流行りだし、ヲタクが世間に認知されはじめたこの頃は、ゲームや漫画の世界に没入し、シミュレーションゲームなどを嗜む人は若干気味悪がられる風潮があったように記憶している。友達から萌える系の漫画を貸してもらったりということはあったものの自分は「そっち」ではないと言い張っていたような気もしている。高校生になると「スクールカースト」の言葉よろしく、大小様々なグループが形成され、クラスの中心になるわけでも無く、普通に過ぎる毎日。この頃から自分用のPCを持ち、ニコニコ動画を見漁るようになり、それを通じて知り合った人とネット上でスカイプをつないでゲームで遊んだりしていた。大学時代になると、友人に連れられ秋葉原に行くことが増え、自分のヲタクとしての知見が増え始めていた。思い返すとTwitterを始めたのはこの頃だった。
気付けば社会人になり荒波に揉まれてつらい毎日から逃げるように来る日も来る日もPC・PC・PC.......
 一方その頃ニコニコ動画はだんだんと勢いが衰え、いつのまにかYoutubeがその地位を台頭。「Youtuber(ユーチューバー)」という言葉が生まれ、誰でも気軽に投稿できるスタイルから、面白い動画や企画を生み出すクリエイターが現れ始め、そのなかから多くのスターやタレントが生まれ始めた。YoutuberはTVに出演したり、子供の将来の夢にYoutuberがトップ10入りするなどの社会現象を巻き起こしていた。


Vtuberの登場
 そのYoutubeに新たな一石を投じるYoutuberが産声を上げる。それが「アイ親分」こと『キズナアイ』。バーチャルな世界にその身を置きながら我々リアルに干渉ができるという新しいクリエイターの形である「Virtual Youtuber(略して『Vtuber(ブイチューバー)』)」の先駆者だった。
自分はというとYoutubeを見ることはあってもクリエイターの動画を暇つぶしに見たりする程度だったが、キズナアイの登場によって世界は一変する。

 ここで考えてみて欲しい。アニメや漫画の世界の住人だった二次元のキャラクターに声が付き、動き、しゃべり、交流が出来る。ヲタクにとってはリアルのアイドルを推している(CDを聴く・ライブに行く・握手をしてもらう)以上に得がたい新しい体験がそこにはあった。だからこそ今のような大きい発展を見せたのではないかと私は考える。(←何様なのか)
 コメントを通じて話が出来、グッズやスパチャで「推し事」ができる。ファンコミニティやファンネーム(キズナアイ推しであれば『キズナー』という呼称)の登場。「かわいい(KAWAII)」の集合体であったキズナアイは様々な企画にチャレンジし、「やはり『かわいい』、『かわいい』はすべてを解決する...」の言葉のごとく新たなYoutubeのカタチを形成。その頃の私はというとキズナアイの動画を見て「かわいいなぁ」となることが増えていった。(この時点でチャンネル登録はしていない)
 その後、Vtuberはキズナアイの登場を皮切りに、輝夜月(かぐやるな)・ミライアカリ・電脳少女シロ・バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん(ねこます)等多くの配信者が活動をはじめ、ねこます氏のように「バ美肉(バーチャル美少女受肉の略)」をするような様々なアイドル・タレントを生み出していった。
 その頃の私はというと頭一つ飛び出てさらに斜め上を行くスタイルだった輝夜月も同時に見漁り初めていた。この頃からファンネームやコミュニティに興味を持ち出すようになった。
 しかしとある日、「キズナアイ分裂騒動」をきっかけにV界隈と私に激震が走る。
 https://youtu.be/cWwohKOmgqA

 別人格としての「ブラック(裏人格)」は認知していたが、この騒動を端的に言うと表人格(アイちゃんを名乗る)が4人に分裂したという騒動であった。このURLの時点では「4人に分裂して分担していました~」という程度であったが、だんだんと人格や名称が与えられ、声も本人に似たキズナアイ本人とは別の物として定着して行った。当然ネットは大揺れ。
 さすがの私もこの事件についてはキズナアイを推しとしての認知をし始めた(チャンネル登録や推し事をし始める前)ところだったが、残念ながら完全にでは無いが少し心が離れてしまった。
 それからはキズナアイの動画を時々覗きながら他のVtuberも視聴しはじめつつ、Youtuberに元返りもしながらとだんだんとVtuberからも離れつつあった。
 そんなネット上で癒やしを求めてYoutubeやTwitterを巡る毎日だった私に転機が訪れることになる。私にとって「推し」/「推し事」を行うことを決定づけるきっかけともなった。それがTwitter上で見かけたなんの変哲も無い動画付のツイートだった。(下記参照)

 目に映ったのは今では私の推しである海月ナギ(みつきなぎ)ちゃんの所謂「はんなま(手が出る)」ツイートだった。
 そうとは知らず当時の最初は音声ミュートで勝手に再生されていたのでかわいいぬいぐるみの紹介動画か、ニコ動の実況者か何かの音声付動画かなと思い音声付で再生。するとどうだ。
・かわいい声
・かわいいグッズ
・かわいい仕草
そこからの流れ▼
①なんだこのかわいい生き物は!?(驚嘆)
 だれだ、どこの誰なんだ!?(検索)

②Vtuber!? あの!? でも手が出てるやん!? (考察)
③「はんなま系Vtuber!?」(困惑)
④あぁ、それで「はんなま」...(合点)

 かくして私はVtuberとして当時新しいジャンルだった手が出せてリアルに干渉が物理的に可能な「はんなま系Vtuber」である『ナギナミちゃんねる』にたどり着いたのであった...


(続け...

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